119話 ルイの初戦
「君か…この前のリベンジ戦といこうじゃないか」
俺の初戦の相手として出てきたのは勇者ライトだった。
「きゃー!ライト様よ!」
「今日もかっこいいわ!」
出てきただけでこの歓声。気持ちがいいくらい憎たらしい。
だが、ここでライトを倒せばこの歓声も俺のものになるのだ。
「また、勇者のプライドをへし折ってやるよ。ぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃにしてポイっだ!」
「大丈夫!今回は負けないさ!」
こうしてお互いの意地とプライドを賭けた戦いが始まった。
数分後、気づけば俺はリボンに膝枕の上で泣いていた。
「うぅ…負けた…」
俺は試合に負けたのだ。それはきれいな逆転負けだった。
「お疲れ様です。でもライトさん相手によくやりましたよ」
「でもあいつ、試合が終わった後に言ったんだ。『これがデニスか。意外と面白いね』って」
「へぇ、あれで初心者だったんだね」
そう。だからライトは俺と試合をしている間にコツをつかみ、俺のことを倒したのだ。いわゆる才能タイプの人間なのである。
「しかも、あいつ俺に向かって最後、『いい試合だった。これで一対一だね。また今度勝敗を決めよう』って言ってきたんだ…」
「いい人じゃないですか」
「それの何がダメなの?」
「俺が醜いじゃんか!試合前に勇者としてのプライドをぐちゃぐちゃにしてやるとか言ったのに。そこは『口ほどにもないね』とか『あれ、寝てる間に試合終わってた』とか言ってくれたほうが良かった…」
「さすがにライトさんはそんなこと言わないと思いますが…」
たしかにライトは絶対そういうことは言わないタイプなのだろう。今日ですごく実感した。
「それで、このまま勝ち進めばシオリさんがライトさんの相手ですよね?勝てそうですか?」
今回のトーナメント表だと、右側にシオリとライトがいる。なので決勝の前に確定でライトと戦うことになるのだが、
「う~ん。正直わからないね。どのくらい成長するかによるし。それよりもやばいのはラジールとレイだね」
ラジールとレイはトーナメント表の左側。なのでシオリは決勝まで当たらないのだが、この二人がとにかく凄かった。
「確かにそうですね。ラジールさんの球の威力もすごいですし、レイさんの動くスピードも桁違いです」
「そう、正直先に潰しあってくれて助かるよ」
ちょうどその話をしていた時、会場から大きな歓声が聞こえてくる。
「始まるみたいですね、ラジールさんとレイさんの勝負」
「見に行こ!ルイもいつまでも泣いてないで立って」
シオリに手を引っ張られ、俺たちは試合会場へと向かった。




