117話 欲に正直
「はぁ気持ちいい」
体を流したあと、俺はすぐに風呂に入る。
ここ最近、エロ本の販売やグレイの件で忙しくて風呂にゆっくり浸かる機会がなかった。
この温泉はもちろん天然温泉で、疲労回復効果がある。
「やっぱこれだな」
「だねぇ」
「ですねぇ」
俺たちは風呂の中でまったりとしながら話し始める。
「グレイと戦ったせいで筋肉痛がひどい」
「わかる。てかグレイが言ってたある人のこと結局聞いてないね」
疲れすぎてて忘れていた。ある人とは、グレイが言っていた魔王が唯一敵としてみている相手のことだ。
「それならリボン聞きましたよ」
「ほんとか!誰だった?」
「それがわからないそうです」
「わからない?」
「はい、そういう人がいるのは確からしいんですが誰かはわからないみたいです」
「あいつ…」
生き残るために嘘つきやがったな。
「でもまぁいいんじゃない。聞きたいことなんか他にもいっぱいあるしね」
「まぁそっか」
でも次会った時はしばこう。
「とりあえず、しばらくは休憩しよう。レベルも上がってお金も手に入ったことだし」
「そうですね。あ、でも今度デニス大会が行われるみたいですよ」
リボンの口から何か聞き覚えのあるフレーズが聞こえてくる。デニス大会。これはまさか…
そう思いシオリのほうを見ると、すぐに目が合い向こうも気づいている様子だった。
「デニスって何のこと?」
シオリが恐る恐る聞くと、リボンは驚いた顔をして、
「え!知らないんですか?デニスはボールをラケットで打ち合うスポーツですよ」
「そ、そうなんだ」
俺とシオリはここで確信する。これは俺たちと同じ異世界転生者が持ってきたものだ。
デニスってあまりにもそのまますぎるだろ。
「二人は出ないんですか?」
「俺はいいかな」
「私もいいや」
今は疲れているし休みたい。それに優勝しても景品は賞金とかだろう。
「ですよね。優勝しても賞金がもらえるだけですし。あとみんなの前で表彰されるらしいですけど。別に要らな…」
「私出るよ」
「え、さっき出ないって」
「やっぱり体をなまらせちゃいけないと思ってね。ちょっとした運動でもしよっかなって思ったの」
「シオリさん…!さすがです!」
「でしょ!」
嘘だ。こいつみんなの前で表彰されて有名になりたいだけだ。
全く、どこまでも承認欲求の高い女だ。
「それでもちろん結構観客も多いよね?」
「はい!特に女の子たちが多く見に来ま…」
「俺も出よう」
「え!?ルイさんも?」
「うん。やっぱり何事にもチャレンジしてみたいと思ってね」
「か、かっこいいです~!」
「だろ」
シオリがジト目で俺のことを見てくるが、今回はお互い様だろう。
「じゃあ二人とも頑張ってくださいね!」
「おう!」
「任せて!」
こうして俺たちはデニス大会への出場が決まった。




