104話 グレイ戦に終止符を
シオリの放った黒い炎は、グレイのことを一瞬で包み込んだ。普段シオリのが使っている魔法の上位魔法なのか、いつもいじょいうに威力があり、少し離れた場所にいるのにすごく熱い。
「やっ…」
これなら大丈夫だろうと思い、思わず今言うには不吉な言葉が漏れ出そうになってしまった。
俺はすぐに口を抑えて黙って身構える。今回は周りも倒れていなかったときのために、まだ戦闘態勢を保っている。
もう起き上がってくれんなよ…
俺は少しづつ近寄るながら黒い炎を見る。
しばらくして炎が弱まり、視界が開けた。そこにグレイは倒れていた。
よかった…
俺は心の底から安心する。もし今回立ち上がられたら本当に勝ち目がなかった。
だが、安心するには早かった。
「ははっ…、負けたよ…」
グレイがまだ生きていたのだ。あの高火力の魔法を受けてまだ息をしていたのだ。
だが、見た限り体はかなりボロボロで動けるかどうかもわからないほどひどい状態だった。これなら襲ってくることもないだろう。
「なかなかしぶといわね」
「しぶとさには自信があるんだ」
「もうこれで終わりですけどね」
「そうかもね」
そしてグレイは一呼吸おいてから
「さっきの作戦を考えたのは君か?」
じっと俺の顔を見ながら言った。
「そうだけど」
「いつ気づいたんだい?」
「女性恐怖症のことか?」
「あぁ」
「戦ってる時に女の時だけ剣を使ったりとか極端に距離をとったりとかいろいろあるけど、一番はやっぱり本だな。そんなイケメンなのにわざわざあの本を買う意味がわからなかった」
だいたいイケメンはエロ本なんか買わなくても事を済ませられる。しかもグレイの場合イケメンの中でもトップの位置に立つことができるくらいイケメンだ。そんな奴がエロ本を買いにくるのは何かやばい問題を抱えているとしか考えられない。
「はは、それは偏見だなぁ」
俺の回答にグレイは笑いながら答える。
「ねぇその本って何?」
「女性にもてるには?って本さ」
全男性のためにもグレイはすかさずうそをつく。
「へぇ。顔いいからそんなもの読まなくていいと思うけど。むしろルイが読むべきだと思うわ」
「うるさい。余計なお世話だ」
「確かにルイは読むべきだな」
「おまえ…」
「そういうフレイも読むべきだと思いますよ」
「えぇ…」
フレイには言われたくないと思っていたのだが、レイが代わりに行ってくれたので良しとしよう。
「それで、グレイはなんで女性恐怖症なんだ?」
「あぁ、君たちには教えよう。それは、俺が大人になったすぐのころだった…」
グレイは何か覚悟を決めた顔をして話し始めた。その内容はとてもとてもつらい話だった。




