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110話 乙女なギルドマスター

グレイとの戦いが終わって、すぐに俺たちはギルドマスターのところに行くことにした。ギルド前で待ち合わせをし、無事リボンも帰ってくることができたのだが、


「グレイ、顔青いぞ」


「ちょっと疲れちゃってね」


グレイはずっと顔が青白く、元気を失っているようだった。また、俺の肩をたたきかわいそうな奴を見る目で見てきたりとよくわからない行動をとった。しまいには


「リボンさん。荷物持ちましょうか?」


「リボン何も持ってないよ」


「あ、本当だ」


と、リボンにへこへことしている。確かにリボンの回復魔法はすごいので感謝したくなる気持ちはわかるが、あそこまでではない。


そんなとこに疑問を持ちながらも、俺たちはギルドマスターの部屋へ訪れた。


「失礼します」


ドアを開けると、部屋には不機嫌そうなギルドマスターが座っていた。そして、俺とフレイの顔を見るなり、


「ここに戻ってきたということはちゃんと倒したんだろうな?」


と、鬼の形相でにらみつけてくる。

だが、今回はちゃんと倒してきたので怖くはない。


「ちゃんと倒したぜ」


「本当か?」


「本当だ。でも殺してはない。生かしたまま連れてきた」


そう言って俺はグレイを部屋に呼ぶ。


「生かしたまま連れてきた?何馬鹿な事言ってるんだ!魔王幹部だぞ!」


「でも思ってたより悪い奴じゃないぜ」


「そんなのどうでもいい。魔王幹部をかくまったら死刑に値するぞ。今すぐ殺ぜ」


ギルドマスターは今まで見たことのないぐらい怒っている。このままじゃ俺たちまでぼこぼこにされる。そう思っているとちょうどグレイが部屋に入ってきた。


「失礼します。あなたがギルドマスターですね」


「え、あ…は、はい…」


「「「「「ん?」」」」」


グレイが入ってきた瞬間、ギルドマスターの態度が三周半ぐらい変わったのだ。ギルドマスターはさっきまで怒りで顔を赤くしていたが、今は違うことで顔が赤くなっている。

これは間違いなく恋をしているときのやつだ。


「ギルドマスターってイケメン好きなんだね」


「いや、そういう経験がなさ過ぎてイケメンに弱いだけだと思うけどな」


「おいそこ、なんか言ったか」


「「いいえ、何でもありません」」


さっきまで乙女だったギルドマスターは、俺たちの顔を見るときだけ再び鬼に戻る。

そして、再び乙女モードへと入っていった。


「魔王幹部のグレイさんですよね」


「はい。そうです。忙しいところお話の機会を作ってくださり、ありがとうございます」


「いやいや、全然!ちょうど暇だったの」


そういうギルドマスターの机にはたんまりと資料が置いてある。多分今日中に目を通していかないといけないものだろう。俺たちの時には、『仕事が忙しいんだ。時間をかけさせるな』とか言うのに、なんだこの差は。少しだけ腹が立ってしまった。

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