43話 ラジールはいい人?
「なんでよ!私も勇者なんだから教えてくれてもいいじゃん!」
あまりにも即答で断られたのでシオリは駄々をこねるようにして訴える。
巧みな話術はどこにいったのやら。
「無理なものは無理だ。あいつらに怒られちまう」
「ライトとレイのこと?」
「そうだ。あの二人は特にお前のことが嫌いだからな。まぁ俺もだけど」
「うっ……」
嫌いだとストレートに言われて少しうろたえるシオリ。だが、なんとか体制を整え反撃に出る。
「なんでそんなに嫌うの!?私そこまで悪いことしてない!」
「悪いことしてないって本気で言ってんのか!?お前のせいで城の修理をさせられた挙句、借金も負わされたんだぞ!」
「え、借金?嘘でしょ?」
「本当だ。そのせいで最初の方は仕事ざんまいだった……」
やっぱりシオリはほかの勇者達が借金を負わせられてたことは知らなかったのだろう。
「言ってくれればよかったのに……」
「呆れて言う気にもならなかったわ」
「ごめんなさい……」
自分が思ってた以上に迷惑をかけてたことを知り、シオリは全く反論が出来なくなってしまった。
この調子じゃ魔王の幹部の居場所を教えてもらうのは難しいだろう。
「じゃあやっぱり幹部の居場所は教えてくれないの?」
「あぁ、悪いな。あいつらはプライドが高いから、またシオリに手柄を取られるのをすごい嫌がってる。だから今回は引いてくれ」
確かに、嫌いな奴に自分よりいい成績を残されたら気分が悪いのはめちゃくちゃわかる。
今後のためにも今回は大人しくしておこう。
「わかった。でもその言い方だとラジールはそこまで手柄にこだわってないのか?」
俺は気になったので少し聞いてみると
「手柄は別にどっちでもいい。俺は強いやつと戦いたいだけだからな」
ラジールは少し笑いながらそう言った。
この人は良い奴なのかそれともただの戦い大好き筋肉バカなのか。少なくとも悪い奴には思えなかった。
「もう用事が済んだなら俺は戻るぞ。今から筋トレしないといけないからな」
「うん、わかった。またね」
要件が終わってしまったので、ラジールはさっさと家の中に戻ってしまう。
「あーあ、ラジールなら教えてくれると思ったのにな」
シオリはそう言うが、逆によくそんな自信を持てたなと思う。
「でも案外悪い人ではなかったな」
「そうですね。ちゃんと話しを聞いてくれましたし」
結局魔王の幹部の居場所は教えてはくれなかったが、その理由も教えてくれたし今回は仕方ない。
また別の方法でシオリを人気者にさせよう。




