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7 1歩


全てが知りたい………….で、…す……」


彼女は勢い立ち上がり、私の全てが知りたいと言ってきた。

「………ぇ、あー…な、なんで?」


ヒメナ・パトリック。17歳。生まれたから幾度も経験してきたであろう、恥ずかしく穴があったら迷わずに入るであろう、この状況に倒れる寸前か?と思われるくらい頭がパニックであり、顔、耳そして首まで真っ赤に染まっていた。


(この子、見た目通りな性格だな〜。勢い余って後悔かっ)


そうして、一旦3人は座って話をすることになった。

「あのさ、初めましてだよな?」

「そうだね。ちゃんと会話をするのは今回初だね」

「!?。私はヒメナ・パトリックと言います。ポ、ポジションはガンナーで中衛で主に戦います。」

(へぇ〜、この見た目で中衛か………)


中衛とは、基本隊員らは、ゲイルなどと戦うとき、前衛、中衛、後衛といった役割に分かれる。

前衛は、道を切り開き。後衛は、後ろから全体の援護を。

そして、中衛とは前と後ろが仲間によって守られているため、比較的安全であり、戦いの実力よりも重視されていることがあった。それは、『指揮能力』。

アトラティカルの中衛は主に、前衛後衛の援護を行い尚且つ敵の位置などを知らせ、全体の指揮を出すため、視野が広く咄嗟の判断がものをいうため、中衛は実力があればあるほど、その部隊そのもの勝率があがる。いわばキーパーソン的存在であった。実際にも、中衛の隊員がとてつもない実力があったため高い指揮能力を発揮し隊を10位以内までに引き上げている。さらに、中衛はガンナーが一番有利な立ち位置である。

そのため、サキはヒメナがこの大事な重要ポジションを担っているのだと正直驚いたのであった。

「へぇ〜。ガンナー…ね〜」

「サキ・アールグレッドです。スナイパー…多分、後衛です。よろしくお願いします。」

「は、はい!」

まるで、花が咲くかのように笑う彼女にサキも微笑むのであった。

「ほら、アイルも」

「…アイル・アドラー。14歳。アタッカーで前衛だ!以上」

なんとも、ぶっきらぼうのように答えたが、ヒメナの顔は笑っていた。


「てか、お前さ、うちのサキの何が知りたい訳?あんま容易に今出会ったばかりのやつに教えれること ないんだけど…」

「え!?ぁ、えっと…」

「……。あんま大した情報持ってないし、特にこれといって私に関する情報もあんまないかも…」

(記憶、ないからな〜)

「その…以前会った時からまた、会いたいな〜って思ってて…///」

!?!?

(もしかして、この子、友達!?マジか!?誰一人としてお見舞いに来てくれなかったから、てっきり私友達いないのかと思ってた!!やべぇ〜ちょーうれしい……いや、まだその可能性は1000%とはいえない…)

「ありがとう…何が知りたい?」

「ほへっ……あ、その…」

(ど、どうしよう!私、何が知りたいとか何も考えてなかった…)


「……………」

アイルはこの場で1番年下だが、1番冷静にこの場を見ていた。

(こいつの中衛としての実力を見た方がいいな…)

アイルは第1に警戒、そして第2にヒメナの意図を考えていた。

アイル自身、自分はそこまで有名ではないと自負しているが、少なからず自分のせいで、サキと部隊を作ったことは知られていて、あまり良く思われていないことを自覚していた。

そのため、ヒメナはもしかすると、自分たちのことを調べて来いと言われて突っかかってきたのでないかと警戒していたが、サキとヒメナの会話や表情を見ている限り、ヒメナに何かしらの意図がないことが8割ほど分かった。そして、ヒメナのこの様子からして

(こいつ、もしかして俺たちのチームに入りたいのか…元々1人欲しいと言っていたし、ポジションが被らないことは、こちらとしては嬉しい…サキはどう思ってんだろ)


「え、えっと…じゃあまず、な、何期生ですか…?」

「何期…」

「あ、私は135期生です」 ガタッ!

「はぁ!?」

!?

今まで、ほとんど会話に参加していなかったアイルが信じれられないほどに大きく反応した。

サキは記憶がなく、入隊式で自分が何期生だったのか分かっていたが、ただ単純に忘れていた。ため、返答に困り僅かにだが焦っていた。

そのため、アイルが大きく反応したことにより、不意をつかれた形でサキ自身も驚いてしまった。


「お、お前、135期なのか!?」

「は、はい!そうです……」

「マジか……俺より先輩じゃねぇか………俺は136期…です。」

「!?私は 137期 だよ」

(助かった…!アイルが去年入隊だから1足すだけで良かった…。)

「マジか…サキと同期だと思った…」ボソ


(…年齢だけでいったら、大概アイルは後輩になっちゃうだけどね…)


