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噂の人食いトンネル。

作者: 隧道坂 燈

小鳥遊ミカは親友の宮野まゆりに最近、人が食われる事で有名な古いトンネルに行こうと誘う。


宮野まゆりは「そんなの伝説でしょ…、私、科学的に証明が出来ないことは信じない主義なのよ?」

それでも、小鳥遊ミカは「行こーよー。どんな風に食われるか気になるし…、帰ってきた例もあるからさ?ね?」と言い、新聞記事の切抜きを見せてきた。

宮野まゆりは新聞記事を見るとどうやら、食われて行方不明になりかけたが、引き返した為、無事現世に戻って来られたと言う内容だった。

宮野まゆりは「どういうことか、ちょっと科学部としても証明してみたいね…?」と答えて、行く約束をしてしまった。



そして、夏休み。

宮野まゆりは駅前に居た。

この日は小鳥遊ミカと人食いトンネルこと、澤谷隧道へ一緒に行く約束をした日だった。


小鳥遊ミカは走って「ごめんごめん。遅れた~!!」と言う。

宮野まゆりは「5分遅刻ね…。ミカは相変わらず、人を待たせるよね…。自分が誘っておいたのに」と言う。

小鳥遊ミカは「ごめん。寝坊しちゃってさ…」と言う。

宮野まゆりは、よりによって寝坊かよとは思ったが、それは言わなかった。

小鳥遊ミカは「そういえば、まゆ。鞄が大きいけど何が入ってるの?」と宮野まゆりに訊ねる。

宮野まゆりは「それは後でのお楽しみ」と言い、言わなかった。

そして、二人は駅前で食事を買って広場で食事を済ませて、二人は市内を走る路面電車の電停へと歩いて向かう。

電停に来て、電停の時刻表を見ると、そろそろ来るようだった。

古い路面電車がガタガタと音を立てて、電停へと来た。

澤谷隧道は最寄りの電停から歩いて5分くらいの所にある。

二人は整理券を取って、路面電車に乗る。

路面電車は大きな振動共に動き出す。


小鳥遊ミカはあらためて、宮野まゆりに「鞄の中身はなんなの?」と聞く。

宮野まゆりは「リトマス試験紙とか、試薬とか。霊界?とかそういう所で、そういう試薬がどういう挙動をするのか知りたくて」と答えた。

小鳥遊ミカはやっぱり、こいつ科学は全てを解決すると思っているな。と思ったが言わなかった。

そうしている間に最寄りの電停に路面電車が止まった。

二人は整理券と運賃を運賃箱に入れて降りる。

そこから歩いておおよそ5分。

澤谷隧道についた。

動画配信をするために、スマートフォンと自撮り棒を用意して配信を始めた。

二人はだべりながら、二股に分かれた道。トンネルを歩道がある側に入る。

しばらくは普通だった。

トンネルの出口まで来て、普通に出られたので、再びトンネルへと入り中程まで差し掛かった時だった。

一瞬、トンネル天井のオレンジ色のナトリウムイオンランプの光が消えた。

すぐにナトリウムイオンランプは光を放つように戻った。

しかし、照明が消える直前に隣を通過した車が見当たらない。

二人は心臓の鼓動が高鳴る。

スマートフォンを確認すると、ふたりとも圏外の表示になっていた。

小鳥遊ミカは「入ったよ!!!」と興奮気味に言う。

宮野まゆりは「分かってるよ。車も消えたし、スマホも圏外になったし…」

小鳥遊ミカは「この状態で外にトンネルの外へ行って、誰も居ない世界なのかを確認しようよ」と言う。

宮野まゆりは「いいね、私も賛成」と言い、二人はトンネルの外へと出た。

しばらく歩いても、車も人も居らず、近くにある澤谷高校も人が居なかった。

そして、二人はトンネルへと戻ってきた。

しかし、出られる気配が無い。

何度トンネルの中を往復しようとも、出られなかった。

トンネルの天井から、水が垂れてきた。

宮野まゆりはそれをpH試験紙に当てた。

pH試験紙は中性を示していた。

宮野まゆりは「もっと色が変わると思ったのに、残念…」と言う。

小鳥遊ミカは「色が変わったら危ないでしょ…」と言った。

宮野まゆりは続いて、水溜りを見つけては水質の汚染度を調べる試薬セットを使おうとする。

小鳥遊ミカは言う。「こういう世界に長く居ちゃいけないの。だから、二人で出口を探すわよ?」

宮野まゆりは「誘ったのはミカじゃない?私はここの水質がどれだけ汚染をされているかを調べてからそっちに行くわ」と言う。

仕方がないので、小鳥遊ミカは宮野まゆりが水質を調べ終わるまで待った。

宮野まゆりは「待っててくれたの?意外と優しいのね?」と言う。

小鳥遊ミカは半べそかきながら、「二度と会えない方が恐ろしいから…」と言った。

二人は何度も、出ようと試みた。

しかし、出られず小鳥遊ミカは体力の限界だった。

その時だった。

トンネルの入り口で硝子が割れるような音がした。

それは小鳥遊ミカの姉。

小鳥遊美里が異界への入り口を強引に開けて、ここへと来たのだ。

宮野まゆりはそれに気付いて、音のする方へと小鳥遊ミカを連れて行った。

小鳥遊美里は小鳥遊ミカの頬を思いっきりひっぱたく。

「危ないところには近づくな。迷惑を掛けるな。しかも、友達まで巻き込んで。あなたはいつになったら、こういうのが本当に危なくて、助けるのにどれだけ体力を消耗するか。あなたはいつまでも、分かってくれないよね」

そして、小鳥遊美里は宮野まゆりの手を引く。

小鳥遊ミカを置き去りにして、出ようとする。

宮野まゆりは動かない。

小鳥遊美里は「行くわよ。このろくでなしは妹に助けさせるから」と言う。

宮野まゆりは「私はミカさんとはお友達です。友達を見捨ててまでも、助かる選択は出来ないわ」と言う。

小鳥遊美里は「はぁ…」と溜め息を吐き。

小鳥遊美里は「一般人をこういう騒動に巻き込むと、小鳥遊家の評判に傷がつくから…」と言う。

宮野まゆりは「それはそっちの都合ですよね?私はミカさんと一緒に出られるまで、ここに残りますから」と言った。

小鳥遊美里は「認めたくはないが、私より強い妹を呼んでくるから、それまでは二人とも持ちこたえるのよ」と言いトンネルを後にした。


何もない。

人も居ない。

異界のトンネル。

どれほどの時間がたっただろうか?

外は入ったときと同じままの明るさだった。

おそらく、この異界はずっと入ったときの外の明るさを保つのだろう。

夜に入ってたら、おそらく寂しさでよりおかしくなった居ただろう。

そう、宮野まゆりも小鳥遊ミカも思った。


しばらくして、天井が破れて。

小鳥遊美里ともう一人の女性が起きてきた。

おそらく、さっき言っていた小鳥遊美里の妹だろう。

「何も分かっていない、この未成年の私をここまで連れてくるって良い度胸のね。ミカ」と言う。

小鳥遊ミカは「まい様。ごめんなさい…」と言う。

小鳥遊ミカはどうやら、小鳥遊まいには頭が上がらないようだった。

宮野まゆりは小鳥遊まいに手を引かれ、小鳥遊ミカは小鳥遊美里に手を引かれトンネルを出た。

辺りはすっかり暗くなり、様相からして深夜だろう。

終電もすっかりなくなり、宮野まゆりは歩いて家に帰る。

両親に怒られたのは言うまでも無い。

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