51話 迷宮城攻略⑥
「いやぁ!!!」
リボンは少し遅れて転がってくる銀の球から逃げる。
「ルイさんわかってて教えてくれなかったんですか!?」
「仕方ないだろ!逃げることしか頭になかったんだよ!」
「ひどい!!」
坂道を全速力で駆け抜けていくが、銀の球はどんどんと距離を詰めてくる。
「このままじゃ潰されるだけだわ!あんな球私の魔法でぶっ壊してやる!」
シオリは足を止め、振り返り魔法をぶっぱなす。
「ライトニング!!!」
魔法は巨大な球の真ん中へとクリーンヒットする。
「やったかしら」
あの球が普通の銀でできた球なら壊れているはずだ。そう、普通の球なら。
「うそ!ちょっと傷がついただけ!?」
「また結界か!」
銀の球は、シオリの魔法で傷が少しついただけで勢いは留まることなくグングンと近づいてくる。
「逃げろ!!!」
俺達は再び逃げ始める。だがこのまま走っても最初の扉にたどり着く前にぺちゃんこにされるのが現実だ。どうにかしてこの銀の球を止めるしかないのだ。
「リボン!地面を沼に変える魔法使えないか?」
「無理です。地面にも結界が張られていて使えません」
「ルイのステータスアップ使って止められないの!?」
確かにステータスアップを使えれば力技であの球を弾き返せるかもしれない。だが、こんなところで使ったら、この後俺は何も出来なくなる。こんな序盤で使っていいものだとは思えない。
「こんな早く使っちゃダメだろ!」
「まぁ……確かに。でもどうするの!?他に方法は!?」
「うーん……」
まったく策が思いつかない。
やっぱりステータスアップを使うしかないのか。
そう思った時、
「ローズバインド」
リボンが呪文を唱えると、薔薇とその茎でできた柵が何層にもなって俺達と銀の球の間に張り巡られる。すると銀の球の勢いを薔薇でできた層が吸収し、見事球を止めることに成功した。
「ありがとー!リボン!!」
シオリは安心したのか泣きながらリボンに抱きつく。
「助かった。でももっと前にやってくれてもよかったのに」
そう言うと、リボンは冷たい目をしながら
「確かに途中でローズバインドを使えばいいって気づきましたよ。でもルイさん何も言わずに逃げたじゃないですか」
「あ……」
「だからわざとギリギリで止めました」
リボンさん、完全に怒ってますね。
俺はミジンコ程度のプライドを捨て、すぐさま土下座をする。
「すいませんでした!!!」
「貸一です」
「えぇ」
しばらく忘れていたが、この女は初対面で俺をぶっ刺してきた頭のイカれたやつだ。
そんな人に貸しを一つ作るのは怖いが、断ったらもっと酷い目に合いそうなので泣く泣く承諾するしかなかった。
「わかりました……」
「ふふ、帰った後が楽しみですね」
そう言われた瞬間、背筋がゾクゾクっと凍った。
迷宮城を早く突破したい気持ちと帰りたくない気持ちが葛藤しながら、俺は次の部屋へと進むのだった。




