第七話:最高の友達の望み
「じゃあ何だよ!!なんて思ったんだ?」
「それはな…」
黒崎は話そうとしたとたんにポケットに手を入れ煙草を出した。
「…没収?」
「あ」
黒崎は『へっへっへ〜』と笑いながらポケットに煙草の箱を入れた。
「答えはなー、嬉しかったんだよ。俺。実はよー、俺はおまえのことが嫌いだったんだよ」
「えー、言う?」
「いつでも何でも俺の後ろをホイホイと付いてくる。まるで金魚のフンだったじゃん、お前。だからよ、あの時必死にてめーの思いを話すお前の顔を見てよ、引っ越しの前にあれを見れてよかったんだよ」
黒崎も最高のプラネタリウムを眺めた。
「すげー星空」
「ここそんなに田舎か?」
星が見える=田舎のイメージを持つ黒崎がこの街を去る時に疑問を持ち始めた。
「さあな」
稲垣はそのまま寝転んだ。
「すげー、本当にプラネタリウムだぜ!!」
「本当か」
黒崎は騙されながらも稲垣の横に寝転んだ。
「プ。ラネタリウム!!」
黒崎は突如叫んで稲垣を困らせた。
黒崎は気が抜けた顔で星空を眺めた。
「黒崎ー」
「ん?」
「学校におまえの傷を残そうぜ」
「やったろうじゃん!!」
黒崎は素早く立ち上がった。
「うし!!行くか」
稲垣も立ち上がって、二人は学校に傷跡を残すため走った。
学校には誰もいなく、まるで肝試しのような気分で柵をガシャと鳴らしながら飛び越えた。
教室に入ると、すぐさま黒崎は黒板に行って適当にチョークをもって『サンキュー!!』と書いた。
稲垣はマジックで黒崎の机に『永遠の黒崎の机参上!!』と書いた。
二人は『もう消えねえじゃんか』などとコントを暗闇に公開していた。
「黒崎〜、この後どうする?」
「売店に忍び込んでなんかパクろうぜぇい」
「おう」
黒崎は教室を出ようとした。
「黒崎!!」
「ん?」
「一生、友達な」
「おう」
その後、二人は売店のシャッターを鉄パイプでこじ開け、好き放題食べ物をパクって逃げた。売店にはカメラが無かったのだ。
これを世に言う万引きなんだよね。
稲垣はパクったチョココロネを食べながら考えている。
ふう、思い出ロケット一号、完成。
黒崎は最後の思い出が出来て、喜びを感じながら思った。
「ここも最高の星空だなあ」
学校の屋上もこの日に限って最高のプラネタリウム。
星がキラキラと輝きながら二人を輝かせる。
二人は屋上でも寝ていた。
「俺が引っ越す街でも、こんな星空見れたらいいな」
黒崎は悲しい顔をしながら星空を眺める。
「見れるよ。友達が望んでいるんだからな」
「…(笑顔)そうだな」
流れ星が二本流れた。
まるで黒崎が引っ越す街に引っ越すために流れているようだった。
「朝までここにいようぜ。黒崎」
「おう」
思い出ロケット二号。完成。
明日は、黒崎がこの街を去る。
バイクで逃走。
女子との会話。
最高の友達の望み。
最高のプラネタリウム
数々の思い出ロケットに打たれながら黒崎はこの街を去る。