63話 本屋の爺さん
一店舗目でボロクソに言われた後、他の本屋にも行って交渉してみるが、
「き、気持ち悪い……」
「こんなの複製するわけないでしょ」
「帰れ」
などなど、一瞬で罵倒されて追い出される始末。そんな状態が夕方まで続いた。
「さすがにここまで拒否されるとは思わなかったな……」
「全く、この本の良さがわからないなんて馬鹿ばっかだな」
だんだんと俺達も心と体が疲弊していく。そして、知る限りではこの街で最後の本屋に辿り着いた。
その本屋は見るからにぼろくて小さく、正直まともに相手してもらえるとは思えなかった。だが、そんなことは考えても無駄なのでとりあえず入っていく。
「ごめんくださーい。誰かいますか?」
古びたドアを開けてそう尋ねると、奥から出てきたのはお爺さんだった。
初めての男の店主、俺達は目を合わせて今回しかないと確信する。
「お客さんかい。こんなところまで珍しい」
「ちょっと本を複製してほしくて」
そういうと、お爺さんは渋い顔をしながら首を横に振る。
「すまんなぁ、見ての通りここにお客さんは来なくてね、もう閉店しようかなと思っているんじゃ。だから今本を複製したところで全部無駄になっちまう。ごめんねぇ」
店の様子を見たときからこういわれることは想像できていた。だが、それでも俺はこの本を複製してくれると信じていた。なぜなら、この爺さんも男だからだ。
「爺さん、本当に複製してくれないのか?」
そういって俺は三冊のエロ本を爺さんに渡す。
「いくらいい本でもさすがに……」
爺さんは無理だという顔をしながらその本を開く。すると
「爺さん、ちょっと頑張っちゃおうかな」
そう言って爺さんは立ち上がった。




