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響さんの日常  作者: ZEXAS
彼氏彼女になるまで
3/91

プロローグ 後編



―入学まであと2日―



「…………」


……………………


「…………」


……………………


「……ん…」


ま……


「……うんん…」


眩しい……


「まぶしっ…」


そんな訳で眩しい朝日が俺を起こした

眼が焼ける…


いつまでも寝てる訳にはいかない、取り敢えず起きよう


「ん、う〜ん…」


軽く背伸びしてベットから降りて下へ向かう



まだ半分寝ぼけてる…そろそろ階段かな…


「うわっ!?」


な、なんてデジャブ…

なんかスローになったのでそんな事を考えてた


ガダッガダガダガダ!


「あだっ!いだっ!がはっ!」


ぼと


「ま、またか…」


いたたた



その後母さんが駆けつけて痛そうにしてる俺を見て鼻血を出した

なんという母親だ


取り敢えず今わかった事は、いつもの歩幅が合わずに階段から落ちた=まだ女の子という事だ


こうして俺の1日が始まった。




そういえば高校は同じ所でOKらしい

性別が変わったと言うのに簡単に学校側の許可を得る事が出来た俺の親っていったい…


入学まではとにかく家に引きこもる事に決めた

だって視線が嫌なんだもん(紳士がだもんって…)


いつもの俺は適当にぶらついてそこらで遊んでる人の中に入って遊んでた、馴染めた、余裕で友達も出来た、知らないおっさんとも遊んだ。公園に居る腐った眼をした可哀想なおじさんの竹中さんとも遊んだ


だが今はか弱い美少女

突然男の輪に入れる訳が無い

しかも銀髪…。外国の美少女とかできる壁が分厚く高いに違いない。

それに変な間違いでも起こらないか心配だ

絶対力では勝てない


ああ、もう竹中さんの本にしたら絶対売れる辛い人生トークは聞けないのか…。

竹中さん自体は問題無いのだがあの公園は危なそうなおっさんがいっぱい居る。まさに魔郷だ


どうでもいい事だが公園の名前は女の子が考えたらしく、「ビューティフル公園」なんて謎の名前である。

俺は「おっさん公園」と呼んでいるがこれもどうでもいい事だ。




今日は家で何しよう…。

そうだ1人でマリパでもしよう!

2をやろう!2楽しいよ2!1人でも楽しいよ!


はぁ…


今日はマリパ漬けだな…



その後唯斗が遊びに来た時は本当に感動した

やっぱマリパは1人でやるものじゃないな!



はしゃいでる響を美代が危ない目で見、唯斗はちょっと顔を赤くして目をそらした




そしてやっぱりマリパ漬け

唯斗が帰った後、俺は風呂に入った

ウトウトし始めた時、旅行から七海が帰ってきた


「ただいまー!私お風呂に入ってくるねー!」


そうかお風呂かぁ〜

……げっ


元気よくドタドタと風呂に向かう足音

そして


カチャッ(浴室のドアを開ける音)


ざぷん(お湯の中に隠れる音)


「…………(どうしよう…)」


ざばーん(七海が勢いよく入る音)


「……んんんん(や、ヤバい…)」


「はふぅ…やっぱり我が家は良いなぁ♪」


「…!!!!(も、もう…ダメ…)」


「…ん?何か…」


「ぷはぁぁ!…はぁ!はぁ!」


「………?お母さーん!この子だれー?」

子っておい…。それより


「み、見るなぁ!こんな俺を見るなぁ!見ないでくれぇぇぇ!!」



その後、母さんは事情を説明した


「なるほど、お兄ちゃんがお姉ちゃんになったって訳でございますか」


そうでございます


「でもつまり、さっき私は裸を見られたし、お兄ちゃんの裸も見ちゃったと」


「ごめんなさい!すんません!」


俺はとにかく謝った


「い、いいよ別に…。私だって見ちゃったし…。その、綺麗だったよ?なんかこっちが申し訳なくなるくらい」


「…え?」


許してくれるのは良いとしよう。

後者はいったい…。


「いい加減自覚を持ったらぁ?」


結論からすると、妹はあっさり信じてくれて、別に問題ないようだ。よかったよかった




しかし、世の中そう上手い事は続かない


博樹(ヒロキ)が帰ってきた

博樹は帰ったとたん俺を見るなり、

「母さん!この子だれ!」          だ


「このキャワイイ女の子は響よぉ♪」


「え?……嘘だ…」


「ホントだ」

割って俺が入る


「………でも」


「俺は俺だからしょうがない」


「…違う!お前は兄ちゃんじゃない!」


ええええ……


「いや俺だし…」


「兄ちゃんを返せ!このクソアマッ!」


何処でそんな言葉を…


「そんでもって帰れ!このあばずれ!」


いや、使い所違うし…

て言うか博樹がグレた!?あの素直で優しい博樹が!?

兄ちゃんはどうすればいいのじゃ…



そして博樹は凄い力で俺を押してきた


「うわわわっ!」


必死に押し返そうとするが無理

博樹は俺とよく運動していて鍛えてある

よって貧弱なこの体では無理

でも諦めない


なんて言うか相撲状態だ…だがしかしっ!逆境だからこそ燃えるのが俺だぜよ!


