スポーツ祭(中編)
期限も近いし保存BOXもパンパンなんで投稿しちゃいますか!
構成中、文字打ち中に考えていた前書きは、完成した時には頭から消え去ってる事が多いです…
だから最近急に前書きが短くなったり後書きが無かったり…
リアル小説家はもっともっと大変なんですよね…
「明治も大変だな」
「まぁ、赤点取っちゃったし仕方無いさ」
「何点だったの?」
「(合計)93点」
「平均は20以下か」
「こっこれでも中学では平均50点以上だったんだぜ?」
「(低いよそれ…)が、頑張ってね…」
「5教科全部赤点かぁ」
「よく入れたね」
「な、何故だろね…」
「授業についていけなかったら教えてあげるよ」
「…あ、いいよ別に…」
「何故に?」
「竹中先生だけで頭が大変なのに、これ以上は頭が持たない」
「そんなもんかなぁ」
「お前ら秀才とは違うんだよ俺の頭は…」
ピィィィィ!
そこでホイッスルが鳴る
「…長話もここまでみたいだね」
「そうだな、いくぞっ!」
スポーツと言ったら野球とサッカーは定番である。
俺達は今『男女合同サッカー』とやらの真っ最中
男子4女子1
5対5で時間制限無しの一本勝負
つまり一点入れた方の勝ち
決勝まで行けば20分の試合と少しはマトモなプレイが出来るようになる
女子1人となると何処もキーパーばっかりで、俺が前に出るのを見ると観客も敵も少し驚いていた。
前に出るとはいっても俺はDFだ。
あくまで補佐役
男の時もサッカーはDFになる事が多かったがこれには理由がある
敵からボールを奪い、嵐の様に駆け抜け、攻め役にボールを渡す
そして素早く防御の配置に戻る
これにはかなりのスタミナと俊敏さ、器用さが要求される
クラス別での練習でEクラス全員はグラウンドを全力疾走、しかも疲れた様子を見せない俺を見て、竹中先生が即座にDFに任命した
流石に散々走った後に7周を全力疾走は疲れたけどな…
1試合目も2試合目もすぐに終わった
もちろん勝った
高橋を含め、メンバー全員で喜びあっていたが俺は違った…
C組が決勝への道を進んでいる…
サッカーは個人の力も重要だが、やっぱり団結力は一番大事
更に能力のずば抜けている奴をカバーする形でいけばかなり強くなる
その能力の高い奴とは高橋の事だが、クラスのムードメーカーであり、まとめ役なだけあってクラスメイトからの信頼も高い
正に理想のメンバー…なのだが、相手は団結力NO.1のCクラス
今更気付いたのだが唯斗が途中参戦したとの事
流石の高橋も唯斗には敵うまい…
それに俺もこの体じゃ無理がある
どうすりゃ良いんだ…
当然の如くCは決勝まで来た
俺達も何とか決勝に上がった
両チームが向き合う
「響、お前はよく頑張った…。だが以前のお前ならまだしも、今のお前なら俺も勝てる!多分勝てるっ!」
「く、くそう!お前はチート過ぎる!手加減しやがれっ!」
「ふふふ、サッカーと野球とエアホッケーとテニスとかは負けてたが、やっと勝てる!遂に勝てる!もう俺に敵うものは響には無いぞ!ふはははは!」
「きたねえ野郎だ!それなら真っ直ぐぶつかるまでだっ!」
どうしてそうなるか…
まぁ、ダメ事でやってみるのもたまには良いかな、と思っただけだ
やるなら全力で
ピィィィィ!
まずは相手から
唯斗はまだ前線に出てきてない為、敵のボールは俺がカット
そのまま突っ切ってあらかじめ前に出ていた高橋にパス
「相変わらず凄いね」
「へへへ、また豪快に決めてくださいや」
そうは言ったものの、キーパーには唯斗が居た
これが厄介極まりない
あいつを負かすなんてそうそう出来ない偉業だ。
唯斗はどのポジションも出来るのだが、キーパーと前線系をやらせると、とんでもない事になる
まず、キーパーの時はゴールさせてくれない
高橋強いからなんとかなるかも知れないが、やっぱり確率は低いと思う
「いっけぇぇぇぇ!」
高橋がボールを思い切り蹴る
あの威力なら…
パシッ
ですよね〜
唯斗は得意げに片手で取っていた。
「なっ!?」
「それっ!」
唖然とした高橋をよそに、唯斗はボールを俺等サイドに投げてくる
俺は唯斗の投げたボールより早く走り、自陣に着いた
周りの人は驚いてる様子だったが、唯斗は余裕の表情だ。
「流石だなぁ響!その速さを見るとやっぱり響だって実感させられるよ!」
「じゃあ速くなかったらぁぁぁ?」
唯斗がこちらに聞こえる程度の音量でなんか言ってきた
俺は適当に質問で返した
「ただの可愛いお人形さんだよなぁ!」
「………!?」
「可愛い可愛いお人形さんだぁぁ!」
「おい、高橋っ!すぐにボールを届けてやっから前線で待ってろ!!」
なんかムカついたから何としても高橋にゴールさせてやるっ!
