Episode4 「操」
[人物紹介]
・日和影郎
人々の影を喰らう暗酷と戦い始めた高校2年生。
面倒臭がりで、ゲーム好き。
灯とは幼馴染で、よく怒られている。
・菊月灯
高校2年生。
礼儀正しく、勉強なども得意な優等生。
幼馴染の影郎の前だけ冷たい。
・水裏零華
影郎達と同じ暮宮高校に転校してきた、物静かな少女。
普段は本を読んでいる。
どうやら影師らしい。
・天木陽
零華と同日に転校してきた灯の従兄弟。
人気モデルであり、実名は天木陽介。
介という字が古臭いと思い、介を消した名を芸名にし、普段も使っている。
・日和彩愛
影郎の母。シングルマザー。
影師などの存在を知らず、影郎が最近夜な夜な出かけていることを心配している。
・菊月照地
灯の父。
先代の光師である。娘と妻を溺愛しているが、ウザがられている。
・菊月美生
灯の母、照地の妻。
影師や光師などではない。
一家のまとめ役、陽が加わり更に手を焼いているとか。
-2020年4月27日 夕-
「やばいやばいやばい、え?今どんな状況かって?転校生に突然襲われてる!説明終了!うぉ!」
無数の華が、扇子の影から浮いている。
その華が影郎に攻撃を仕掛けていた。
「なんでこんなことすんの?同じ影師なんでしょ?」
言われた少女は、口を開かずそのまま扇子を持ち、舞を踊っていた。
「少しは聞いてよぉ!もう!×刀!」
影郎は、襲いかかる華を叩き落とし始めた。
すると突然、少女が舞をやめた。
「ありがとう、君の事、何となくわかったよ」
そう言うと、携帯を取りだし電話をかけた。
「もしもし、はい、時間あれば来てください、それでは」
電話を終えるとこちらに近づいてくる。
「君、誰に習った?」
少女の問いに対して正直に答えた。
「誰にって、突然送られてきた本を見て、見よう見まねで…」
すると話終える前に、腕を掴まれマンションに連れ込まれた。
最低限の家具と本棚があるリビングに通された。
座っていると、お茶を出され、自分の分も置いた後少女も座った。
そして口を開けた。
「基本しか知らないし、影術の種類とかも知らないのね」
頷く影郎。
「わかった。説明下手だけど教える」
零華がカバンからペンとノートを取り出し、何かを書き始めた。
書き終えたものをこちらに見せ、説明し始めた。
「まず、君に突然攻撃したのはごめんなさい。君がどのくらいできるか調べたかった」
突然の謝罪に、呆気にとられていると間髪入れずに説明が始まった。
「始めるね、まず変影術には3つの種類がある。君が使っている「武」、私が使った「操」、最後に「纏」
「武は、影から武器を作ることが出来る。その武器は自分の影と繋がってないと消えてしまうけど、自分の影を喰われないようにしながら戦えるのが利点。」
影郎が口を開いた。
「影と繋がってなきゃいけないから、光が大事になるし、向きとかで形が変わったのか、なるほどなるほど」
「納得してくれたようでよかったよ」
と言うと、説明を続ける零華。
「操は、自分の影を別のものに変えて操る変影術。私みたいに小さなものならいいんだけど、デカイものを使うと一気に食べられる可能性あり。自分の影を使ってるから食べ尽くされちゃったら消える」
「最後に纏、自分の影を鎧のように纏う変影術。身体能力諸々強くなれるけど、影が喰われると自分の体も喰べられる」
「以上、何か質問ある?」
影郎は頭の整理があまり追いついていなかったが
「取り敢えず、会ってみりゃ分かるだろうしいいや、ありがとう!」
そう言うと、突然腕を掴まれた。
「ちょちょ、何すんの!」
言ってる間に玄関に出された、数秒後カバンも出された。
「痛いなぁ…ん?」
よく見ると、メモが置いてあった。
「また明日、数日後髭のおじさん来る」