「うおおおお!」


「おりゃあ!」


「うわっ」


どてっ(響が押し倒される音)


無理でした

サイショカラワカッテタヨ?マケルナンテ…


「僕は罰ゲーム執行役として学校ではちょっと有名なんだ」


馬乗りされてる…まずい、まずいぞ


「母さん助けて!」


2人ともこちらを見てるだけでなにもしない

助けようよ?


「いくよっ」


男が女を押し倒したらやる事なんて決まってるって唯斗が結構昔に言ってた


どういう事か知らんが、耐えて見せる!(だって助けてくれないし)


こちょこちょこちょ


「あははははは!」


「ふふふ…」


ヒ、博樹がドヤ顔で脇を、くすぐってくるっ!


こちょこちょこちょ


「ははははは!あははは!」


可愛い笑い声が家に響く

ちょっと笑い疲れてきた…


こちょこちょこちょ


「…は…はは…はははは…」


「もうギブか…それじゃあ第2ラウンドだ!」


「え?ちょっともう無理…!?」


博樹と手が脇から脇腹へ…

まて!!そこは俺の弱てn

「そりゃ!」


「んにぁぁぁぁぁぁぁあ……」



甘くて弱々しい声が辺りに響く

響はそのまま力尽き、そして寝てしまった


「「こら博樹(お兄ちゃん)!」」


「は、はいぃぃぃ!!!」


今更と言えば今更なのだが、いきなり凄い剣幕で2人が寄って来たので博樹はびっくりして変な返事をした。


「「響(お姉ちゃん)を苛めた罪は国会議事堂に大穴を開けるより重いわ!」」


「ひぃぃぃぃ!」



その後どんな仕打ちを受けたかは彼等以外誰も知らない、知りたくない…



そして博樹は

「(兄ちゃんと同じ脇腹が弱点だった…。でも見た目違うし感触も柔らかいし、そして甘い香りがした…。)」


「(あんなの兄ちゃんじゃない!僕は絶対に認めないぞ!…待ってて兄ちゃん!俺が必ず助けるから…。そしたらまた野球とかサッカーとかやろう?絶対だよ!だから待っててね兄ちゃん!)」


と頭の中では凄い事になってた。

全ては自分の為、兄の為…


男のヤンデレが誕生しそうだったりしていた。

おお、恐い恐い…





・・・・・・・・・・・・


―入学まであと1日―



「起きなさぁい響!」


「………ん、やったぁ…太子様が俺の周りにぃ〜…。愛してるよ太子様ぁ〜…。」


「な、なんという寝言…。どんだけ旧札が好きなのかしら…。諭吉先生も見てあげて…。彼も偉人なのよ…。」


「…………♪…」


「仕方ないわ」


すすぅ


美代は響のパジャマにそっと手を入れ、目的地へと手を忍ばせた


「(隊長!目的の双子山まであと少しです!)」


「(いいぞ!そのままそっと行くんだ!カウントを入れる。掛け声と共に突乳するんだ!)」


「(イエスサー!!)」


「(ワン!)」


「(ツー!)」


「(スリー!!GOGOGO!)」


むにゅ


「ひぁやわ!…かかか母ひゃん!?」


突然の衝撃で目がさめた。て言うかヤバイ!とにかくヤバイ!


「(進め!ペースを落とすな!行け!行け!)」


「ひゃん!んにゃあ!?母さんやめ、ふぁっ!」


「えへへへ、えへへへ…」

「こ、怖っ…。んーよいしょ!」


ササッ


俺はうまく体を動かし魔の手をパジャマから追い払った


「(隊長!標的が逃走しました!)」


「(うむ、今回は負けたが次は負けるな!撤収!!)」


「良かったわぁ♪起きてくれてぇ」


「はぁ、はぁ…朝から一体なんなんだよ…」


くそう…まだ眠いし…


「あら、もう8時よ?」


「え…」


ナンテコッタイ


「で、でも休みだし起こす必要なんて…」


「なにいってるの!今日はアレの日よぉ?」


アレ、アレ…?あっ!


「ま、ましゃか?」


「しょうでしゅ!みんな大しゅき『お一人様一個』の日でしゅ!」


ああああああ!

俺のニート生活がぁあああ!!