そして悔しがる唯斗の前で仁王立ちしてやる!
「よっしゃあああ!いくぜぇぇぇえええ!!」
どてっ!
勢いをつけすぎた俺は思いっきり転んだ
「ううう…」
あまりにもの痛さに滲み出た涙を腕で拭うと、何故か周りが凍り付いた
「「(か、かわええ!超かわええええええ!!)」」
俺はある事に気付く
周りが凍り付いてもボールは転がる
キーパーも固まってるしこのままじゃやばいって事を
脛とか色々痛むが、頑張って駆け出した
「うおおおおお!」
俺の声にみんなが我に帰る
敵も我に帰ったせいでボールを蹴り始める
ヤバい、足が痛くて本気で走れない
このままじゃ誰も居ないゴールへ一直線だ
なんせ俺のディフェンスが堅すぎるのでみんな余裕ぶっこいて前に出ているのがまずかったなぁ…
あ、あれは蹴りの構え!?
くっ、うおおおおおおおおおおお!!
足が痛いけど全力で走り、ジャンプした
「「と、飛んだ!?」」
ばしっ
「あだ!」
滞空時間は5秒程あっただろう俺の体は見事ゴールの前に飛び出たのは良かった
しかし、ボールは俺の手に当たってしまった。
これがどういう事を指すか
PKである
決勝では20分、3点がルールだ
相手は5人
少なくとも3回は防がないとダメな訳で…
そんなの攻極チームには無理な訳で、虚しくも敗北してしまった。
「ごめん!!」
俺はその後チームのみんなに謝った
「いいよ。明治は頑張ったよ。だって決勝まで上がったのは明治のディフェンスのお陰だもん」
「うう、高橋…」
「「響ちゃんは女の子なのにカッコ良かったぜ!可愛いしカッコ良いいし最高だぜ!(ホントは何もかも可愛いんだけどなぁ///)」」
「み、みんなぁ」
「だから気にしなくて良いよ。決勝までこれて楽しかった…」
「「今度はみんなでやろうぜ響ちゃん!!」」
「お、お前らみんな、大好きだぁぁぁぁあ!!うわぁぁぁぁぁん!!」
そして響はその場で泣き出してしまった
「(…大好き!?)」
「「大好きだって!?うひょぉぉぉぉぉ!!」」
「今時珍しい青春だなぁ」
竹中や他の先生はそんな事を口にしたとかしないとか
・・・・・・・・・・・・
その後の競技は好調だった
藤崎とのコンビネーションで、バスケにまでしゃしゃり出てきた唯斗のチームをボコボコにした
もちろん優勝した
女子バレーの方も三島さんとみんなとの連携プレイで相手をバッタバッタとなぎ倒し、決勝まで上がった
決勝までは『3点離すと勝ち』と言うルールだったが、決勝ではきっちり3セットだ。
そう言えばこの高校、3だらけだけど3が好きなのかな?
「響ちゃん、いつも通りガンガン拾ってね」
「まかせてよ!」
いつも荒々しい口調?の俺も、女性の前では甘いマスクを付ける
まぁ、結果的に口調まで丸くなって男の要素は完全に無い訳で…
でも女性には紳士的に接するのが紳士の教訓な訳で…
昔は女性に対してもタメ口だったが、高校になったら…うん…これが男のサガなのだよ…多分
さて、戦法は簡単
こっちに来たボールを機敏な俺が広い、女子が繋いで三島さんや他の女子が相手に叩き込む
…こんだけ
Cは既に倒した
残りは勝つだけ!