と書かれていた。
よくわからなかったが、カバンとメモを持ち家に帰った。
-同時刻 菊月家-
「ただいま」
灯が言うと、隣で
「お久しぶりでぇーす!ただいまぁ!」
大きな声で陽が叫ぶ。
灯が嫌な顔をしていると、大きな足音をたてこちらに向かってくる人がいた。
「灯おかえりー!陽介、うるさいわ、灯の声が聞こえんだろ、灯?大丈夫か?従兄弟とはいえ、こいつになにかされてないか?」
呆れた顔で陽が話す
「何もしてないよおじさん、それに陽介はやめてよぉ、陽って名前にしてんだからぁ…あとうるさいのはおじさんもだよ…」
小声で呟くと
「なんか言ったかぁ?あぁ?若造が…」
聞こえていたらしく圧をかけている照地は、後ろから肩を叩かれる。
「この感覚は…美生ちゃぁ…ぐはぁ!」
振り返った瞬間、ビンタされて吹き飛んだ照地。
そこには不機嫌そうな美生がいた。
「はぁもう…ごめんね陽ちゃん、大丈夫だった?」
問われた陽は
「ありがとぉ…おばさん…助かったよぉ…」
と感謝した。
灯は隣で呆れていたが、一段落したのを確認した後
「あんたが来た理由教えて」
と言い靴を脱ぐ
「あぁ!そうだねぇ、取り敢えずおじさん引っ張っていかないとねぇ…」
陽も靴を脱ぎ、横たわった叔父をリビングまで引っ張って行った。
リビングに一家が揃ったところで、陽が口を開いた。
「まぁおじさんには、少し話してたんだけどぉ、最近この暮宮町に暗酷が集まってきてるんだよねぇ」
それに対し、少し考えた後に口を開く灯
「だから最近増えてたし、バカ影まで巻き込んでた訳ね」
「そう!その通りだよ!まぁあの日和って子はなんか、保護観察しとけぇって言われてるんだけどねぇ、俺もよくわかんないんだよねー!はは!」
と陽が言うと照地が
「よし、飯でも食おう」
「寿司行くぞ寿司!」
あからさまに話題を逸らした。
強引に連れていかれたのもあり、その後話は進まなかった。
そして一家で回る方の寿司を食べに行った。
-同日 夜-
月の光が窓から射し込む部屋で、1人寝転びながら華を作り眺めていた少女。
「母さん、友達できるかな」
独り言を呟いていると、突然電話がかかってくる。
「もしもし、わかった、行く」
外へ出て言われた場所に行くと陽が居た。
「やっぱり早いねぇ、あそこだよあそこ、散歩と称して見回りに来といてよかったよぉ、まぁ?俺にかかれば?このくらい見つけて当然…って聞いてる?おーい!」
陽が話終える前に接近する零華
「早く開いて、倒すから」
言うと同時にこちらに気づいた暗酷が臨戦態勢に入った。
「ほいじゃあ、行ってらっしゃいぃ!」
光結界を開いた陽。
その中へ暗酷と共に吸い込まれていく零華。
「始めます」
扇子を取り出して舞を始めた。
「起の舞・鏡華演舞」
その掛け声と同時に、零華の影が華へと変わり暗酷の周りを包み込んだ。
みるみるうちに暗酷の体を覆うと、そのまま雑巾を絞るように捻れていった。
「これでしまい」
と言うと同時に暗酷が浄化された。
扇子をしまい、結界に向けノックする。
すると、結界は閉じていき、陽の姿が見える。
「今日も早かったねぇ、流石!水裏家の若き天才少女!って言ったところですかね!」
それを聞き、不機嫌そうになった零華が言った。
「家の事は関係ない、それじゃ」
早歩きで帰宅していく零華を見て
「家の事ほおって影師やってるの見てると、なんか重なるんだよなぁ…でも変に言わんでよかったかぁははは…今度本買って機嫌直してもらわないと!」
前を向き、自分も帰宅していく陽であった。
読んでいただきありがとうございます。
不定期なのではありますが1週間に1話程のペースでこれからも投稿していこうかなと思いますので、また読んでくださると嬉しいです。それでは!




