第四話 選んだ職業
「★11職業……?」
こんなもの、聞いたことがない。★10でさえ、レベルを上げれば、一人で国を滅ぼせるというのに…ここに書かれている2つの職業はそれをこえるという。一体どれほどの力を持っているのやら…。
色々考えてみたいが、とりあえず2つの職業の概要を見てみる。1つ目が、『覚醒勇者』だ。
『覚醒勇者』
『勇者』の職業を持つものが、とある条件を達成することで獲得できる職業。この職業を持つものは、一定レベルに達すると種族が『半神」になり、さらに上げると『亜神』になる。
光の魔法に異常な適性を持ち、すべての属性の魔法を使える。
職業歴代所持者は1名。
次に、『戦魔神』だ。こちらも簡単に。
『戦魔神』
戦神が魔法を、もしくは魔神が戦技を極めることで獲得できる職業。この職業を持つものは、一定レベルに達すると種族が『半神」になり、さらに上げると『亜神』になる。
魔法と戦技、両方に適正を持ち、強力な技を使うことができる。
稀に目の色が特徴的になる。
職業歴代所持者は0名。
こうしてみるとほとんど同じだ。だが、俺はできれば目立ちたくない。ならば、前者は選ぶとまずいだろうな。
…よし、『戦魔神』で行ってみるか!これなら魔剣士で誤魔化せそうだしな。そうすりゃ目立たず行ける。
「ん?決めたか?決めたのなら早く言ってくれんか?お主をここに滞在させるのもかなり力を使っておるからの」
「あ、そうなんですね…。まあ、決めましたよ。俺は『戦魔神』を選びます」
「そうか、わかった。職業が決まったのならステータスを渡さんとな。…ほれ」
…その瞬間、体が光に包まれる。光がやんだときには、少しだけ見える世界が変わった気がした。
「ステータスを確認するには、『ステータス』というがよい。他人に見せるときは、『ステータスオープン』じゃ」
「予習してるので知ってますよ。『ステータス』」
ステータスをもらって直ぐに確認する。ステータスの確認は大事だ。今はこんな感じ。
アース・グランツ 職業:戦魔神 Lv1
HP:250/250
MP:300/300
A:120
D:80
MA:110
MD:80
S:160
I:10000
〈スキル〉
固有:『万象創造』、『焔魔術Lv1』
エクストラ:『戦神術Lv10』、『魔神術Lv10』、『戦魔結界』、『偽装』
コモン:『刀技Lv1』
強化:『身体強化』
耐性:『炎熱耐性』
称号:『異世界人』、『転生者』
知力が頭おかしいのは置いといて、かなりいいステータスだ。『戦神術』と『魔神術』に関してはLv10だし…って、知力よりもこっちのほうが頭おかしかったわ。戦闘系と魔法系の最上級スキルがレベルカンストはおかしいだろうが。ちなみに、2つの称号の効果はこれだ。
『異世界人』:職業に関係なく、すべてのスキルを使用できる。
『転生者』:経験値の取得量とレベルアップ時のステータス上昇に補正が掛かる。
…うん、色々とおかしかったわ。
「戻る前に『偽装』を使っていくがよい。目の色を変えるのも忘れずにな」
「え?目の色変わってるんですか?」
「ん?ああ、変わっておるぞ。赤と黒のダイクロイックアイにな」
「知ってる人いんのかそれ」
ダイクロイックアイとは、一つの虹彩に、2つの色がある目のことだ。かんたんに言えば、オッドアイが一つの目に集まった、みたいな感じだろうか。…さすがに特徴的すぎるだろ。
「ここにいる間は『万象創造』のmp消費を無くしてやろう。初回ボーナスというものじゃ」
ありがたい。新しいスキルを創造するんだし、大量のmpを消費する予感がしてたからな…
さて、偽装する内容だが、ステータスの弱化、スキルと称号の隠蔽、『万象創造』での『剣術』スキルの作成、そして目の色の変更だ。これらすべてを行う。
ちなみに、偽装中は相手に表示されるステータス分しか実力を出せないような設定ができる。ちょうどよいステータスに偽装を出来ればその分バレる確率は低くなる。もちろん、スキルも制限される。これを踏まえて、偽装したあとのステータスがこれだ。
アース·グランツ 職業:魔剣士 Lv1
HP:100/100
MP:150/150
A:80
D:60
MA:80
MD:60
S:70
I:1000
〈スキル〉
固有:『焔魔術Lv1』
コモン:『剣術Lv1』
強化:『身体強化』
耐性:『炎熱耐性』
能力値を全て下げ(どうやら、レベルアップしても設定した割合に数値を抑えてくれるらしい)、スキルを削減。★6職業の魔剣士にふさわしいステータスとなった。
★1職業である農民の場合は、これの5分の1もないことが多い。★2で農民の2倍ほど、★3で農民の3倍ほどだ。これでバレることもないだろう。
何で『焔魔術』は消さなかったのかだって?魔法を一つは持っていないと本当に魔剣士かどうか怪しまれるかもだからな。
さて、これで終わらせるべき作業は終わりだ。自分から偽装を解除しない以上、絶対にバレることはないだろう。
「神様。偽装も終わったのでそろそろ帰らせていただきます」
「うむ、元気での。お主が18になった頃に、お主と同じ異世界人30人ほどをそちらに送る予定じゃから、よければ手伝ってやってくれ」
「…俺みたいなやつじゃないですよね?」
「安心せい、お主と同じ事例は後にも先にもない。世界の均衡を保つために必要なことなんじゃ」
「世界の均衡…ですか?」
「あの世界にいる悪魔…あれは世界のバグみたいなものじゃ。あいつらがいる限り、あの世界が平和になることはない。そして、その王である魔王を倒せるのは『勇者』の称号を持つ者のみ。あの世界を存続させるためには、それしかないんじゃよ」
「魔王?昔の勇者に倒されたという伝承がありましたけど…」
「あぁ、確かにあやつは一度死んだ。だが、配下の悪魔どもが地道に復活をさせようとしているようでの…後十数年もすれば復活してしまうんじゃ」
「なら、俺に『勇者』の称号を渡せば——」
「純粋なる異世界人でなければ渡せんように前の担当者が設定していての…不正はできないんじゃよ」
…俺は体がこっちの世界の人だからな…魂が異世界人ってだけじゃダメか…
「それじゃあ、なんで30人も?1人でもいけそうな気がしますが…」
「魔王の強さを舐めちゃいかん。あやつはすでに神の領域の一歩手前にいる。そんな奴に一対一で挑もうなど、できるわけがなかろう」
は?神の領域の一歩手前?何そのバケモン…チーターかな?
「…わかりました。その時は俺も手助けしますよ。同族の縁がありますからね」
「すまぬ。頼んだぞ」
こうして、神様からの変な依頼を受け、俺は白い世界から出たのだった。
どうも!マイペースで投稿をしているkeiです!
一話投稿するのに約一ヶ月もかかるこの小説ですが、どうか温かく見守ってください。
今後とも、よろしくお願いします。
スキル欄のクリエイトスキルを削除しました。
異世界人を送る理由を明確にして、それに付随した会話を追加しました。