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空に歌えば  作者: カツオ
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第二十三話:大塚邸で福元は見た

 福元ってほんとはすげー頭がいいんだね…。ははは、すごい腹が立ってしょうがないや。

 ライブハウスを飛び出して大塚邸へと向かう俺一行。てか大塚って兄弟に本気で似てないよな。

 大沢がとかげのしっぽを踏んだ事を誰も知らず、千切れてのたうち回ってるとかげのしっぽを見て、新種のミミズとかアンゴルモアの使者とかなんか騒いでいた。大沢が隠れて泣いてたし…。

 そんなこんなで着いた大塚邸。ちびまる子ちゃんの花輪くん邸には劣るがなかなかでかい。

「でっけー」

 福元が大塚邸を見上げながら叫ぶ。

 大塚と書いてある表札の下に『大沢義塾』という表札がある。その近くに個別指導はお任せください。と書いてあるポスターが貼ってある。選挙の時に貼ってあるポスターみたいなデザインだ。

 大塚がインターホンを押すと、ピンポーンと家中に鳴り響く。なぜかエコーもかかっている。

「はい、私、大塚様の遣いの者ですけど」

 普通に家政婦って言えよ。

「ああ、俺だけど」

 大塚が俺たちには見せないような低いテンションで家政婦に応じる。それにちょっと気になる俺たち。

「坊ちゃんですか、分かりました。今お開けいたします。」

「あとさ、友達が来てるけどいい?」

「喜んで。それじゃあお開け致します」

 するとブィーンと音が鳴りながら門が開く。なんか、すげー。

 でも、古いのかなんかギギギって門が鳴く。そこがまたいいのが大塚邸。

「どうぞ」

 大塚がそう言ったので、俺たちは門をくぐった。

 噴水が休む間もなく水を噴き続けている。おまけにライオンと裸の男と考えるレプリカの彫刻が、大塚邸を飾る。

「考える男なんてライブハウス行った時は無かったぜ」

 大塚が出かけてる間に考える男を購入してる(予約してたかもしれない)なんて、やはり大塚邸は大金持ちなんだね!!ふふふ。

「すげーな」

 俺たちが大塚邸のインテリアをじっくりと眺めている。

「てか姉ちゃんの部屋に行くんだろ」

 大塚が俺たちを見下しながら言う。大塚邸の豪華すぎるインテリアのおかげでこの豪邸に来た重大な目的を忘れてしまってた。

「じゃあ姉ちゃんの部屋に行くぞ!!」

 福元が叫んで長ーーい廊下を走った。この廊下で運動会ができるな。

「おーい、ここの廊下、部屋が30部屋あるぞ」

「冷静に言うなよ!!!!」

 なんと見事な大塚の冷静ぶりに俺たちも苛立ちを覚えてしまう。

 その頃、福元は悩んでいた。どの部屋に行けばいいんだろうと。長ーーい廊下にずらーっと並ぶ扉。第一、この廊下に姉ちゃんの部屋があるのかすら分からない。

 福元は第一の扉のノブに手をかけた。ノブすら豪華だ。なんかライオンが口を開けている。ライオンが好きだな。この豪邸。

 扉を開けてみると、そこには、数え切れない本が棚に整理されている。一番でかい本棚は10メートルだ。

「メルヘンの図書館かよ!!」

 さまぁーずの三村ぶりに突っ込んだ。

 次のドアを開けるとなぜか部屋の中に白のベンツが駐車されていた。

「ベンツを部屋に置くなよ」

 こちらも華麗に突っ込む。

 他にも銀行の金庫みたいな金庫があったり、普通より三倍広いダーツバーがあった。

「なんだよ、この家」

 福元は涙目でこう呟きながら長い廊下を走っていた。

 そして…。

「ついに着いたぞ…。てかここか」

 福元は自分の身長の二倍はある大きな扉を見上げた。

 その扉にはピンク色の札に『の・ぞ・み』と書いてあって、その札が釘で打ちつけてある。普通画鋲だろ。

 ばかデカい天井にでかいスピーカーがあった。音楽鑑賞かな。部屋の前で。

 福元はそう思いながらドアをコンコンとノックをした。

「合い言葉をどうぞ!!」

 急にどこからか声がしてきたので福元はビクッとした。

「合い言葉をどうぞ!!」

 どこだ。どこにいるんだ?