「子供の宿命よ」


確かにこれは仕方無い…

俺は買い物に付き合う事にした…






「なんだか懐かしい感じねぇ」


「何が?」


「だって娘と2人でお出かけなんて久々なんだものぉ」


そういえば七海と母さんが買い物に行ったのは2年くらい前なんだよなぁ(つまり小4)


七海は親離れが早かったからなぁ…

母さんはちょっと寂しかったのかな?と思わせるくらい嬉しそうな顔をしていた


喜んで貰えるならこっちも嬉しくなるもんだ



「それにしても…」


「視線?」


「ああ…」


「仕方無いじゃない、こぉんな美少女が街中を歩いてるのよ?」


いやまぁ目を引く綺麗な銀髪の美少女とか見ない方がおかしいかもしれないけどさ…


こんなやり取りは2回目だな…

やきとり食いてえ


そんなこんなで買い物は始まり、いつも通り終わった。チッ○チョップ買ってもらった


お得だから連れてった子供にお菓子を買い与えていたらお得の意味が無いのでは?と思ったが、生活をする為の買い物をした事の無い子供が心配する必要は無いだろう。


だって余計な口をきいてお菓子を買って貰えないとかなんかアレだし…。

子供は盛大にその緩い懐の中身を貪り喰うのが上手い生き方だ!…たぶん




「そうだわ、この辺でちょっと待っててくれないかしら?」


「…?いいけど何処へ行くの?」


「そろそろお昼でしょ?お店の下調べよ♪」


「なるほど」


別に下調べしなくてもいいと思うが…まあいいや

ゆっくり外の風に吹かれるのも良いんじゃないかなって自分の中でカッコつけてる


…ちょっと疲れたしちょうどいいや

そこの公園で待てって事なんだろう


ついでにそこはビューティフル公園じゃない。おっさん公園はこんな綺麗じゃない


「良いコで待っててね〜」


「子供じゃあるまいし」


いや子供か…


母さんの背中を見送り、そして辺りを見回した


色んな遊具もあって噴水もあって、出店もある

ちらほらと男女の組み合わせもいて、手を繋いで歩いてる。


全くこんなとこでイチャイチャしやがって…。親子連れの子供が指を指してるのを親が止めてる。なんとも微笑ましい。もっとやれ



取り敢えずベンチを探した


「ベンチベンチは何処かいな〜っと、ん?」


なにやら可哀想なオーラを漂わせるベンチを発見

このオーラはまさか!?


竹中さん!?


俺はそのベンチに近寄った。

どんどん空気が可哀想になっていく。描写が変だが仕方無い。本当に可哀想なのだ


顔が明らかになってきた


あ、やっぱり竹中さんだ


たまにいつもの公園(おっさん公園)に居ないなぁと思ったらこんな所に居たのか


俺に気が付いたのか、ふいっとこっちを見た

竹中さんは一瞬驚いた顔をしたが、再び顔が曇り始めた


竹中さんは何もかもに絶望し、何もかもをどうでもいいと思ってるのでいつもこんな調子だ。

まだまだ若い30代にも満たないのだが、色々あって道を踏み外し今に至るらしい


半端な気持ちの若者なら仲間と認めない公園のおっさん達も、彼の異常なまでの絶望オーラに

「最近の若者にしては凄いなぁ」

と思ったとか

勿論一発で仲間入りだったが、竹中さんは世界のほぼ全てを拒絶してる為、話しかける人は極少数だ


俺もその1人だが、最初は話しかけても反応が無かった。

何度か話しかける内に話す様になり、ちょっとずつ心を開いてきてる。


彼いわく、「夢や希望に満ちた君の様な子供を見てるとこっちも少し元気を貰った気分になるよ…」

との事だ


長い話になってしまったが要するに竹中さんはとても優しい人なのだ


そんな優しい竹中さんの心を粉々に砕いた出来事は言わないでおこう。正直思い返すだけでこっちも鬱になるくらい酷く可哀想な話だからだ


何はともあれ、俺は竹中さんに話しかける事にした



「こんにちは〜」


「…?」


竹中さんはこちらを見て不思議そうな顔をしていた

まぁ当たり前だ


公園で1人佇む可哀想な大人に話しかける子供なんて滅多にいない


竹中さんはちょっと考えるような素振りを見せたあと


「キミは響君だね?」


と言った


「え?なんで?」


なんでって言っちゃった

いや、聞くべきかな


「キミからは何故か響君と同じ雰囲気がする…。僕は人を眼では見ないんだ…。だから姿は違えど見分ける事が出来るんだ…」


「さ、流石竹中さん…」


「実際使って効果があったのは初めてだけどね…。僕なんて人と関わる事ないし…」


「あああああダメダメ!またネガティブにっ!もっと自信持って!竹中さんは凄いよ凄い!」


慰めまくったその後は、竹中さんと仲良く話した


そうしてる内に母さんが来て、竹中さんとはお別れになった。

…自殺しないよね?




昼食はファミレスだった

響は迷わずハンバーグを選んだ


ハンバーグを幸せな顔で頬張る響は、美代だけでなく、周りの客まで微笑ましい顔にした


その時の響は周りに幸せを振り撒いてたという

竹中さんにも是非見せてやりたい所だ




今日はなんか楽しかったなぁ

竹中さんは凄い人って分かったし、ハンバーグは美味しかったし…


体の構造以外では困る事無いじゃん

別にもうこのままでいいかも

母さんはなんか優しいし(怖いけど)



ま、細かい事は考えずに寝よう


もう…眠いからな…

おやすみだ…



そういえば…


初(祝)1話で1万字超え!


なんですよねwww


だけど基本は1万字以内で納めないと投稿が面倒な事に…


これで少しは読む時間が増えた筈…

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