98話 束の間の幸せ
「危なかった。ありがとなリボン」
「いえいえ。きにしないでください」
リボンは嫌な顔一つせず笑顔で答える。このやさしさに涙があふれ出そうだ。
「それより、足平気ですか?最後動けてなかったですけど」
「あぁ両脚折れててな」
「え!大丈夫ですか!?」
リボンは驚いた顔をして俺を抱きしめる。
「すぐに治しますね!」
あぁなんて幸せなんだ。この柔らかい感触。女の子のいい匂い。今が戦闘中だということを忘れてしまいそうになる。
いや、今は忘れていっか
そう思い、考えるのをやめた。目を閉じ体全体でリボンを感じることに集中する。
「どうですか?痛くなくなってきました?」
「幸せだ」
「え?幸せ?」
「お前顔きもいぞ」
その時、幸せの空間の中に急に雑音が入ってきた。パッと目を開けると目の前にフレイが立っていた。
「なんだ、いたのか」
「いたのかってひどくねぇか。二人が先に逃げるから俺も急いでついてきたんだよ」
「グレイはもう来そうか?」
「あぁもうちょっとで抜けてくるだろうな」
さすがに煙玉じゃ稼げて数十秒か。急いで怪我を治さないといけない。そう思っていると、
「はい、もう治りましたよ」
既に脚は動くようになっていた。さすがリボンの回復魔法だ。
「ありがとな」
「はーい」
「リボンちゃん。俺も体中がボロボロだ。俺にも回復魔法をかけてくれ!」
そう言って両手を広げて待つフレイ。
こいつ、リボンを抱きしめたいだけだろ!
そう考えたらむかつくので止めようと思ったが、
「はい、ヒール」
「ん?」
リボンは肩をちょびっとつまんだだけだった。
「それ、生ごみの持ち方と一緒…」
「ハイ終わり」
リボンは怪我が治るとすぐに手を放し、フレイを触っていた方の手を服で拭いた。
「リボンちゃん!?今手拭いたよね?なんで!?俺そんな汚い?」
俺にだけべったりとくっついてくれるリボン。なんだかいい気分だ。
「とりあえず、敵が来る前に作戦を立てましょ」
リボンはフレイの言葉をスルーし、そのまま作戦会議が始まった。




