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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になってから
44/91

そして幼女はバイトする




…作者の文法、少し変わった気がします

それが良い変わり方なのか悪い変わり方なのかは解りませんが、変わった気がします



…さて、それは置いといて今回は響さんがバイトを始める話です


ちなみに初っぱなの視点は唯斗氏からなので注意してください




5月上旬の頃


最近妙な噂を聞いたんだ

…聞いたと言うかネットの掲示板で見ただけなんだが、なんでもとびっきりの可愛い女の子がある喫茶店で働いているらしい


いや…俺には響というとびっきりどころか宇宙規模の宝って言っていい程の可愛い彼女が居るし?

他の女の子なんてもうどうでもよくなっちまったんだがな?


ほら、男の性というかなんというか…な?


なんでもこの一原市に出没するらしいんだよ

そんな事を聞いたら行かない方が勿体無いだろ?


響にも一緒に行ってたまには自分以外の可愛い女の子でも見て脳内保管でもしてもらおうと誘ってみたんだよ。そしたら


『そこ、女の子がいっぱいいる喫茶店だろ?』


だから良いんだろ?って言ったら黙って下を向いちゃったんだ


嫉妬というかヤキモチみたいな感じで凄まじく可愛いかったんだけど


『…俺は遠慮しとくよ。…できれば唯斗も行くなよ?』


とだけ言われたんだよ


なんだか凄く申し訳なくなって行く気が無くなったわけだが、妙な感覚がしてやっぱり行く事にした訳よ


そしたら…





カランカラン



「い、いらっさいま、ませぇ…。御一人様でしょう…え?」


「あえ?」


なんと超絶美幼女が出没したんだ





(響さん視点)




俺は最近バイトを始めた


久々におっさん公園へ寄って竹中さんに会いに行ったのが事の発端だった






(7日程巻き戻ります)






「…あ、響君じゃないか。…こんにちは」


「うん、久々だね竹中さん」


俺は高校に入るまではこの公園にはよく寄っていた


しかしこの姿になってからは流石に危ないからあまり来ちゃダメだよと竹中さんに言われてしまい来る機会が減った

唯斗とこ…恋人になってからは更に寄らなくなってしまった


唯斗は俺の知らぬ間に竹中さんと会っていたみたいでよく話を聞かされた


それで俺も会いたくなって来たんだが、今日は実に半年振りの再会だった


「…遅くなっちゃったけどおめでとう。響君の新しい人生の始まり祝して今からおじさんが良いお店に招待しよう…」


「あ、ありがとう。なんだか恥ずかしいな…。それに良いお店って?」


竹中さんは相変わらずの不幸オーラを漂わせていて安心した。安心しちゃいけないけど安心した


「…モーメントエデンってお店は知ってるかい?」


モーメントエデン

確か商品のコスパが凄いって有名な喫茶店だったっけかな?


テレビにも出た事があるなかなか知名度の高い子供の小遣いじゃ行けないようなお店だったっけ…


「ってダメだよ!竹中さんにそんな高いお店は!」


まだ奢ってくれるとも言ってないが奢ってもらえる事を前提に話すとは我ながらよくないな…


「…子供は遠慮しちゃいけないよ。前にも言ったけど僕は別に貧乏という訳じゃないからね…」


「無理してない…?俺に奢ったって何も良いことは無いよ?」


俺がどこかの令嬢だったら凄いお返しが出来るんだけど…


「…寂しい大人はね、子供と一緒に過ごせるだけで幸せになれるんだ。これから行くお店はあくまで幸せの恩返しだよ…」


「そこまで言うなら…」


断れないよ

どんどん暗くなっていく竹中さんのお誘いを無理に断るなんてできない…


ほ、ほら…竹中さんがそれで少しは明るくなってくれるならご馳走になっても良いんじゃない?

