8話 シオリの借金
俺たちに渡されたのは空っぽの袋だった。
「な、なんで……」
「そんなの当たり前ですよ」
そう言ったのは勇者レイだった。そして、シオリのことを睨みつけながら、
「この女借金が2億ダリもあるんですよ。もしかして知らなくてついてきたんですか?」
「2億!?」
異世界に来てすぐにそんな大金を借金できるはずが……
そう思っていたが、勇者ライト達の発言ですぐ納得した。
「ハハハ、そうだね。僕とシオリさんで最初に会った時にここで模擬戦をしてね。シオリさんの魔法で城が半壊しちゃって」
「しかも、連帯責任ってことで俺達は城の修復もやらされたんだぜ?なぁシオリ?」
「そんなこともありましたね……」
確かに、あまりにも城が綺麗だなとは思ったよ。
それがまさかシオリのせいだとは……
しかし、借金をしてるのはシオリだ。
「おれは関係ないな」
そう言った瞬間、王様は俺を睨みつけ
「そんなわけないじゃろ。お主にも払ってもらうぞ」
「え……」
嘘だろ……
そう思いシオリを見るがふいっと目をそらされる。
ムカついたのでシオリの胸ぐらを掴み、
「おい、お前この前なにか壊してないか聞いたよな?なんで嘘ついた?」
「……すいません」
「借金のことなんで黙ってたんだ?」
「だって!あの時ルイが勝手に名前書いたから!借金あるなんて言いにくいでしょ!」
それに関してはぐうの音も出ない。
「あー!ちくしょー!せめて借金をもう少し減らしたりはできませんか!?」
こんなのもう情に訴えかけるしかない。
さすがに王様が許してくれるとは思えないが……
「そんなの無理に……」
やっぱりか……
そう諦めかけたその時、王様はニヤリと笑った。
「いや、貴様が勇者と戦って勝ったら借金を半分にしてあげよう」