107話 グレイの運命②
「俺もこいつを生かしておきたい!」
「フレイまで!いきなりどうしたんですか?」
「そんな悪い奴には見えなくてな。殺すのもかわいそうかなって」
嘘だ。サキュバスのためである。
だが、目的が一緒なら協力できる。
「そうだな。殺すまではしなくていいと思うぞ」
「魔王幹部で人殺しだよ?十分殺されても…」
「人を殺したことはないよ」
「え?」
グレイの言葉にみんなきょとんとする。
聞いていた話とは全く違うのだ。
「嘘をつかないでください。報告によるとあなたは極悪非道の男。特に女性に対して死ぬ以上にひどい扱いをすると聞いています」
俺も全く同じ内容のことをギルドマスターから聞いた。しかも、その報告は一件だけではなく何件も来ているので信憑性が高いらしい。
「僕は人間が嫌いじゃない。特に人間の女性に関してはむしろ好きだ」
「じゃあなんでレイさんが言っていたような報告が来てるんですか?」
「そうだよ!私も聞いたよ!」
「それは僕の魔法のせいじゃないかな」
「あの触手か」
「うん。それに対決に挑まれたからには戦って上げないとなと思って相手になるんだ。でも僕って結構強いほうなんだ」
それは十分に知っている。勇者二人とほか三人でギリギリ倒せたぐらいだからな。
「だから、僕の魔法でチョンとつつくぐらいにしてるんだけど、毎回女性はすごいおびえた表情をするんだ。そして必ず汚物を見るような目で、『私の体を使って何がしたいの』とか『鬼畜』とか言われる」
「確かにあれは気持ち悪かったね」
「やっぱりそうだよね…」
シオリのストレートな言葉にグレイは心底落ち込んだ顔をする。
「とにかく僕は人を殺してない。尾ひれがついて情報が回ったんだろう」
多分この話は本当だろう。それをシオリとレイもわかっているのか黙ってしまった。
しばらくの沈黙の後、意外な人物が声を上げた。
「リボンも殺すまではしなくていいと思います」
これには予想外だったのか、グレイも驚いた様子だった。




