第十三話:裏切り?福元と大沢
とゆうわけで稲垣視線とさせて頂きました。
皆さんよろしくお願いします。
ギター初心者高校生、稲垣誠くんの日記。
「九月30日。天気見てない。
今日、僕は変なお兄さんにギターを習った。全然できなかった。もうやめたいな。ふふふ」
俺は昨日、福元っていう青年にギターを習った。
あいつの教え方、国語の先生が数学を教えるようなもの。
とにかく、分かりにくく、厳しい。
最終的にはバンドやめろと言われちゃいました。お前が言ったんだろうが!!
俺はそんな生き地獄から逃げるために大沢に電話をかけた。
プルルと発信音を聞きながら大沢を待つ。
「頼む…出てくれ」
俺は心の中で何回も祈っている。
5、6回ベルが鳴る。未だに大沢は出ない。
出てくれと強く思いながら俺は足をバタバタさせる。
「もしもし、大沢です」
キタ----(・∀・)--------!!!!!!
心の中で何回も何回もキター!!って叫んでいる。
「もしもし大沢?よかったよ、出てくれて…」
俺はホッと胸をなで下ろした。
「どうしたんだ?」
「うん、俺さ、なんか家にいるのも嫌でさ…遊ぼうぜ。四人でさ」
俺は必死に嘘をついて大沢達を誘った。自分からバンドに誘ったのに練習を逃げたと思われるのは嫌だからだ。
「いいぜ。新しいゲーセンが出来たからそこ行こうぜ」
「分かった」
「じゃあさ、長橋楽器店に集合な」
え…。今なんていった?長橋楽器店に集合?
「おい!大沢!ちょっと!」
電話は切れていた。
俺はケータイを落として崩れた。
俺、最大のピンチ系!?バイバイ、俺。
そんな事を思っていたら電話が鳴った。
ケータイのディスプレイを見ると、『大沢』と表示されている。
大沢だ!
俺はケータイをさっと拾って出た。
「もしもし」
『もしもしじゃねーよ。長橋楽器店に集合なのになんで来ないんだよ』
「わりぃ」
『もう来ないからタクシーをよこしたよ』
「マジで!?サンキュー」
『お前の家に着いたらクラクションを鳴らすからそれを聞いたら出ろよ』
「OK牧場」
『じゃ』
俺はこんなにラッキーな人間だったのか?とりあえずラッキー。
数分後、二回クラクションが鳴った。俺はこの上ない速さで玄関を出る。
「待たせてすみ…」
ねえ、大沢はなんて言ったかわかる?タクシーガ、クルって言ったよね。あのさ、俺の目にはさ、車らしき物は福元の愛車しか見えないんだよね。
もしや、ハメラレタ!?
俺は道路の中心で友達を叫んだ。俺に対する友情はこんなしょぼいものなんだねと確信した。
「サボって遊ぼうなんていい身分だね。稲垣くん」
福元が愛車から降りて俺に近づいてくる。
「く、来るなー!!」
幽霊みたいに追い払おうとしても、それは人間。いつの間にか俺の目の前に来た。
神様どうか僕の不幸を直して欲しい。(GOING STEADY
「愛しておくれ改造編」
)
「行こうか、長橋へ」
それより、君、借金どうしたの?と言いたかったが、俺は涙を飲んで車に座った。
車は俺を乗せた直後発進した。
車が揺れる音と俺の心臓の鼓動がハモっていていい感じ。
「君は本当にラッキーだね」
「えっ」
心臓の鼓動と車が揺れる音のハモリを聞いていたら福元が喋ってきた。それも意外な内容だったから俺も反応した。
「早く来たら長橋の近くに出来たゲーセンで遊ばしてあげたけど、今来たならゲーセンに行けないからギターに集中できるね」
福元がニンマリした笑顔がバックミラーに映る。
てかっ、本当に出来てたのかよ!!ゲーセン!!
大沢達のバカヤロー。ギターのバカヤロー。友情のバカヤロー。
でもなぜ大沢は裏切ったんだ?
なぜ裏切ったのだ?大沢?
その言葉を残して俺は地獄へと連行された。
ふつふつと思い出す大沢との思い出。
なぜ裏切った?
答えてくれー!!大沢ー!!
とゆうわけで大沢の裏切りの真相が次回明らかになる。