Episode1 「影」
私達の足元には、影がある。
それは、光の裏にあり。
それは、不規則であり。
そしてそれは、「物」が照らされている証明である。
これは影に生きた「物」達の話。
「はるか昔…」
「陰陽師、そう呼ばれる集団がいた。」
「歴史の裏で時には争い、時には国を支えた、だが伝承などで伝わっていない陰陽師の役目が存在した。」
「それは、[影浄]。」
「この世にある影を食べ、人々を脅かす、[暗酷]。」
「それを影浄させるのが、影師と光師であって…って!聞いてる!?」
夕日を背に歩いていた2人、1人が声を荒らげ立ち止まる。
すると、もう1人が退屈そうな顔でそちらを見つめ口を開いた。
「あと何回それ聞かされればいいんだ?家系がーとか、力を持ってるだーとか、聞き飽きたよーだ。早く帰ってゲームやりたいから、話長くなるなら先帰るぞ〜。」
と言うと、声を荒らげていた1人が、さらに顔を膨らませ言い放った。
「あんたね!もうちょっと自覚持ちなさいよ!これから私とバディなんでしょ!?突然の話ってのは分かるけど…ちゃんと影浄しないと!って!逃げんなー!」
夕日を背に消えていく2人の影。
2人は幼馴染。
日和 影郎 (ひより かげろう)
菊月 灯 (きくづき あかり)
現代の影師、光師である。
ーその日の夜ー
「気分上々〜!あしたこそは〜、あの部長の〜、ズラ〜、取ってやるぜぇ〜ぎゃはははははは!あれでバレてないと、思ってんのかよ〜…ヒック…」
酔いつぶれた男が街灯にもたれかかり、独り言を呟いている。
「なんだぁ?視界が暗く…寝るな!家まではぁ〜…」
視界が暗くなるのを感じてはいるが、ある違和感に気づいていない。
自分の影が食われ始めていることを。
男が気づかないことをいい事に食べ進めていく黒い影。
足元から太腿、腰、胴と食べていった。
「おれは…ねちゃ…」
男はまだ気づいていない
そんな事など気にせず、黒い影が首から上の影を丸呑みにしようとしたその時。
「光結界!」
目の前に眩い光が現れたと同時に、 少女の声が響く。
声のした方向に向く男。
すると、少女ともう1人の影が見えた。
「おっさん、逃げといた方がいいと思うよ。」
言葉遣いの悪い少年が、街灯にもたれている男に言う。
「誰がおっさんだ!まだ僕は30…」
という男の言葉を遮り、
「はいはい、酒臭いからちょっと離れてて、集中したいし」
と言う少年。
文句を言おうとした男をよそ目に、その光の中に2人は吸い込まれていった。
光の中には、影郎と灯、そして2mはあるであろう巨大な黒い影に、白い仮面のようなものを着けた不気味なものが立っていた。
「これが暗酷ねぇ、聞いてたイメージとちょっと違うかなぁ」
と影郎が呟く
「結界作ってられるのも、30分くらいなんだから!そんなこと言ってないで早く影浄して!」
呑気にしている影郎に向かって灯が言った。
「初仕事だってのに怒んなよ…んもぉわかったよ。」
「はぁ…×刀。」
そう言うと両拳を握りしめ、目の前で合わせる。
そして、左手の中から黒い塊を右手で引き抜く。
それは、刀のような物へと変化した。
[×刀]影郎の変影術。
自分の影を刀に変える。強度は自身の影の力、影力によって決まる。
「さてと、やりますか」
影郎が構えをとる。
暗酷はすぐさま襲いかかった。
それを、真っ向から受けようという影郎。
「何やってんの!避けなさいよ!避けないとあんたも食われるのよ!」
叫ぶ灯、だが声は届いていない。
ピクリとも動かない影郎を暗酷が飲みこもうと接近したその瞬間。
「×斬り(ばつぎり)…」
と小さな声で呟いたと同時に、×刀を左手の中に収めた。
次の瞬間、暗酷は切り裂かれ、影浄されていた。
一瞬の出来事で、灯は情報を処理しきれていなかった。
「灯さーん、結界閉じてちょー。」
と言う影郎の声で我に返る灯。
「はっ!わ、わかってるわよ!閉光!」
そう言うと光が消えていき、元の世界に戻った。
近くを見渡すと酔っ払った男はすっかり寝ている。
「めんどいけど、この人家の前まで届けるか?」
ため息をつきながら、呆れた顔で灯の方を見る影郎。
「しょうがないわよ、それも仕事なんだから、ほらあんたがおぶりなさいよ」
と突っぱねるように灯が言い放つ。
「うぇ〜まじかよ…俺疲れたんだけどぉ〜」
と言い駄々をこねる影郎。
「うるさい!男でしょ!早く担いで連れてきなさい!うーんと、住所は…ここね!そう遠くないから、ほら!」
と男の身分証を確認しながら催促する灯。
「分かりましたよ〜」
渋々了承し担いだ影郎。
「こいつ、初仕事とか言ってたけど、私が見てないとこで絶対修行してるわね。たく、昔から素直じゃないんだから」
と灯は心の中で呟いた。
「あんた、課題はやったの?」
「あ!やべ!急に招集されたからやってねぇ!」
「違うでしょ、あんたゲームずっとやってたんでしょ」
「あ、バレた?参っちゃうなぁ〜…イテテテ!」
「早く帰るわよ!しょうがないから教えてあげるから!」
「あ、あ゛り゛か゛と゛…は゛や゛く゛ほ゛っ゛へ゛か゛ら゛て゛は゛な゛し゛て゛…」
なんて話ながら2人は夜に消えていった。
初作品です。
楽しんで頂けましたか?
まだ分からない?そうですよね、まだ始まったばかりですので、今後をお楽しみにして頂けると幸いです!
それと至らないところが多々あると思いますが、生暖かい目で見守ってくださると嬉しいです…
Episode2でまたお会いしましょう!




