第七話 遭遇
さて、街にでてきたわけだけど、何をしようかな?食べ歩きもいいし…武器屋を見て回るのもいいな。
お小遣いは少しだけもらっているし、これだけあれば少しくらいを買っても怒られないだろう。…どうせ屋敷にいても使い道ないしな。
…なんか、アイテムの運搬用にアイテムボックスが欲しいな…異世界系での鉄板だもんな~
…よし、作ろう。俺には『万象創造』がある。望むスキルがあれば、これで作ることができてしまうのだ。ばれてはまずいし、路地裏にでも行って…
よし、創造するスキルのMP消費量でも確認するか。えーっと、内容量は…そんなに多くなくてもいいし、2m四方でいいかな?時間停止機能はいらない。mpが足りなくなってしまうしね。
今回必要なのは、ただ物を入れるだけのもの。…中身を少し確認するくらいの機能ならいいかな?けど、それも最低限にして…
さて、できる限り簡素な設定にしたつもりだが、肝心のMP消費量は——500か。偽装解除したら作れねぇかな?今の偽装解除したときのMPの最大量は720で、さっき180を使ったところだから…ギリギリ行けるな。
なら、一時的に偽装を解除して…あ、さっきまであった気持ち悪さがなくなった…まぁ、この後また気持ち悪くなるだろうけど…
さて、それでは…作成を始めようか。
「『万象創造』、発動。作成、スキル『アイテムボックス』」
<スキル、『アイテムボックス』を獲得しました>
「これでよし、と…早速発動させてみるか。…まぁ、吐き気はすごいけど」
そう呟いて、俺はスキルを発動させる。目の前に出てきたのは、リストのようなもの。どうやら、ここで入っているものを確認できるようだ。
「よし、じゃあ買い物に———って、なんだ?これ」
これで大丈夫かと思って閉じようとすると、何も入れていないのに、アイテムボックスにアイテムが入っている事に気づいた。
取り出してみると、俺が前世で買った指輪と、神様からの手紙だった。
指輪は、前世で購入したちょっと高めの物だ。これ、まだ受け取りに行ってないから、こんなところにあるはずないんだけど…?
手紙に書かれている内容はこんな感じだ。
「お主が前世に購入した指輪を渡しておこう。お主が苦労して買った指輪なのだから、それが無駄になったらお主は嫌じゃろう?
お主が幼馴染のために購入した指輪はお主が鍵をかけていた机の中に入れておいた。
少しだけエンチャントを付与しておいたから、できる限りつけているといいことがあるかもしれぬな。
…後、この指輪には同じ種類の指輪を持つ者が近くなると反応するようになっている」
あー、あの机か…夏葉なら、普通にあの厚底に気付きそうだな…鍵はその下に置いてあるし、春音が確か誕生石にハマった時期があった。あの3人なら、気づいてくれるだろう。
エンチャントは後で気になった時に確認しておくとして…なんでそんな面倒くさそうな気のつけるの…?この世界にそんな人いないんだろうからいいけどさ…
まあ、いいや。それよりも街の探索でもしよう。薬屋に、武器屋に、魔法具屋…
どれもこれもぜひ行ってみたい。武器屋で、この体にあった短剣を買ってもいいかもな…
薬…と言ってもこの世界では基本ポーションだが…その仕組みや効果も気になる。本で読んだだけでは知識は定着しないからな…実際に体験するのが1番早い…
最後は、魔法具屋。最近話題の魔導コンロをちょっと使ってみたい。これがあれば前世の趣味だった料理も楽に作れそうだ。
この世界の料理は全部かまどだからな…一回見たことあるけど、火力調整がしにくそうだったんだよな…
…その点、魔導コンロはかなり値段が高いが、火力の調整もしやすいそう。前世の料理を再現するためには、これが必須だろう。
…さてさて、まずは武器屋に行こうか。短剣はリーチがないが、今の俺の体でも使えるほど軽い。…剣身が短いのだから、当たり前ではあるけど。
よーしそうと決まれば、早速出発だ!!アイテムボックスはバレないようにしないとだな。余計なトラブルの元になりかねん…
…そんなことを思っていると、不意に女の子の困ったような声が聞こえてきた。
「…どうしよう、早めに目的地にいかなくちゃなのに、ここがどこかわかんなくなっちゃった…」
迷子か?…流石に、こんな小さい子供が困っているとなると、助けないわけにはいかないよな…
「ねえ、君、大丈夫?道に迷ってるみたいだけど…」
女の子は、その声にハッとしたように顔をあげ、俺に向かって口を開く。
「あ、この町の方ですか?良ければ道をお聞きしたいんですが…」
…まずい、俺ついさっき初めて街に来たばかりだから、この街のマップなんてなにも———
「この町の領主様のお屋敷って、どこにありますか?」
———え?俺の家?
久々の投稿…普通より少し短いです。誠に申し訳ありません…