77話 動揺
「聖域を燃やしたのは君たちかい?」
「聖域?」
「あぁ、迷宮城の隠し部屋のことだよ」
「あそこか」
あの隠し部屋を聖域と呼んでいるのか……
俺達は疑いを晴らすためにすぐに否定する。
「いや違う」
「俺も違う」
俺は聖域が燃やされている時にその場にいたが、燃やしたのは俺じゃない。むしろ本の番人と一緒に守ろうとしていた側だ。だから嘘は全くついてない。
「なるほど、嘘はついてないようだね」
「当たり前だろ」
「わざわざ好きなエロ本を燃やすわけがないだろ」
「たしかにそれはそうだね」
イケメンは納得した顔で微笑む。
そのおかげで少し緊張が解けてほっと息をつく俺達だったが
「じゃあフレイ、君は何で自分が描いたって嘘をついて販売しているのかい?」
イケメンから先ほどの笑顔が消えたので、すぐに緊張が元通りになってしまった。
「いや、それは……本当に俺が描いて……」
「嘘だね。僕はまだ読んだことがなかったから気付かなかったけど、魔王様に聞いたらすぐにわかったよ。あの聖域にあったものだって」
魔王も見てるって……やっぱ男は男だな……
なんとなく予想はできていたが、完全に嘘がばれたフレイはかなり動揺している様子だ。
「それは……」
「あれを金目的で扱われるのすごく腹が立つんだよね」
イケメンの怒りが肌でビリビリと感じる。それを真正面で受けているフレイは何とも可哀そうだ。
自分に来なくてよかったぁ。そう思っていた矢先、
「それと君も。まだ何か隠してるよね?」
「え?」
いきなり怒りが俺の方へと向いた。
さっき燃やされたか聞いたときに動揺が出たのか。なんとか自分は関係ないと分かってもらえないと……そうおもって弁明しようとするが
「本当に何もしらない!」
「嘘だね。僕かなり長い年月生きてるからわかるんだ人が嘘をついているかどうか」
「えっ……」
「何?君の知っている人が燃やしたとか?」
その通りだ。あの多くのエロ本はシオリによって燃やされた。だが、シオリのためにもそれを顔に出すわけにはいかない。
「違う!」
「嘘だね。動揺しすぎだよ」
「ルイ、顔に出すぎ。それに汗も。俺でもわかるぞ……」
「あれ?」
そういわれたので顔を触ると動揺したからなのか、大量の汗をかいていた。
「まぁいいや。その燃やした人は教えてくれなさそうだし自分で探すよ」
「それじゃ僕たちはここで解散ということで……」
俺達はとにかくこの場を離れたかったのでそそくさと退散しようとするが、もちろんイケメンに止められてしまう。
「残念だけど魔王様から始末しろって言われてるんだよね。だからここで死んでもらうよ」
「「ですよね」」
「僕は魔人グレイ。知ってると思うけど魔王幹部さ。覚悟してね」