ちなみに決勝は俺達E対Bである
まずは三島さんのサーブから
「ていっ」
ポトッ
「え?」
相手は反応せずにボールを落とした
そしてそれが暫く続き、15点くらい取ると少しずつだが反撃するようになった
その後、2セットも取った上で18点も取っていて相手の勝機はもうないと言った所で雰囲気が変わった
「三島さん、どうなってるの?」
「…わ、解らないわ、でも後少しで勝ちよっ!」
そして俺は再度相手を見た時、ある事に気付いた
『あいつら、体力を温存してやがる』
そして三島さんがサーブを打った時、俺は叫んだ
「みんな!構えてっ!!」
次の瞬間、敵の凄いスパイクが飛んできた
ボスッ
「「え?」」
「やっぱり」
「やっと気付いたみたいね…」
そこで敵側からの声
「お、あなた達は体力を温存してたみたいだね」
お前らと言うのを抑えたのは内緒だ…
「そうよ、如何なるスポーツも最後にはスタミナが重要となってくるわ」
「つまりこの勝負は耐久戦と言うわけですね」
「そうよ。そして体力も残り少ない貴女達をまだまだ元気な私達は追い付く所か勝つ事なんて夢じゃないわ」
「ええー」
「体力の無い女子がいかにして勝負に勝つか…。それはココを使うのよ!」
B組のリーダーらしき女子はそう言うと自分の頭を指差した
ちょっとイラッ☆と来た
だって女子だから体力無いし、女子になったから頭が良くなるわけ無いし…
つまり俺はどうしろと?と言う話だ
まぁ、男子平均よりは体力あるらしいけどさ?
前の半分は確実に減ったしなぁ…
その後はBもガンガン追い上げて来た
俺はまだまだ体力があったから拾いまくったのだが、やはりみんな女の子
体力がもう限界にきていてボールが繋がっても得点までは繋がらない
なかなか点が入らないのもあり、みんな体力的にも精神的にも押されていて完全にBのペースだ
このままじゃやられる
そう悟った俺は
「ちょっとタイムをくれませんか?」
と言った
「…?少しだけよ?」
向こうも了承してくれたようだし、審判の先生にある提案を持ち掛けた
最初先生は驚いて他の先生や竹中先生も呼んで話し合い
OKが貰えた
「みんな、下がって良いよ」
「「え?」」
「響、ちゃん?」
「後は全部俺がやるから」
よく解らない様子のメンバー全員をコートから出し、E組コートには俺だけとなった
「「え?え?」」
相手側も混乱してるようだ
竹中先生も面白そうな顔で見てるし、ギャラリーもどよめいている
「な、何をしたの?他のメンバーは?」
「後は俺1人でやる」
俺の口調は元に戻っていた
「あんた、さっき頭がどうとか言ってたよな」
「ええ…」
「でもな、『体力も無い女子』で更に3大教科を全部赤点を取るような『頭も悪い女子』はどうすれば良いと思う?」
「…?」
「『男は根性』『女は度胸』…。俺にはこの2つで十分だ!」
「もう根性と度胸でなんとかするしか無いだろ!」
「…?…?…?」
自分でも何言ってるか途中から解らなくなってきたが、熱い熱い魂は伝わったかもしれない
「俺は審判に『1人でブロックもサーブもレシーブもスパイクも全部やる』って言ったんだ。だからこっからは俺のターンだ!」
そう言うと俺はサーブを打った
結果的に言うと、負けた
思った以上に1人三役は厳しく、流石の体力も持たなかった。
試合が終わった後、倒れ込む俺の元にクラス全員と竹中先生がやってきた
「ごめん…また負けちゃった…」
「響ちゃん…貴女はめちゃくちゃ頑張ったわ…」
「ありがと三島さん…」
泣きそう…
「バスケとかやった後なのに凄かったよ」
「あんがと藤崎…」
やばい…
「脛、大丈夫明治?保健室までおぶって行こうか?」
「大丈夫だよ、高橋…」
うぐっえぐっ…
「1人で20点近くも取ったんだ。先生は誇りに思うぞ!」
「だ、だったら…少しは放課後のじゅぎょう…やさ…しく……うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
俺はまた泣いてしまった
とって付けた様な感動!
感動と言うより響さんがただ号泣しただけ!
良いんですよ!青春です!これが男の暑苦しいムービーなんです!
自分の学校はみーんなクールって言うか冷めてるって言うか…
もっと…熱くなれよ!!
それにしても号泣するょぅι゛ょ…
生唾もんですね…
抱き締めてあげたい、なでなでしてあげたい、抱っこしてお持ち帰りしたい…
おっと、紳士はいつもクールに冷静に…