赤点は怖い
PC買ったせいでBO2もBF3も買えません…
スポーツ祭的なイベントがもう翌日となった。
運動部の練習はみんなスポーツ祭の為にとにかく走らされると言う地獄の様な練習らしい。
45分走って5分休んでまた45分…
まぁ以前の俺なら多分余裕なんだが、何とぞコノ体では無茶振りにも程がある
ホント、帰宅部で良かった
波頼高校はかなり高等な私立の学校で、その門も狭く5教科で420点は取らないと入れない程のスーパー秀才高校だ。
金を盛っても入れない、ボンボンや頭の悪いお嬢様などでは入る事の出来ないエリートの為の高校
唯斗には相応しいが、どうして俺が入れたのか…
滑り止めも要らないくらいの偏差値の低い所がメインだったのでダメ元でやったら受かっちゃったってヤツ
100%授業にはついていけないと思い、俺は行くのを拒んだのだが、母さんがスッゴく嬉しそうにしてるのと博樹と七海のメチャメチャ尊敬の眼差しを受けてしまっては仕方無い…
もちろん授業にはついて行けず、テストはいつも赤点
ってかココのテストはムズ過ぎる!
まだ習ってない所が出るとかおかしいだろって唯斗に言ったら
「教科書の中身を3日で把握するのは常識だろ?」
とのこと
いや、おまいら糞秀才の常識なんぞアホの俺には分からねぇよ…
そして
「お前白いし他の外人さんの評価を下げる様な事はするなよ?」
とか言われた
酷くね?酷いよね?
オマケに最近はその成績のせいで竹中先生と『ミッチリ☆放課後スタディタイム』だ
竹中先生は
「今日はここまで覚えるまで帰さん!」
って言うから帰るのは7時過ぎになっちゃうし
お陰で唯斗と一緒に帰れないし…
さ、最後まで一緒に居てくれても良いのにさ?
所変わってグラウンド
スポーツ祭も明日となると部活の有無関係無しに練習だ。
俺もみんなもセッセと練習するハメに…
だが、他のクラスと混じっての練習だから唯斗と一緒に練習出来る。
お陰で少しは気楽になれる
まぁ、唯斗の担当のこのリレーの時だけだけどな…
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「大丈夫か響?」
「あ、あぁ…全然…余裕だ…。」
疲れたー!もう疲れたー!
「それにしても凄いな、競技を掛け持ちなんて…流石特待生(笑)」
「ふ、ふぅ…ざけん…な!優等生になんてこの気持ちはっ!げほっげほっ…」
「おいおい…」
波頼高校はエリート高校
そんな高校で赤点なんて考えられない話
取った時は
「赤点取っちまったぜーHAHAHA☆」
って感じで、その重大さに気付かなかった…
話はテストを返された翌日の競技割り当ての最終決定の日にまでさかのぼる
・・・・・・・・・・・・
今日はスポーツ祭の作戦ミーティングと言うヤツらしい
ちなみに俺は女子リレーのアンカーだ。
どう考えても背の高さで圧倒的に不利だが、皆様良く解ってらっしゃる。
俺は走らせたら凄いって事を!
そりゃ不利っちゃ不利だが身体能力でカバーすりゃ良い!
「…藤崎と明治はバレー、明治はリレー、明治と高橋はサッカー、明治と三島はバスケっと…コレで決まりだな!」
え?
先生は何を仰るのです?
「さて、追加の申し込みはもう終了だ。次は応援団を結成するぞ」
ガダッ(椅子から立ち上がる音)
「ええええええええ!?」
「「か…(可愛い!!)」」
「どうした明治、何か問題でも?」
「何から何まであるよ!」
いや、そうでも無いけど
「何の事だ?」
「だって俺の知らない所で勝手に競技を追加して『問題でも?』って、問題でもあるよ!!」
「「(まさかね…)」」
「…?あぁ、まさかお前教訓見てないの?」
「…教訓?」
「「(やっぱり…。でもそんな所が可愛い!響ちゃんマジ天使)」」
「はぁ…」
教訓ってなんぞ?
あと溜め息したの高橋だろ
後で…うーん…チョップだな…よし!
「お前…説明書とか見ない輩だな?」
「あ〜、うん」
見ないね、確かに。
うん、見ないわ
「こんくらいのーパスポート?みたいなヤツに書いてあんだよ」
「生徒手帳ですか?」
「おお、わりいな藤崎」
生徒手帳?そんなの家に置いてきたけど…
「生徒手帳なら家に置いてきたけど…」
「まさか!ウチ(波頼)は生徒手帳が無いと入れない筈だぞ?」
え?そうなの?