そうだよ、これは人助けなんだよ!…たぶん


「…うん、ありがとう。こんな僕に付き合ってくれて…」



出費しか無いのに幸せだなんて不思議な事を言う大人も居るんだな、なんて考えながら俺と竹中さんは公園を出た




〜モーメントエデン




噂以上のお店だった

ロイヤルな感じの内装かと思ったら落ち着けるというか安らぐというか、なんだか優しい内装だった


「俺、こんな店初めてだよ」


「そうなのかい?今の響君だとこんな感じの店で紅茶とかを飲んでいると絵になるな〜なんて思っていたんだけど、迷惑だったかな」


「そ、そんな事ないよ!ただ学生である俺にはまだ金銭的にも早いというか…」


「…うーん、確かにこの店は学生にはちょっとリーズナブルではないかもねぇ」


そんな子供だけじゃちょっと入れないお店に招待してくれるなんて竹中さんはやっぱり良い人だなぁ…


「さて、響君は何を頼むんだい?…といってもガッツリ食べたら夕飯が食べられなくなるしデザートにしてね」


元々デザートが食べたかったから大丈夫!

ってやっぱり奢ってもらう気まんまんじゃん


…いや、ここまで来て何を遠慮するか!

今日のところは竹中さんに恩を売っていつか三倍にして返せばいいんだ!


「ケーキある?」


「ケーキなら普通のバニラ、チョコ、ストロベリー、抹茶の四種類からだね」


ううむ…なかなか迷うラインナップだな…。

苺味はナシとして、チョコに抹茶…凄く迷うなぁ


こういう店のバニラケーキも食べてみたいし普通にチョコも抹茶も食べたい


なんというか、この欲しい物を1つだけ選ぶ時ってちょっと楽しいよね


「…うーん、やっぱり抹茶かな」


「響君もなかなか通な選択をするね。飲み物は何を頼む?」


通って言われるとなんだか嬉しくなるよね


「うーん、飲み物かぁ」


甘い物を食べる時は口直しの為にウーロン茶を飲むのが俺流だ

それに甘い物を食べて甘い物を飲んでばかりいたら絶対身体に良くないじゃん


口直しにはウーロン茶!

この辺は昔と変わんなくてよかった



「ウーロン茶」


「奇遇だね。僕もウーロン茶にしようとしてたんだ。じゃあ頼もうか…」







「…美味しかったかい?」


「ああ、美味しかったよ。ありがとう竹中さん」


「いいんだよ。頼んで着いてきてもらったんだし」


700円というファミレスだって出さないような高い値段なだけあってスッゴく美味しかった

しかもファミレスで出るようなケーキより一回りも二回りも大きかった


これで700円ならむしろ安いかもね


「このお礼はいつか返すよ」


俺がそんな事を言いながら竹中さんを見ると、いつもの可哀想なオーラが無くなっているように見えた


俺も得して竹中さんも少しは元気になれたのならこれは一石二鳥ってやつかな?

…ちょっと違うかな?


「響君はバイトとかはしているかい?」


「バイト?してないよ」


したいけど行動に出れないというか…情けない…


「興味はあるかい?」


「興味はあるかな。色々勉強になるだろうし新しいゲームも買いやすくなるだろうし」


「ここ、いまバイト募集中なんだって」


ま、まさかここで働いてみないか?と言ってるの竹中さん!?


「…あ、いや、ここって見る限りじゃ女の子の従業員ばっかりじゃん?竹中さんは俺の事情知ってる筈…だよね?」


「そうだったね。響君は男の子だったね。…男の子なら恩を三倍で返すのが義理じゃないかい?」


「…うぬぬ。お、俺…わ、私は女です…?」


「女の子ならここで働くのも平気だよね?」


こ、こんな強引な竹中さんは初めてだ!


「…うぬぅ」


「ごめんね響君。人は善意じゃ動かないんだ」


…哀し過ぎるよ竹中さん!


「…竹中さん、1ついいかな?」


「何だい?」


「そこまでバイトを薦める要因は?」


「…ちょっとこの店の人に頼まれちゃってね」


「…?」


ぜんぜんわかんないよ…


「僕はこの店の人と知り合いでね。客引きに最適な子、つまり響君に目をつけていたんだ」


「その人はなんで俺の事を知ってるの?」


「響君は気付いていないのかい?響君は一原市では結構有名になってるんだよ?」


な、なんだって!?


