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3 導人

「ゆ、勇者だって!?」


「そ、勇者!すごいでしょ!」


シオリは自信満々の表情で頷く。

この感じ嘘をついているようには全く見えない。


「本当なのか……?」


「本当よ!それより、一旦私の泊まってる宿に戻りましょ。ルイも怪我してるし」


そういえば、足に剣が刺さったままだった。

あまりにも衝撃的なことが連続でおこったので、すっかりと忘れていた。

だが、怪我を意識をした瞬間激痛が走る。これでは歩いて帰るのかかなりきつい。


「シオリ、頼む。運んでくれ……」


「もう、しょうがないわね」


シオリは面倒くさそうな顔をしながらも俺を背負って街までと運んでくれた。

しばらくして着いたのは、俺の泊まっている宿だった。


「シオリ、なんで俺の宿知ってるんだ?」


「何言ってんの、ここは私が泊まってる宿よ」


「え?」


「え?」


まさかと思ったが、俺達は同じ宿に泊まっていたのだ。そして部屋も隣同士。


「昨日叫び声がうるさかったのルイだったのね。文句言いにいきそうになったわ」


「ごめん、ちょっと荒れててな……」


あれを聞かれてたとしたら少し恥ずかしい。

俺はその後すぐに傷を治療してもらい、シオリがこっちの世界にきてからの話を聞いた。


「へぇ勇者4人もいるのか」


「そーなの。みんな特別な力をもってるからめちゃくちゃ強いのよ!魔王なんてすぐ倒してあげるわ!」


「シオリはどんな力もってるんだ?」


そう聞くと、シオリは微妙な顔をして


「ひ、ひみつ……」


「教えてくれたっていいだろ!」


「そ、そんなことより!私この街に強い人を探しにきたの!」


何かはぐらかされた気もするがまぁいい。


「仲間探しか?」


「そう!」


そう言ってシオリはカバンから1枚の紙を取りだした。


「これは?」


「これは勇者の導人を登録するための紙よ。ここに名前を書いたら勇者と一心同体!どっちかがモンスターを倒しても両方に経験値が入るようになるの!」


「なにそれ!神アイテムじゃん!俺の名前を……」


「ダメに決まってるでしょ!ルイ最弱モンスターのゴブリンにも負けてるんだから」


クソっ!レベルを上げれる手段はこれぐらいしかないのに!これに名前を書いたら強くなれるかもしれないのに!

ここはもう無理やりにでも書くしかない!


「わかったよ。俺もシオリの足引っ張りたくないしな。ギルドにいけば強い人なんかいっぱいいると思うぞ」


「案外あっさり諦めるのね。ありがとう、ギルドに行ってみるわ」


「あぁ。でもその前に、ポーションを買ってきてくれないか?さっきの怪我がまだ痛むんだ……」


「だ、大丈夫!?すぐ買ってくるから待ってて!」


「頼むよ」


シオリは焦った様子ですぐに宿を出ていった。導人の登録書を残したまま。


「ふふふ、昔からシオリは面倒見がいいところがあるからな!痛がればすぐに心配して買いに行くと思ったぜ!!」


人の優しさに漬け込んだクズ人間?

何とでも言うがいい!俺を信用して紙を置いてったアイツが悪いんだ!


俺は、ペンを持ち綺麗に自分の名前をかく。すると、紙が白く光輝いた。それと同時にさっき出てったはずのシオリが戻ってきた。


「ルイ、ポーションの他にもご飯とか買ってこようか……って、何してんのーーー!!!???」


シオリは見たことがないぐらい焦った顔をし、登録書を取り返そうとする。しかし、もう手遅れだった。


『田中ルイを導人として認める』


頭の中でその声が聞こえたあと、登録書は消え去ってしまった。


「よ、よっしゃー!!!!」


「あ、あんたねぇ……!!!」


シオリは今にも泣きそうな顔をしながら俺の事を睨みつける。


「これからよろしくな!勇者様!」


「うぅ……これじゃ魔王倒せないよぉ……」


こうして俺達の冒険は始まるのだった。



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