「あはは」笑

フッとこの場に静寂が訪れたように、2人の動きや言動が止まった。

ヒメナは久々だった。頭が真っ白にもならず、自分が発する言葉1つ1つを慎重に考えず、ただ会話を楽しむ事が出来て____


サキもアイルも、ヒメナが楽しそうに笑うので、自然と穏やかな気持ちになった。


「あんたってさ、中衛なんだろ?指揮はとれるのか?」

「………指揮はとったことがなくて……」

「??ヒメナさんが指揮を…?」

「!ガンナーで中衛でもあるので、講習は受けてます」

「中衛ってのは、指揮を主に担当するポジションだ。中衛の指揮能力は1つの部隊を大きく左右するんだ。指揮をとれるか とれないかでは大きく差がでるだぞ」

「なるほど…」

(確かに中衛は、真ん中だし指揮を比較的取りやすいか…記憶が無いのは、やっぱり不利だな…。一旦、聞いてみるか…)

「ヒメナさん、最近病院に行った?」

「へ?病院…??」

「はぁ?病院…?」


ヒメナと同じくアイルも突然の発言に首を傾げた


「あぁ、ごめんごめん。この間、病院の近くで会ったかな〜って思って…」

「……巡回警備でも通ったことはないと思います」

「そっか〜、いや私のこと知りたいって言ってたから領内以外で出会ってたのかな〜って思って」

「あぁ、ふふっ。そんな偶然あったら良かったですね」

「そうだね〜」

「ま!これで俺たち、これから会ったらお互いに分かるんじゃねぇの?」

「そうだね〜」

(友達でもなかったな……)

言葉や表情とは裏腹に内心、酷く落ち込むサキであった。


「俺たち、この後 訓練所に行く予定なんだけど、


お前も来る?…興味あるんだろ?俺らの部隊」

アイルは、お前も来る?の前にサキにアイコンタクトをとり、サキは直ぐに理解し頷いた。

「!?」

(興味…。お近付きになれたらなって思ってたけど、私、この人たちと部隊を組みたかったんだ……)

ヒメナにも心がある。サキとアイルと出会ってから、何かずっと心の中の何かがずっと、ざわめいていた。

その理由がハッキリと理由になった。

私もこの2人と同じ仲間になりたいと…

まるで、運命だ。あの日にたった数秒、数十秒会っただけだというのに、勝手に運命だと思って、覚えていてもらえたことに喜びを感じて、そして今、もしかすると同じ仲間になれるかもしれない___

この初めての状況に脳は感情の赴くままだった。


(へぇー。アイルも同じ考えだったんだ。以外…)

沙希も6割ほどは、アイルと同じ考えだった。アイルは部隊を組んだのは良かったが自分と組んだことにサキが変な目で見られないかをずっと心配していた。そのため、きっとヒメナのことを警戒していたはずだ。

それなのに、アイルは彼女を誘っていいか聞いてきた。サキ的には、自分には友好的でアイルにも優しい。ポジションも被っていないし、性格的にも合うのではないかと好意的に考えていたため、自分の記憶がないこと以外は心配していなかった。

(アイルも、この子いいかもって思ってたんだ…。こういったことは合うのかもしれないな…)

ヒメナ自身の選択は__


「…あります。興味あります。ついて行かせてください。」


彼女は目は真っ直ぐで、先程も以前も彼女の目を見ていたはずなのに、


今、初めて彼女の目を見た感覚だった。


そうして3人は訓練所に向かって歩き出した。

歩き出して、最初は緊張していたヒメナだったが、居心地の良さになれ、いつしか緊張がとけていった。


訓練所_______


「よし!ヒメナ、一旦お前のガンナーとしての腕前を見せてみろ!」

「!?ほへ!?」

「何、驚いてんだよ?当然だろ?」


(あっ、アイル…。完全に生意気になったな)

アイルが生意気になること。それは今となっては気を許した。甘えていると捉えていたサキにとっては嬉しいことだった。

「そんな、緊張しなくても、どんな風に戦うのか見たいだけだから、リラックスして」

「う、うん……」


気を許したのは、ヒメナも同様であった。敬語やタメ口 混じりの口調から、2人に対してタメ口を使うようになり、サキとアイルも理解していた。



(銃の腕前はまずまずだな…)

ヒメナの銃の腕前は、本当にまずまずといった結果であった…………

よくも悪くもない成績。平均を行ったり来たりといった結果だった。

「ご、ごめんなさい」

「謝ることじゃないよ、十分上手だよ」

「ま、思っていた以上に悪くはなかったな。じゃ、次は俺たちの実力を見せてやるよ」

「は?」

「行くぞ!」

(マジか………)

まさかとは思っていたサキであったが、ヒメナが先に腕前を見せてくれたため、断りずらく渋々アイルと共に訓練を行った_____



遅くなり大変申し訳ございません。

今日からたくさん、投稿させていただきます。

次から、新人戦になります。

サキが新入隊員としてどれくらい実力があるかを見るだけなので、直ぐに終わり、大きな任務遂行に勤しみます。


読んでいただき大変誠にありがとうございました。

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