儀式
歪ながらも幸せを実感した忌み鬼。これは父と暮らしていた時以来だった。
全員で夕食を食べ始める。いいなりはマスクの隙間から食べているが、シャドウは麻袋を鼻まで上げて食事をしている。
忌み鬼(顔は隠さない方がいいのか?個人の自由ってことか…)
そして忌み鬼は麻袋を取った。そして全員が驚愕する。
忌み鬼「……?なんだ?私の顔に何かついているか?」
ナースコール「あら!あなた…女の子…?」
全員「女だったのか!?」
確かに自作の変声器で声を男に変えていたが、ここまで驚かれるとは忌み鬼も思っていなかった。
忌み鬼「そんなに驚くことか?」
口に山菜炒めを詰め込みながら忌み鬼は言う。
フュージョン(キャリー)「普通にかわいい!スクープ!カメラカメラ!」
肉に夢中だったスクープは急いでカメラを取り出し、忌み鬼の顔を撮った。
スクープ「へっへーん!いただきぃ。いい記事書いちゃうよ~!」
満足げにスクープは言った。
シャドウはというと、なにも気にせず…なんなら肉に夢中で見てすらいなかった。
いいなり「おいシャドウ、忌み鬼の顔見てみろ。」
シャドウはしぶしぶ忌み鬼の顔を見る。そして…
忌み鬼「いだだだだ!ちょっつねるな!」
本物の顔かわからなかったようでほほを少しつねってきた。
忌み鬼「あー痛い…シャドウ力強いんだな。狩りに生かせそうだ…!」
目を輝かせる忌み鬼に皆が笑う。
フュージョン(フランク)「お前、狩りのことしか考えてねーのな!飯好きなのか?」
忌み鬼「生命を絶つ瞬間は心が痛むが…まぁ悪人を殺す時はスッキリする…飯は…父さんと食べる飯しか知らなかった…だいぶ前に死んだけどな…でも、ここで知れた…それだけは邪神に感謝したいところだな。」
ナースコール「あらあら…一人で寂しかったでしょうに…ここならいつでも皆いっしょ。そこだけは楽しいところねぇ…!」
そんな話をしていると、辺りは生暖かい霧に包まれ始めた…
いいなり「くそっ…もう'儀式'の時間か…」
皆が焦り始める…そこに、一人の人間がやってきた…ひどく怯えた様子で、忌み鬼たちの方を見ると逃げ出してしまった。
グチャッ
逃げ出した人間の頭にトレイルの手斧が命中した。
トレイル「よし!やっぱ人だと当たりやすいんだなー!」
得意気にいうトレイルに忌み鬼は戸惑う。
忌み鬼「い、今のはなんなんだ?何故殺したんだ?」
トレイル「これが儀式なの…決まった時間に何人かここに送られてきて、その人たちを殺すのがこの世界での私たちの役目…わざと取り逃がせば私たちには罰が与えられる。」
その罰とはなにか?忌み鬼が聞こうとしたとき、邪神が現れる。
邪神「僕から説明させてもらうね~。トレイルが言ったように何人か人を呼んでそれを君たちが殺すんだ。生き延びた者は次の儀式で採用されることもあるよ~。大体人は入れ替えるけどねぇ…たまーに逃がそうとする奴らもいてさぁ…そういう奴らは僕から罰が与えられる。その罰…は受けてからのお楽しみにね…!」
そう言い残すと、邪神は消えていった。
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