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プロローグ
昔々のその昔、この世界には何もありませんでした。
鳥も、獣も、人も、何も、何も。
ただただ、土と砂だけの世界。
何日も、何日も、ただ風だけがびゅうびゅうと吹くだけの寂しい世界。
ですが、そんな世界にある日奇跡が起きたのです。
神様の零した一滴。
ソラからぽとりと落ちて来た生命の種。
沢山の困難がありました。
風が小さな芽を吹き飛ばそうとします。
強い日差しが若木を焼こうとします。
ですが、それに決してめげることなく、種はこの世界に根付いたのです。
大きく大きく育った種は、いつしか命を生み、育む大樹になりました。
乾いた世界に水を生み、日差しを和らげる傘を広げ、そこに住まう命を沢山、沢山。
わたしたち人間も、その1つ。
もう、この世界にあるのは寂しさだけではありません。
鳥に獣に人、それだけではない沢山の命があるのです。
今はもう新たに命を生むことはなくなった大樹。
ですが、大樹は今もわたしたちを見守ってくれています。
世界樹とその名前を変えて、ずっと、ずっと。




