真剣!プレゼント大作戦!!
男性から女性へ。女性から男性へ。
これは、男性から女性へのプレゼントを考えている話である。
「何をあげたらいいだろうか?」
そうやって、通信販売サイトを眺める男。
瀬戸博がスマホを観ながら思う。
「彼女がいたら、何をプレゼントしたら良いかな?蓮山」
「そもそもお前、彼女いねぇじゃん。考えなくていいんじゃね?」
今日はいつものゲーム会社の連中ではなく、瀬戸の友達。蓮山銅也。漫画家と打ち合わせでの出来事。
瀬戸は、彼の臨時アシスタントも兼ねている。
「あれだ。課金ゲーの彼女なら、振り込んでやれよ。それが一番のプレゼントだ」
「いやいや。そんな凡人と一緒にしないでよ。君は漫画家、僕はエロ絵師。だいたい、僕が描いているのもある。すでに僕はその彼女達に、新たな出会いをプレゼントできるんだよ」
カッコいい事言ってるけど。それはまだ見ぬ、彼女でヌきたい男達と出会わせているだけじゃね?相手が変わっているだけじゃねぇか。目的が完全に変態と男性の日常的で、情熱的な愛が一切ない。
「僕は君にダイヤモンドのネックレスを描けられても、君の首に掛ける事はできない」
「今日の瀬戸は随分、カッコよく見えるぞ。子供並の身長なのに」
そんなコンプレックスを指摘されても平然とできる。それが友達ってもんだ。
「リアルにいたら何をプレゼントするかか。リアルにいたらな……」
「いや、本当だよね。結婚なんて……」
「俺はのんちゃんを娘と思っているからな!きっと不安に思うよね、母親がいないということをね!不思議だってね!!」
「僕だって僕だって、沢山の彼女と奥さん、娘がいるのに、家に帰ってきても誰も『おかえり』って返してくれないよ!画面から出てこないよ!料理も洗濯もしてくれないよ!」
モテない男共。空想で彼女や奥さんなんて、悪いですか?
でも、もしかしたら。そんな空想が僕の隣にできるとしたら。彼女という形で渡してやりたい。
「プレゼントを渡したい」
誰だって、
「告白をやってみたい!きっと僕の事が100%好きだって分かっているけれど!」
絶対、成功するなら。告白を噛んでしまっても、笑われても。二度も三度も繰り返してもいい。
こいつ等が女ならそんな話。こう。恋愛話になるんだろうが。
この馬鹿共だ。とんでもない男の都合しか考えていない、変態話へと発展する。今、深夜だけどここファミレスだからヤバイのはNGだぞ。
「やっぱりその、いつも付けてくれる物をプレゼントにしたいよね」
「そうだな。俺もそんなもんが欲しい。というか、可愛い彼女をプレゼントしてください」
「ケチるわけでもなく。当たり前の事として、指輪や食事じゃなく。もらって嬉しくて、いつでも使っているモノを渡したい。何が良いだろう?」
女性としたら、ここは香水とか口紅などの化粧品だろうか。作者も男だから、よく分からんけど。洋服を買ってあげるのも良いのかな?お化粧して彼氏の目を惹きつけたい行為は、彼女なら呼吸の如くだろうし。彼氏としてもプレゼントした物が、自分のためにも使われて嬉しいんじゃないだろうか?
「うーん……」
「そうだな……」
さて、何を考えるだろう、馬鹿共。そして、同時に言う。しかも、違うモノ。
「パンツ!!」
「ブラジャー!!」
変態、2人の意見が、割れる。深夜に何を叫ぶ?用もない店員さんが2人を見たほどだ。
討論激化の睨み合い。
「おい、どうしてだよ。蓮山」
「俺が言いたいぜ、瀬戸」
おそらく、女性全員。お前等2人に、その言葉を尋ねる。
「僕はね!一日中、僕がプレゼントをした物を着用して欲しい!そして、パンツというのは女性の大切な部位を保護していると、過言ではない事なのだ!!肌身離さず、僕のプレゼントしたパンツがお尻を包んでいたら、なんか興奮してきた!!パンツを脱がすのも楽しみになってきた!」
「お前は巨乳派だろ!!俺がブラジャーを求めるのは、形の良い胸を守るためだ!パンツよりも覗きにくいブラジャーなら、多少恥ずかしいモノでも付けてくれるだろう!ギリギリなブラジャーだって、きっと付けてくれる!あと俺の事だが、ブラホック外しは慣れているブラでやりたいんだよ!!」
下着は洗うのが普通だろう。女性は男のように汚くないのだ。
2人の言葉だと、一日中どころか毎日着て欲しいという願望が溢れている。
パンツか、ブラジャーか。
……いや、ここは。渡したい彼女に尋ねろ。それとなく。
告白するにしても、ただ好きじゃ分かってもらえない。好きな相手を知ってくれる事がある意味、一番素敵なプレゼントじゃないかな?
「よーし!訊いてくる!」
「そうだな!」
2人はこんな深夜にも拘わらず、電話をしようとする。
「今から、林崎ちゃんにどんなパンツが欲しいか!訊いてくる!!」
「なら俺は安西ちゃんに、何カップのブラを付けているか訊いてくる!!」
「パンツとブラジャー!」
「どっちがプレゼントされたら嬉しいか!」
「真剣勝負だ!」
試合結果は間違いなく、ドローだろう。
試合内容は女性からの大激怒と軽蔑だろう。
自分の事しか考えないプレゼントは、喜ばれないと思うんですよね~。
人間関係って難しいですわ。