14話 ライオン男
「どうしたんだ?」
「い、いや、ただ魔法をうってただけです……」
「おう、そうかそうか。いきなり大きい音がしたからビックリしたぜ」
そのライオン男は流暢に人間の言葉を話している。
顔がライオンかのに仕草や声が人間なので違和感がある。
「獣人なのか?」
「いや、この世界には獣人はいないはずよ」
確かに、この世界に来てから獣人は1回も見たことないし、話も聞いたことがない。
だが、顔が完全に黒のライオンで体格も人間より一回り大きい。これを獣人以外のなんて言えばいいのかわからない。
そんな様子を読み取ったのか、そのライオン男は笑いながら
「ハッハッハ!初めて見るよなこの姿のやつは。元々は百獣の王だったんだが、ある人に人間みたいに変えてもらったんだ」
やっぱりライオンだったのか。
それより、生き物を人間の姿に変えることができる奴がこの世界にいることの方が驚きだ。
勇者並の力を持っているのではないか。
「ある人って誰なの?」
「それは秘密だ。でも、その人はめっちゃ強いんだぜ。なんて言ったってこの俺が手も足も出ないんだからな!」
こんなごつくて力がありそうなやつが、手も足も出ないなんてある人ってのは相当な実力者なのだろう。だから名前を隠しているのか。
「それで、ここで何してるんだ?」
「あぁ、俺はその人にここに重要な宝があるから見つけて欲しいって頼まれたんだ」
こいつも宝狙いか!
やっぱり宝があるというのは本当なんだろう。
「でもなー、その宝がぜんぜん見つからねぇんだよ」
ライオン男は困った顔をしながら言う。
俺達も見つけることはできてないが、今1番怪しいのはあの頑丈すぎる岩だ。あの岩の下とかに隠し通路みたいなのがあるかもれない。だが、俺達ではあの岩を破壊することができない。
それなら、この力がありそうな人に協力してもらった方がいいのかもしれない。報酬は減ってしまうかもしれないが取れないよりはマシだ。
「それなら、この岩が怪しいんだ。魔法をうっても壊れないし」
そう思い、俺はこの岩について説明した。
「そうか。ちょっと離れてろ」
ライオン男は、そう言うと思いっきり岩を殴った。岩はやっぱり壊れなかったが、その威力は凄まじく大地が揺れた。
なんて威力だ……!
その威力を目の前にして、俺は足が震えた。
勇者であるシオリも冷や汗をかいている。
パンチ1つで分かった。こいつは間違いなく俺のステータスアップ状態よりも、そしてシオリよりも強い。
また、俺は心の中で思っていたある疑いが確信に変わった。
シオリももしかしたら気づいているかもしれない。そう思ってシオリを見ると、シオリは俺の目を見て頷いた。やっぱりシオリも気づいていたのだ。
こいつ、絶対魔王の幹部じゃん。