「合い言葉をどうぞ!!合い言葉をどうぞ!!」

 福元はハッとしてスピーカーを見た。犯人はこいつだ。

「合い言葉をどうぞ!!」

 スピーカーから喋るロボットのような声が聞こえてくる。すげーな真のお金持ちって…。

「合い言葉を言えっていってるのが分からんのかボケ!!」

 なんか言葉使いが荒くなってきたから怖くなってきたので、とりあえず何でもいいから合い言葉を言わなきゃと思った福元は、思いついた言葉を言った。

「開けゴマ」

「チャラーンチャラーン、チャチャ!」

 さっきと同じ声でスピーカーから何か下手なボイパが聞こえてくる。資金の節約かな?

「ざんね〜ん。キャハ。惜しいねぇ。キャハ。もうこの部屋には入れないよぅ。キャハ」

 メッチャクチャイラつく事をどんどん言ってくるからさすがに福元君も怒ってきた。すると。

「スーパー仁くん、没収!!」

 と、スピーカーから聞こえてきた。その後、デカい扉の隣の壁が忍者屋敷のような回転扉のようになって、中から『ひとし』と書いた全身タイツを着てる人が出てきた。

「こんにちは、スーパー仁くんです」

 全身タイツの人はそう言った。すると、さっきの回転扉から『没収マン』と書いてある全身黒タイツの人がスーパー仁くんを羽交い締めをしたままどこかに連れ去った。その間、スーパー仁くんは『助けて…。助けて…』と言っていた。

「はい没収ぅ…キャハ」

 スピーカーの方は喜んでるのかテンションが高くなっている。

 なんなんだ。この家。

 福元がとんでもない機能に呆れながらも、また外れたらスーパー仁くんが現れるんだ。と思いながら立っていると、大塚の声がした。

「福元さん!!」

「おお〜、救いの女神さま」

 福元はそう言って大塚の足を掴んだ。

「いや、俺男なんだけど…」

 大塚は困り果てながらも、大塚の姉の部屋の合い言葉を言った。

「あの時の君との思い出が、僕の一番の思い出だったならば、今の君の一番の思い出が僕と過ごした思い出ならいいなと僕はそう思いながらまだ飲んだ事がないブラックコーヒーを飲み干した。開けゴマ」

「正解!!」

 大きな扉がギギギと音を立てて開いた。

 惜しい!!確かに惜しい!!てか分かるかよ。こんなの。最後しか分かってねえじゃん。

 大塚の記憶力に感謝しながらも俺たちは大塚の姉、大塚希美の部屋へと入った。

「いらっしゃーい、みんな!!進ぅ、よく覚えてたねぇ」

 まるで選隊ヒーローの最後の敵の『よくここまで来たな!!』みたいな誉めを大塚に言った。

 こ、この女。架空請求サイトを掛け持ちで運営してやがる!!これ、訴えれば勝てるよね。橋本弁護士!!

「まあいろいろあったけど本題に入ります」

 福元が綺麗にまとめて本題に突入した。なかなかやるね、兄さん。

「太田恵美って人知ってますかね」

「はい、知ってますよ」

 的中しました。福元は心の中でホッとした。そりゃそうだ。メルアドを知ったその日に架空請求サイトに登録する女だからね。

「おおめぐ先輩でしょ。すごく仲良しですよ私。プリも撮りますよ」

 屋良の心の中でみたいという欲望が騒いでたが、そのうち、おとなしくなっていった。

「今のその人の住所知ってるかな?」

「はい、ちょっと待ってください」

 すると、ケータイを操作し始めた。てかケータイにもダイヤが貼ってあるよ。すげえな。

「ほら、太田恵美」

 大塚の姉は太田恵美のメモリーを俺たちに見せた。なんと、住所や誕生日まできっちり記録してある。誕生日に何かもらえるのかな。てかメルアドも書いてあるからあの人も登録させられたのかな。架空請求サイトに。

「住所は板橋区のマンション。そこの近くにあるライブハウスでライブした事ある!!」

「そうか!!じゃあこの近くにあるマンションを当たれば、太田恵美が見つかるって訳か」

 すると、福元がとんでもない作戦を思いついた。だが言わなかった。それはね、後のお楽しみって奴ですよ。

「とりあえず、行きますか。板橋区」

 大塚がボタンをピッと押すと、大塚の姉の部屋の窓から大塚家の自家用ヘリが顔を出している。

「乗りなよ。みんな」

 大塚が白い歯を輝かせながら親指を立てた。真のお金持ちってすごいな。

 とりあえず高いところが苦手な俺は、アイマスクを着用して自家用ヘリに乗った。でもね、板橋区って隣の区なんだよね。だからわざわざヘリ出さなくてもいいわけ。電車でいいのにね。これを日本語で資源の無駄遣いというのだろう。地球に悪い家族だ。


ついに福元が太田恵美、通称おおめぐに会いに行きます。この小説はギター小説だけどちょっと恋愛があります。まあそれも青春ですよねぇ。

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