じゃあなんで入れたし…
「まさか顔パス!?」
「三島さ〜ん、よして下せぇよ〜。ウチはそんなに偉くねーですよ〜」
「偉く無いというか頭がなぁ…」
「ひでーよ先生ー」
「「HAHAHAHAHAHA☆」」
「何なんだこのノリは…」
「高橋よ、それは俺が知りたい…」
「響ちゃんが作った空気じゃん♪」
「うっせーよ藤崎」
「強烈ぅぅぅん」
はぁ、藤崎は見た目は良いのに中身がなぁ…
ってか俺はコイツより頭が悪いのか…
溜め息しか出ないや…
という事があった
「響、顔が真っ赤だぞ?少し休憩したらどうだ」
「ハハハハ!俺は今、風になってるぜー!!」
タタタタタタタ
その後全力でグラウンドを7周くらいした俺はトラックの内側で寝そべっていた
「も、もだめ…流石に疲れた…」
「女子のアンカーは4周するからって7周も走るか普通…」
波頼は頭だけとか言われない為に運動も厳しい
部活が既に厳しいからなんとなくそんな雰囲気は出ていたが、ここまでとは
普通女子は1週、女子アンカーは2周だろ…
男子は4周、男子アンカーは8周…
鬼畜だな
まぁ俺は平気だが…
本来の余分の3周を、しかも全力で走った奴は居ないらしく先生方もビックリしてた。
ちょっと良い気味…
今頃竹中先生は生徒自慢でもしてる所…
…だと嬉しい
「それにしても…(地面に寝転ぶ響、可愛いな…)」
「それにしても?」
「あ、いや…何でも無い」
「変な唯斗だなぁ」
「ハハハ…」
「バレーにバスケにリレー…。残りはサッカーだな…」
「大変だな」
「そんなんだよ…この体は体力が無くてなぁ〜」
「それにしては女子どころか男子の身体能力を軽く上回ってるけどな」
「鍛え続けたあの肉体は消えたが、心に染み込んだ苦労と努力が俺を前より強くするのさ!」
「お前運動神経良かった割には別にガチムチでもないし、それどころかヒョロヒョロだったよな」
うぐ…
「わ、悪かったな」
「ふふふ」
「全く、イケメンは良いよな〜。フツメンが『ふふふ』とか言ったらある意味ホラーなのにイケメンが言うとカッコイイんだもんな」
「何言ってんだ、お前は何しても可愛いのに…あっ」
「え?」
「…ひゅー、ひゅー」
(↑口笛のつもりです)
か、可愛い?この俺が?
あ、今は女の子だった。
いい加減自覚しないと…
でも、可愛いって…
「(赤面してる…。ホント、この可愛いさじゃ女子は嫉妬して女友達なんて居ないんじゃ…)」
やばい、これ以上唯斗の近くに居るのはやばい…
何故かは解らないけど、なんか戻れなくなる気がして…
何処へかは知らないが…
「え、えっと…。サッカー行ってくるねっ」
てくてくてくてく
どてっ
「ぃだっ」
「お、おい大丈夫か!?」
「だだだ、大丈夫だ!こんなの余裕だ、支障は無い」
「そうか…。頑張れよ」
「う、うん!」
タタタタタタタタタタ
あ、アレ?今の俺、変だった?
いや、変だな
だって『うん』とか滅多に使わないし…。
とにかくサッカーだ!サッカーしようぜ!
今の一部始終を見ていた大半の生徒が
「「(可愛いぃぃぃ!)」」
と心で叫んだのはもはやお約束である。
・・・・・・・・・・・・
俺は帰りの支度を済ませ、校門まで向かった。
いつもはココで唯斗と待ち合わせなんだよね。
多分俺が補習だと思って先に帰ってるだろうけど…
あれ?校門に居るのは唯斗かな?
でもどうして…
「よっ響」
「え、あぁ、うん…」
「さっさと帰ろうぜ?」
「ああ」
取り合えず聞いてみた
「え、えっと…。なんで唯斗がココに?」
「なんでっておかしな事聞くなぁ。お前を待ってる以外にあるか?」
俺を待ってた?でも…
「俺は補習期間中だよ?」
「ハハハ、響は気付かなかったようだが、俺は毎日1時間はココで待ってるんだぞ?」
俺の為に1時間も?
「まぁ、親友として当然なんだがな(脳内保管は紳士の生命エネルギーを繋ぐ手段の1つだし?)」
「わ、わりぃな」
「だから親友として当然だろ?」
そう言えば機械音痴の俺にゲームを与え、何から何まで教えてくれたのも唯斗だったな…
前からこんな奴だったな
「おんぶしてく?」
「え?あぁ、うん」
当然言われたので『うん』と言っちゃった
「…ほらよ(珍しいな…)」
唯斗が良い具合にしゃがむ
なんか周りの視線が気になるけど(主に先輩方の)、いつもは乗りたいのを我満してたんだ。
頑張った今日くらいは良いよね。
「よいしょ」
「(あ、相変わらず響は柔らかいなぁ…。それにおんぶって太ももを押さえるのに尻を押さえても気付かないし。)」
「今日はオレ、頑張ったよね…」
「あぁ、何か男子より走ってた」
「早く家に帰りたいけど、ゆっくり帰ろ…?」
「…?OK」
「えへへ…」
その時の響は唯斗に無意識に甘えていたと言う。
その雰囲気は『恋人』みたいだったが、どちらかと言うと『お父さんと娘』だった為に、先輩方も何も言わなかった。
親子の幸せを邪魔する権利は、警察だろうと大統領だろうと無い
2人の後ろ姿は小さな頃を思い出させ、何だか心が暖まるものだった。
「響」
「何?」
「今更言うのもナンだけどさ」
「?」
「お前、歩く時タマにがに股だぞ」
「ま、マジかよ!?別に良いけど別に良くない!」
「女性としてな」
電車を降りればソコにはいつもの2人が居た




