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39話 1000万バレる

「その話知らないんだけど」


1000万を使ったということを完全に聞かれてしまった。どうにか誤魔化そうと思ったのだが、あんだけ堂々と言ってしまったのだからもう遅い。ここは正直に言おう。


「実は俺、もう1000万使っちゃったんだ……」


俺はびくびくとしながらシオリの反応を待つ。バレた原因でもあるリボンもさっきからずっとオロオロとしている。

シオリにボコボコにされるのか、ボコボコにされてボコボコにされるのか。もう、どんな未来でもボコボコにされている俺しか思い浮かばない。


シオリはしばらくの沈黙の後、


「はぁ……」


大きくため息をついた。そして、


「別にいいわよ」


全く予想していなかった答えだった。俺とリボンはあっけに取られる。

もしかして気を使ってくれてるんじゃないかと思いシオリの顔を見るが、本当に怒ってなさそうな様子だった。


「怒らないのか?」


「小さい頃からだけどルイってお金もらったらすぐ使うじゃない?だから今回もすぐ使うんだろうなって思ってたの」


確かに俺は、お年玉とかは一日で使い切ってしまうタイプの人だ。それで毎年後々後悔してる。


「それじゃあすぐ家を買おうとしたのも」


「そう、ルイが使うと思ったから」


昔からの幼なじみなだけあって俺以上に俺のことがわかってる。


「それに……私の借金一緒に返してくれたしね。流石に文句言えないよ」


「シオリ……」


俺の1000万問題が解決したのを見て、リボンは安心した様子で


「一件落着ですね」


「元はと言えばお前が口を滑らせるからだぞ」


「えへ、ごめんなさい」


「ところで、ルイは1000万も何に使ったの?」


「あ、それリボンも気になります」


そういえば言ってなかったな。

俺は昨日の出来事を大雑把に話す。


「ちょっとお店で女の子とお酒のんだんだ。そしたらベロ酔いしたせいでどんどん高いお酒とか頼んじゃってな。それに……」


だが、話している途中でシオリの視線がどんどんと変わっていくのを感じた。


「えーと、どうしたの?」


違和感を感じた俺はそう聞くと、シオリは完全にイラつきながら


「そんなことに金使ったの?」


「いや、でもさっきお金使ったことは許してくれたんじゃ」


「こんな無駄なことに使ったなら話は別」


えぇ……

さっき文句言えないとか言ってたのに……


「どこの店?」


ここで正直に言ったらまたシオリが機嫌を損ねるがする。


「ただの居酒屋だよ」


「居酒屋で1000万もするわけないでしょ」


ですよね。

さすがにこんな嘘じゃ騙せない。俺は何かいい嘘はないかと考えていると、


「あ、ルイさん酔っ払ってたから忘れちゃったんでしょ。ドリームナイトですよ!領収書に書いてあったじゃないですか」


「ドリームナイトって、この街の女性から嫌われまくってる風俗店じゃない!」


リボン!貴様やりやがったな!

だが、ここからリボンの無意識の言葉の暴力が始まった。


「えぇ!そうなんですか!?じゃあルイさんはシオリさんと稼いだお金で他の女の人に貢いでたってことですか?」


「い、いや……」


「それでそのことを隠し通そうとしてたんですか?最低じゃないですか!」


あのアホなリボンに何も言い返せない。

さっきから確信を突く言葉が俺の心臓にグサグサと刺さる。


「ルイがそんな人だと思わなかった」


「シオリ!待って……」


俺は離れていくシオリの腕を掴む。


「気持ち悪い」


だが、その一言を吐かれて帰っていってしまった。


「き、気持ち悪い……」


その一言が俺の心をボロボロにするのは簡単だった。


結局新しい家には住むことになったのだが、1週間シオリは口を聞いてくれなかった。

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