11、元・白豚令嬢の華麗なる復讐劇
翌日、シャルロッテは、国王に頼んでリューズを牢から出してもらった。
「ありがとう、シャルロッテ!それで、して欲しいこととは何だ?デートか?それとも、宝石やドレスでも買いに行くか?」
「私と正式に婚約破棄して欲しい」
優しげにシャルロッテを見つめていたリューズの表情が、一変する。
「話が違うじゃないか!昨日は謝罪を受け入れると言っただろう!」
「私は貴方を許すとは言ったが、以前のように婚約者として受け入れるとは言っていない。何でもすると言っただろう。魔法で記録してあるから、言い逃れはできないぞ」
「くそ……っ!美しくなったとは言っても中身は所詮、腐った白豚のままか!」
リューズ王子との婚約解消は、社交界に大きな衝撃を与えた。
しかし、シャルロッテは動じることなく、凛とした態度を崩さない。
秘術によって得た美貌と魔力、そして持ち前の知性と強さで、シャルロッテは周囲の雑音をかき消していた。
リューズは、シャルロッテを完全に失ったことで、自暴自棄になっていた。
マリリナももはやリューズには見向きもしないどころか、決別を告げる手紙を送ってきた。
全てを失ったリューズは、再びシャルロッテへの復讐心を燃やし、彼女を陥れるための策略を練り始めた。
リューズは懲りもせず、シャルロッテを妬む者たちと結託して、シャルロッテが秘術を使って悪事を働いているという嘘の噂を流し始めた。
彼はシャルロッテが魔力を使い、人々を洗脳しているという嘘の情報を流布し、シャルロッテを魔女として告発しようと企んだのだ。
しかし、シャルロッテはリューズの策略を事前に察知していた。
彼女は膨大な魔力を使って、リューズの動きを常に監視し、彼の策略を逆手に取る計画を立てた。
シャルロッテは、リューズが国王に提言する場に、あえて姿を現した。
リューズは、シャルロッテが魔女であるという証拠を再び捏造し、国王に訴え出た。
シャルロッテは冷静にリューズの言葉を聞き、そして静かに反論した。
「リューズ様。私を陥れるために、また嘘の情報を流布するとは……。私は、秘術を使って不正を行ったことなどない。私は、この力を使って人々を助けたいと思っているだけだ」
シャルロッテの言葉は、力強く、そして真実味を帯びていた。
何よりも彼女に救われたみんなが、その真実を知っていた。
シャルロッテの反撃は、鮮やかだった。
彼女は、リューズが捏造した証拠を全て覆し、逆にリューズ王子が不正を行っていた証拠を国王に提出した。
魔力で記録された映像がリューズの嘘を暴き、彼の策略を白日の下に晒した。
国王は、リューズの行為に激怒し、彼の王位継承権を剥奪した。
シャルロッテは、リューズを見下ろしながら、冷たく言い放った。
「貴方のような心の醜い男とは、友達にさえなれないようだな」
シャルロッテの言葉は、リューズの心にまたも深く突き刺さった。
リューズは、身勝手に白豚シャルロッテを嘲笑し、美しく変身した彼女のことは求め、断られたら逆上して復讐しようとした結果、全てを失ってしまったのだ。
シャルロッテは、リューズに背を向け、王宮を後にした。
彼女の後ろ姿は、まるで勝利の女神のようだった。
「人の心はそう簡単には変わらない……。だからこそ、私はーー強く美しく、そして優しく生きていきたいんだ」