108話 グレイの運命③
「え?リボンも?」
「どうしてですか?」
「情報収集です」
「情報収集?」
「はい。リボンたちはまだまだ魔王軍について知らないことが多すぎます。だから聞けたらいいなって」
「そんなの教えてくれるわけがないでしょう」
リボンの案をレイがきっぱりと否定する。正直、俺もレイと同意見だ。魔王がそれを許すとは思えない。きっと、機密をばらしたらグレイはどこまでも追い掛け回されるだろう。
「グレイさん。教えてくれますか」
「リボン、さすがに教えてもらえないと思う…」
「いいよ」
「え?」
即答だった。悩む間もなく首を縦に振ったのだ。
自分が言えることじゃないが、仲間を売るのが早すぎだ。
「お前、もしかして女にお願いされたら何でも言うこと聞いちまうのか?」
「違うよ。魔王様が別にバラしてもいいって言ってたんだ」
「相当自信があるんだね。その魔王様は」
「あぁ。強いからね」
グレイは誇らしげに答える。だが、すぐに悲しそうな顔をしながら話し始めた。
「でも、自信があるからだけが理由じゃない。魔王様は周りに対して興味がないんだ。部下にも、もちろん君たち勇者にもね」
興味がないと言われ、シオリとレイは少し不服そうだにする。
「殺されるかもしれないのに?」
「あぁ。それに魔王様はある人しか見ていない」
「ある人?誰だそれ?」
「まだ言わない。僕を生かしてくれたら教えてあげる」
こいつ…わざわざ気になるように言いやがって。
俺はムカついてグレイをにらみつけると、グレイは俺とフレイを見てにこっと笑い、
「だいたい、君たち二人が一番知りたいことはもっと違うことだろう?」
「違うこと?」
完全にばれていた。俺たちは焦りながらもシオリたちに追求される前に話を進める。
「ま、まぁ情報も教えてくれるみたいだし。取引成功ってことでいいんじゃないか?」
「ルイのいうとおりだぜ!こういうのは思い切って決めちゃうのが大事だろ?」
「でも…」
それでも、2人はまだ悩んでいた。やっぱり勇者としての名誉やお金が欲しいのか。
だが、しばらく考えた後、
「わかりました。生かしておきましょう」
先にレイが答えを出し、
「…私もそれでいいよ」
すごい嫌そうだったがシオリも了承した。
結果、グレイはこのまま生かしておくことに決定した。
この後はリボンに傷を治してもらい、グレイのことについての話し合いが始まったのだが、結局どうすればいいのかわからなかったのでギルドマスターに話をしてみることにした。
「じゃあ帰るか」
「そうだね」
「はぁ疲れたぜ」
「リボンさんは帰らないのですか?」
「はい、グレイさんの治療に少し時間がかかるので先に行っててください」
さすがに一人じゃ危ないんじゃないか。そう思ったが逃げないようにバインドでぐるぐる巻きにされているグレイを見てその心配はなくなった。それに疲れてしまっていたので早く家に帰りたかった。
こうして、グレイとの戦いは幕を閉じた。




