表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空に歌えば  作者: カツオ
15/34

第十四話:裏切りの真相

 ども、俺大沢です。

 今日の午前9時。屋良の電話で目を覚ましました。あいつ、元ジャニーズだからって調子のりすぎなんだよ。

『おはよう大沢』

「るせー、俺の数少ない睡眠タイムを邪魔するんじゃねえ」

『まあまあそれよりさ、遊ばねえ』

「なんで?」

『いやさ、長橋楽器店の近くに新しいゲーセンが出来てさ、そこで四人で遊ぼうかなって…』

「いいねー…稲垣はヤバくねえ」

『どうして?』

「あいつなんか福元のギター教室受けてるんだと」

『じゃあやめた方がいいな』

「だな」

 そして、俺と屋良と大塚は新しいゲーセンへと行ったのです。

 ゲーセンはこの街史上初の三階建てくそでけえゲーセンで、奥にパチンコもあるゲーセン。俺たちが着いた頃にはすでにうるせーゲームの音で賑わっていた。

「すげえ」

 俺たちはゲーセンの進歩に感動し、お互いの全財産を持ちあってパチンコへと向かった。

 

「すげー!!バンバン当たる」

 大塚が三連続でスリーセブンを出して、レインボーな光に包まれたパチンコ台はすごい注目されている。

 最終的にはパチンコのプロっぽいおじさんが『どいてみ』とか言って大塚を追い出し、パチンコ台を占領してしまった。

 その時の大塚の顔がすげー面白かった。

 すると、俺のケータイに着信音が。ディスプレイを見ると、『稲垣』と表示されている。

「稲垣から電話だ」

 俺が言うと、屋良と大塚は出てやれよとか言ってたので、俺はゲーセンの外に出てケータイに出た。

「もしもし、大沢です」

『もしもし、大沢?よかったよ、出てくれて…』

「どうしたんだ?」

『うん、俺さ、なんか家にいるのも嫌でさ…遊ぼうぜ。四人でさ』

「いいぜ。新しいゲーセンが出来たからそこ行こうぜ」

『分かった』

「じゃあさ、長橋楽器店に集合な」

 俺がそれを言い終えるとピーっと音が鳴って電源が消えた。充電が消えたのである。

 なんか微かに『おい!』とか聞こえたけど。まあいいや。

 とりあえず俺はゲーセンの中に入った。

「稲垣なんだって?」

「今からこっちに来るって」

 二人は『マジで』と驚いた。

「稲垣方向オンチだからタクシーでよくね?」

 屋良がタクシーを俺に薦めた。

「タクシー代ぐらい払える金はある」

 大塚は頷いて言った。

「そうだな…あっ!!もう稲垣に長橋楽器店集合って言ってしまった!!」

 直後、二人からブーイングが発生した。

「バカじゃねえの。さっさと電話してこいよ!!」

 俺はそう大塚に怒鳴られながらバカはおまえだよと思ってゲーセンに出た。

  電話を発信すると、すぐに稲垣は電話に出た。

 はやっ!!と声に出したい程早かった。

『もしもし』

 と、俺は必死で嘘を考える。

「もしもしじゃねーよ。長橋楽器店に集合なのになんで来ないんだよ」

 俺にしては立派なキレ方だと自分で感激してしまった。

『わりぃ』

「もう来ないからタクシーをよこしたよ」

『マジで!?サンキュー』

「おまえの家に着いたらクラクション鳴らすからそれ聞いたら出ろよ」

『OK牧場』

「じゃ」

 俺はケータイの電源を切った。

 俺はふぅーと息を吐いてゲーセンの中に入った。

 ちなみにタクシーにはもう連絡したので、編集上カットになりました。

 俺達が赤いサンドバッグがゆらゆら揺れているパンチングゲームで遊んでいると、見慣れた青年がゲーセンの中に入った。

 そう、福元さんだ。俺は大塚達に福元さんが来た事を知らせると、二人は『福元さーん!!』と呼んだ。

 こうゆう奴がいるから未成年のマナーはよく無いんだと俺は思った。

 福元さんは俺達の所に走ってきた。

「やあ、みんな」

「どうも福元さん。どうしたんですか?ゲーセンなんかに来て…」

「うん、ちょっと稲垣くんを待ってたらさ、見慣れない建物があったから見に来たんだ」

 福元さんは疲れた顔をしていたので、よっぽどつかれていたんだなと思った。そんな福元さんを思って俺はアドバイス。

「稲垣ならここにタクシーで来ますよ」

「ほんとかい?」

 福元さんは輝いた顔で俺を見た。

「はい。あと家に着いたらクラクションをするからそれを聞いたら出てこいって言いましたよ」

 『おいおいそこまでの情報いらねーよ』と屋良にツッコまれた時、俺はとんでもない事を忘れてしまったのだ。

 稲垣を探している福元さん。稲垣の『家にいるのも嫌で…』という電話。楽器が上手い俺らと福元さん。福元的ギター教室。厳しいからねと言った福元さんの顔。=稲垣は福元さんのスパルタ教育から逃げ出してリフレッシュに俺達と遊びたかったのだ。

「ちょっと福元さん」

 俺は呼んだが福元さんはいなかった。

 もう稲垣を引き取りに言った。

 ふっ、でもさ、タクシーが何十分も前に行ったしな…。

 すると、電話がかかってきた。

「はい」

『すいません。只今軽自動車が無理な追い越しと信号無視で起こった事故で渋滞になってしまったため遅れるそうです』

 タクシー屋からの電話だった。はは、福元さんのおかげで渋滞だって。笑えちゃうよね。はははは。

 俺はくずれた。ゲーセンの中心で崩れた。

 俺は誓った。俺のせいじゃないからね。稲垣と。

 その後、稲垣がどうなったかは知らない。

 ギター教室の最中に切れた弦、23000円。

 ギター教室の最中に飲んだジュース代。1900円。

 ギター教室のために使ったライブハウス代、40000円。

 すべてはギター上達のために、priceres。

 ついにギター教室、スパルタの域を越えてしまいましたよ。俺もう死んじゃうよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