2 異世界での再会
ピンチな俺を助けてくれたのは、まさかの日本での幼なじみ宮本シオリだった。
こんなところで会うなんてありえない。そう思ったのだが、綺麗な黒髪ロングに大きな目、主張の激しくないスラッとした体。さらに、声もシオリそのものだった。そして、シオリは俺が日本で死んだ原因と言ってもいい奴だ。それは何故か。
これは俺が日本で死ぬ前の出来事である。
その日、放課後俺は久しぶりにシオリと一緒に帰っていた。シオリとは幼稚園の頃からの仲で家も隣。小中学生のころはよく遊んでいたが、高校では美女のシオリと一般人の俺ではカーストが違うということもあってあまり話さなくなった。だが、帰り道に会えば一緒に帰っている。
「ルイって高校になって全然話しかけてくれなくなったよね」
「カーストトップの集団にいるシオリに話しかけられるわけないだろ」
「そんな〜、みんな面白くていい人達なのに!」
そんなたわいもない話をしていたその時だった。
「きゃー!!!」
後ろから悲鳴が聞こえてきた。俺達は急いで振り返るとかなりのスピードでフラフラと走っているトラックと尻もちをついたおばさんがいた。多分、居眠り運転をしていたのだろう。
そしてそのトラックはそのまま俺たちの方に突っ込んできていた。
このままじゃひかれる!
そう思い逃げようとしたがシオリの反応が遅れているのに気づく。
「シオリ!危ない!」
「えっ」
気付いたら俺はシオリを突き飛ばしていた。そして俺はそのままトラックにはねられ死んでしまった。
あの時に、シオリは助かったと思ったのだが
「あの時、シオリも死んじゃったんだな。ごめんな、助けられなくて……」
命を張って助けたつもりだったが、情けない。
しかし、俺の謝罪にシオリは少し戸惑った様子だった。
「ち、違うの……」
「何がだ?」
「実は、トラックにひかれた時はルイのお陰で少ししか怪我してなかったんだけど……その後一応行った病院で階段踏み外しちゃって……死んじゃった!ごめんね!」
「ふ、ふざけんな!!!せっかく俺が命張って助けてやったのに!!」
「うーん……ごめんね!」
このクソ野郎……!
シオリはベロをペロッと出しながら謝る。これはシオリが反省してない時にやるものだ。
「で、でもさっき私もルイのこと助けてあげたでしょ!ゴブリン……プッ……ごときに……ププッ……死にかけてるルイを!」
反省しているどころか今度は俺を馬鹿にしてきた。だが、本当に助けられてしまったのでぐうの音も出ない。
助けられた時の雷の威力、凄まじいものだった。なにをしたらあんな威力の魔法がうてるのか。
「なぁ、シオリはこっちで何をやってるんだ?」
気になってシオリに聞くと、返答は驚くべきことだった。
「私、勇者やってるの!」