42話 ラジールの家
「あいつらより先に魔王の幹部を倒せばいいんだわ!」
シオリが勢いよく立ち上がって意気込んだのはいいが、
「俺達は幹部がどこにいるのかわからないだろ」
「そうですよ。ほかの勇者様も居場所を教えてくれるとは思えないです」
魔王の幹部の居場所を知っているのはほかの3人の勇者だけ。俺達を毛嫌いしているわけだから教えてくれるとは思えない。
「大丈夫!巧みな話術でポロッと吐かせるの!」
そんな無茶な。俺達が行ったらそりゃ警戒されるだろう。
「それは無理だな。ライトはこの前の戦いのせいでかなり警戒してくるだろうし、レイに関しては1回会った時に色々あったからな……」
「じゃあラジールは?」
「ラジールは……3人の中じゃまだマシだと思うけど」
「ラジールに聞きましょ!」
確かにラジールはほかの2人に比べたらまだマシだ。だが、マシなだけで勇者の集会の時に完全にシオリのことを嫌っていた。
「無理だと思うけどな」
「大丈夫よ、ラジールって筋肉のことしか考えてないよ。聞いたらポロッと言っちゃうって」
そんなわけあるか。
それでも、こういう時は行動しないと始まらないので、とりあえずラジールの家へと行くことにした。
ラジールの家は王の城の近くにあった訳だが、
「でかいな……」
「さすが勇者様ですね」
その大きさは俺達が買った家よりも何倍もでかく、一軒家と言うより屋敷みたいなものだった。
「勇者同士なのに……なんでこんな差が……」
またもや勇者としての待遇の差を感じ、シオリが落ち込んでしまう。
「お、おい!早くラジールを呼ぼうぜ」
「そ、そうね。おーい!ラジール!私だけど!」
とりあえずシオリの気持ちを立て直し、大声でラジールを呼ぶ。だが、反応がない。
「あれ、いないのかな」
「いや、もう1回呼んでみようぜ。ラジール!!出てきてくれ!!」
「ラジール何してるの!!早く出てきて!」
「ラジール様!!ちょっと出てきて貰えますかー!」
それでもやっぱり返事がない。
おかしい。遠征から帰ってきたから居るはずなんだが。
それから俺達は諦めずにずっと呼び続けた。
「はやくでてこーい!」
「遅いわよー!何してるのー!」
「寝てるんですかー?起きてくださーい!」
「はよー!!!」
「おそーい!!」
「起きてー!」
「あーー!!!」
「わーー!!!」
「うーー!!!」
「うるさぁーーーい!!!!!」
しばらくすると、顔を真っ赤にしてラジールがでてきた。
「ってお前らか!ちょっとぐらい待てねぇのか!大体最後の方ただ叫んでただけじゃねぇか!」
「遅いよ。もっと早く出てきてよ。何してたの?」
「筋トレだ」
シオリの言う通り、本当に筋肉のことしか考えてないのかもしれない。
「用件はなんだ?」
ラジールはぱっぱと帰って欲しいのか、面倒くさそうな顔をしながら話を進める。
「魔王の幹部の居場所を私達にも教えて欲しいの」
「無理だ」
即答だった。




