9話 王様の提案
「貴様が勇者と戦って勝ったら借金を半分にしてやろう」
勇者と戦うだって?
「そんなの無理に……」
「なら借金は2億のままじゃ」
「ちっ……」
王様はニヤニヤと笑いながらこの状況を楽しんでいる。
「ルイ、諦めて2人で2億返しましょ?2人で」
シオリはもう完全に諦めムードだ。
誰のせいでこうなってると思ってんだこいつは!
ただ、このまま戦っても負けるのは確定している。無謀な戦いに挑んでみんなの前で恥をかくだけだ。
やっぱり問題はステータスの差だ。勇者が全員シオリと同じぐらいのステータスだとしたら、俺の何倍もあることになる。固有スキル『ステータスアップ』を使っても同等かちょっと下ぐらいまでしかいかない。しかも3秒間だけだ。
これじゃ何の意味も……
もう勝つ手段はないかと思ったその時、俺は1つ素晴らしい案を思いついた。
「こ、これだ!」
「なに、借金を手っ取り早く返す方法でも思いついたの??」
「ちげーよ!勇者に勝つ方法だよ!」
「そんなの無理に……」
「いいから見ててくれ」
全く信じてないシオリは心配そうに俺の方をみる。
「王様、勇者と戦うよ」
「はっ、アホなやつじゃ」
王様は俺が勝てるわけないと確信しているのか余裕の表情だ。
そして、肝心な対戦相手は
「面白そうだから僕が相手してあげよう」
イケメン勇者のライトだ。
こいつは顔がイケメンでムカついてたから丁度いい。
対戦ルールはこうだ。
お互い木刀で相手に先攻撃を入れた方が勝ち。
とても単純だ。
そして、俺の作戦と相性がいい。
「それでは始めてください」
秘書の合図と共に俺と勇者との戦いが始まった。