「言うまでもないと思うけど、君の容姿は誰だって頭に残る。それだけでも有名になると思うけど、波頼の制服を着ていた事が一番大きかったんだ」


毎回思うけど、波頼恐るべしだな…


「それで有名な響君を雇用すれば…」


なるほど

経済的にも美味しくなり、波頼の子を雇用という自慢話のネタも増え、超絶美幼女を眺め放題…と


「な、なんだか恥ずかしいなぁ」


今の俺、普通に見たらただのナルシストだな…


「…で、どうだい?」


「竹中さんの顔を立てる事になるのなら喜んで恩を返すよ」


「…すまないねぇ、2400円分働いてくれるだけで良いから…」




(7日後、元の時間に戻ります)




「へぇ、それでそのまま辞めずに働いてるんだ」


「そうなんだよ。だけど噛みっ噛みでさ…」


緊急で店長に30分の休憩時間を貰い唯斗と同じ席に座らせてもらった


普通のバイトの人じゃ出来ない事だろうけど、頼まれて雇われた俺だから出来た技だ


偉い人は「立場はガンガン利用するべし」と言っていた気がするしいいよね?


「噛み噛みウェイトレスさん…か。響の属性がどんどん増えてくな…(しかも響の場合は本物だからポイント高いぞ)」


「…だから、そんな属性リアルで現れちゃ店としては洒落にならないだろ…」


「…ふむ、メイド喫茶ならアリだが一般の喫茶店では確かに宜しくないな」


「練習はしてるんだけど、俺は本番には弱くてなぁ」


「ふむふむ、ならば今度練習しないか?もちろん俺の家で!」


「唯斗の家で練習?」


た、確か唯斗の家に俺が行くと…。はっ!?


「…………///」


「ッ!?(うおおおおおおおおおお!!)」


カシャカシャッ


「っ!?」


と、撮られた!?誰に!?


取り合えず俺は辺りを見回した

そしたら両手の隠した店長を見つけた


「て、店長ぉ〜」


「うんうん、いい絵だったからつい…あはは」


ガダッ


「店長さん!その写真、俺にも下さい!」


「ゆ、唯斗!?」


「うんうん、いいよ」


「うおっしゃあああ!」


「(小声)唯斗、しー!しー!お客さんに迷惑だよ!」


「すまないすまない♪」


「はぁ…」


最近学校でもクールモードになっててちょっと寂しさを覚えつつ関心したと思ったらこれだよ…


「明治君、やっぱりもう仕事に戻ってくれないかな?」


「…え?」


「そんな悲しそうな顔をしないでよ。…ちょっと人手が足りないんだ。頼む!」


…うーん、人手が足りないなら仕方ないな

もうちょっと唯斗と話していたかったけど…


「俺の事はいいから。ほら、せっかく可愛いウェイトレスの制服を着てるんだから仕事しないと制服が泣いちゃうぞ?」


「…うん、ごめんね。じゃあ頑張ってくるよ」


(視点は第三者、ナレーター?に移ります)


この店に来ていた客や店員の大体はこの微笑ましい空気にやられてしまった


「「(ああ、あのウェイトレスさん可愛いなぁ)」」


響はいわゆる裏方的な場所へ言って店長に何かを話されていた


「…ちょっとそれは」


「ははは、面白いだろう?」


「いや、確かにそれだと安心して接客…。やっぱ出来ませんよぉ〜!」


どうやら接客の事で何かを話されていたようだ


「せっかく(面白い事を)考えたのに…」


「…わかりました。やってみます…」


実のところはやってみたいと薄々思っていたのか、響は店長の提案を受けた


「…本当?(響君はやっぱり読み通りチョロいぜ!)」


「お、女も二言はありません!」


「…?取り合えずこれ彼の注文書ね」


「はい!(うう…やっぱり恥ずかしいなぁ。それに運ぶのは初めてだし不安だ…)」



響は注文されたパフェを頼りない足取りで運び始めた


そしてなんとか無事に客の元まで辿り着いた


「ご、ご注文のチョコパフェとメロンソーダでございまっます…。以上で宜しいでしょぅ…か…?」


「(…口調からして新人だな?なんだかとっても可愛くて聞き覚えのあr…)なにぃ!?」


「(あああ!また噛んじゃったよー!)お、お客様?」


「ああ!OKOK超OK!最高だ!(敬語の破壊力の凄まじさよ…)」


「(うんうん、彼氏さんも喜んでくれて良かったねぇ)」


「「(う、羨ましい…)」」




(視点を響さんに戻します)






