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4、白豚→お姉様にジョブチェンジする!

シャルロッテは、侍女たちが用意してくれた漆黒の軍服に身を包み、鏡の前に立っていた。


彫刻のようなスタイルに合わせて誂えられた軍服は、シャルロッテの変貌した美しさをさらに際立たせ、まるで絵画から抜け出してきた勝利の女神のようだった。

闇夜のような衣装に、月光のような金の髪が透けて輝いている。


「……悪くない、な。こちらの方が“本当の私"らしいようだ」


シャルロッテは、小さく呟いた。

秘術によって手に入れた美貌と膨大な魔力。

シャルロッテは、この力を使って、自分の人生を切り開く決意を固めていた。



シャルロッテの手には、一枚の招待状がある。


王子の婚約者でもある白豚令嬢の変貌の噂に王妃あたりが興味を抱いたのか、急遽、王宮で舞踏会が開かれることになったのだ。


シャルロッテは、今日は軽い足取りで王宮へと向かった。

お城の庭園には、色とりどりの花が咲き誇り、シャルロッテを歓迎するかのように爽やかな風が吹き抜けていた。

シャルロッテは、深呼吸をしながら庭園をゆっくりと歩いた。

すると、シャルロッテの背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「お姉様~!」


シャルロッテが振り返ると、そこに立っていたのはマリリナだった。

いつもの濃い化粧をやめて、簡素に髪を結い上げてシンプルな淡いイエローのドレスを着たマリリナは、幼い少女のように見える。

ーー本来の彼女の姿はこちらだったのかもしれない。

シャルロッテの特殊な魔力で、本当のマリリナが顔を出したのだ。



「お姉様……っ!今まで大変失礼なことをばかり申し上げてしまい、申し訳ございませんでした……!」


マリリナは、突然深々と頭を下げて謝罪した。

周りにいた貴族達が騒めきだす。


シャルロッテは、マリリナの行動に驚きながらも優しく冷静に答えた。


「ああ、気にしないで。過ぎたことだ……さあ可愛い顔を上げて?せっかくのドレスと髪が乱れてしまう……」


シャルロッテの言葉に、マリリナは顔を上げた。

彼女の目は、涙で潤んでいた。


「お姉様……お許しいただけて、本当に嬉しいです……!」


マリリナは、シャルロッテに駆け寄り、彼女の手に自分の手を重ねた。


シャルロッテはマリリナの手の温かさを感じ、秘術によって解放された魔力が、周囲の人間に影響を与えていることを改めて実感した。

マリリナは、まるで子犬のようにシャルロッテに懐いている。


ーー他の貴族たちも、シャルロッテの変貌ぶりに驚き、彼女に尊敬の眼差しを向けていた。





「シャルロッテ様、本日の舞踏会で、私と踊っていただけませんか?」


一連の出来事を見守っていた若い騎士が、シャルロッテにダンスの申し込みをした。


シャルロッテは、優雅に微笑み、「喜んで」と答えた。


シャルロッテは、騎士の手を取り、華麗なワルツを踊り始めた。

シャルロッテの美しさと優雅さは周囲の貴族たちを魅了し、会場は感嘆の声で包まれた。



舞踏会が終わると、シャルロッテはマリリナに声をかけた。


「マリリナ、少し話をしないか?」


シャルロッテは、マリリナを連れてバルコニーへと移動した。


「マリリナ、なぜ私に謝罪したんだ?みんなの前でなんて、非難されるかもしれなかったというのに……」


シャルロッテは、真剣な表情でマリリナに尋ねた。

マリリナは少し戸惑った様子を見せたが、すぐにシャルロッテの目を見て答えた。


「お姉様……私は、お姉様の寛大なお心と優しさ、そして強さに心を奪われました。以前の私は、リューズ様の虚言もあってお姉様のことを誤解していました。本当に申し訳ございませんでした……。あの時、もし非難されたとしても、それは私の責ですから」


マリリナの言葉は、嘘偽りのない本心から出た言葉だった。

シャルロッテは、マリリナの言葉に心を打たれて優しく微笑んだ。


「ありがとう、マリリナ。私も、君のことを誤解していたかもしれない。これからは、友達として仲良くしよう」


シャルロッテの言葉に、マリリナの顔は喜びで輝いた。


「はい、お姉様!これからはずっと、お姉様のおそばにいます!」

「おっと……積極的なところは以前と変わりないようだな」


飛びついてきたマリリナを抱き止めて、完璧な笑みで返すシャルロッテ。



こうして、シャルロッテとマリリナは、奇妙な友情で結ばれることになった。

シャルロッテの華麗なる逆襲劇は、まだ始まったばかりだった。

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