無題
私「お姉ちゃん、面接どうだった」
姉「落ちた」
私「また?そういえばこれでとりあえず最後じゃなかったっけ」
姉「そ。私がピックアップしたホワイトそうな企業リストはこれで全部」
私「で、今何してんの」
姉「ノルウェー語勉強してる」
私「なんで」
姉「こんな国住んでられないもん。いつ仕事なくなるかわかんないし、仕事なくなったら救済措置ないし。働けてもブラック多いし。だいたい労働基準法守ってるだけで優良企業扱いってどういうことよ。ムチャクチャだわ。私はノルウェーみたいな福祉国家に住みたいの」
私「あ、そう」
バカだなぁ。私は微笑ましい気持ちになる。昔から何にも変わってない。あれでもないこれでもないって習い事を転々として、ついに空手一つに決めたと思ったら「規則が厳しい」だの「忙しすぎ」だの「型ばっかりやってても強くなれない」だの言って道場を転々としてた、あの頃と何も変わってない。どこに行っても何を選んでも、不満がなくなるなんてありえないのに。本当にバカだ。
でもどういうわけか、そんな姉が私には眩しい。
姉「何笑ってんのよ。気持ち悪い」
私「別に」