「いやぁ癒された癒された〜。『一時の楽園』の名に恥じない店だったな。なぁ響?」


「もう…だから来るなって言ったのに…」


バイトも終わり、俺達は帰路についていた

帰路と言っても今は電車の中だ


「ウェイトレスの制服姿の響も良かったなぁ…」


「…そ、そう?」


「ああ、あの響が敬語ってのはなかなか来るモノがあったな」


「へ、へぇ…」


軽く変態入ってるんじゃないか唯斗って

…いや、今更だな


俺も俺で男を好きになっちまうような変態以上の存在だしな


「しかし良かったな。いい場所で」


「え?なんで?」


「なんでってそりゃあ店にいる時は始終笑顔だったじゃんか」


笑顔だった…かなぁ?

でも確かに楽しかったかもしれない


帰る時は確か…あっ!


唯斗の言葉である事に気付いた。

そして店長から貰った白い封筒を出した


「ん?なんだそれ?」


「ふふふ、何だと思う?」


バイト帰りに封筒を持ってる時点でもう答えは出てるが俺は唯斗に問いてみた


「給料」


「…ほ、ほほぅ。流石は唯斗…。一発で何のためらいもなく当ててくれやがって…」


「ははは、俺達はどんな学校に通ってるのか忘れたのか?その程度の問題じゃ迷わないぜ?」


「はいはい…。しかし持てば持つ程重く感じるなぁ」


こりゃ先生が20人は居るんじゃないか?


むふふ、人が喜びを感じる時の1つってお金を手に入れた時だよね

どちらかというとそのお金を何に使うかを考える時なんだろうけど…


ああ、ゲーム買い放題♪


「(大方野口伍長が沢山居るってところだろうな)」


「ふふふ、唯斗にも沢山の諭吉先生で作った団扇の風を味わわせてあげるよ」


「タノシミダナー」


めり…めり…め…めり…

(↑封筒のテープを優しく剥がす音)


「さぁ、お披露目の時間だ」


スススー

(↑お札を封筒から出す音)


「みたまえ、このフサフサな盛り髪の…野口…さん?」


何故だ!?何故一枚目から野口さんなんだ!?


「多分ソノ下ハ諭吉サンダヨ(バイトが7日働いたところで20万も貰えるわけねーっつの)」


そ、そうだよな…

19万1000円だっていいじゃん!十分じゃん


ササァ

(↑札束を横に広げる音)


さ、さて如何かな?


野野野野野野野野野野野野野野野野野姉野野野


「25000円だな(俺的には二枚の野口さんにサンドされた変なチケットが出てくると思ってたんだがな)」


「…………」


微妙に開いた口が塞がらなかった

なんかこう…裏切られた気がした


だってそうだろ?

最初から諭吉先生2人と姉さん1人にしときゃいいものをわざわざ盛り髪野口さん20人と姉さん1人って…。いや、野口さん25人にならなかっただけマシかもだけど…


「与えた夢をすぐさま壊すドSってのも世の中には存在するんだ。勉強になったな」


「うぐぅ…そんな勉強はNO Thank Youだよ…。まぁそんなに高い買い物をする訳じゃないから細かい方が良いけどさ…。なんかこう…ガッカリだよ…」


「ふふふ、野口さんで作った風もなかなか良いもんだぞ?子供じゃこんな沢山の野口さんにありつくのは無理だろ?」


「…うん、そうかもね」


なんだか丸め込まれたような気がするがこの際ポジティブにいくしかないな


取り合えず唯斗には『ウィンド オブ ノグチ〜盛り髪の風〜』を喰らわせてやった









そろそろ予告していた新作がスタートする訳ですが…


まだ20話分出来てないのですッ!!


どうしましょう

たっぷり余裕を作ってから始めた方がいいと響さんの日常で学んだばっかりなのに…


今まで以上に切り詰めた戦いが始まりそうです…

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