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第3章 第45話 夏休みの宿題とかでもそうだけど、追いつめられないとなかなか本気って出せないよね? 

私はいつもギリギリを生きている気がするよ。

「今度は私がカードを配ろう。」


 この言葉とともに、いよいよ勝負の幕が上がった。勝負の報酬は「なんでも正直に答えてもらえる質問を一度だけ行える権利」。『好きな人はいるの?』というような質問から、『今の年収は?』というような生々しい質問まで、おそらくオールOKである。


 今のこの状況。一見フリナックさんペースで場が進んでいる状態であるが、実はこれこそ僕が持っていきたかった状況だった。『相手の要求を折らせ、主導権を奪った。』と相手に思いこませること。これが肝要だった。

 『序盤から場の流れを掌握できる程度の相手』と思わせられれば、心のどこかに慢心や驕りを持ってくれるかもしれないから。だが、それはどちらかと言えばオマケ。一番果たしたかったのは、『質問できる権利』を賭けたこのギャンブルを成立させることだった。

 そのために、質問できる数を最初に3つとあえて多めに設定したし、賭けを行うことについて確認を取る時に、『賭けを行うことの確認をとる質問』を飛ばして、『質問できる数の確認を取る質問』を投げて、『賭けをするかしないか』ではなく、『賭けをするが、その重さはどうするか』という方向に話を持って行った。最初に3つと言ってけば、後で1つでもいいとなれば、「こちらが妥協して質問できる数を減らした」と思わせられるから。


 そういうわけで、実は今のこの状況は5分と5分といったところ。まだあわてるような状態ではないのだ。

 フリナックさんが手札を確定し、僕も手札を確定したところで(僕だけが手札交換をした。)、僕は口を開く。


「そういえば、勝負を何セット行うかをまだ決めていませんでしたね。」

「ああ、そうだったね。あまり長くてもいけないから・・・2セット先取した方の勝ち、でどうかな?」


 先に2勝した方の勝ちか・・・。


「ええ、依存はありません。」

「よし。では早速いこうか。私はこのカードを場にセットする。」


 決断が早い。良いカードが多いから迷う必要がない、ということか・・・?


「そうですね・・・。僕は、どうするかな・・・。」


 手札を見ながら、僕はさっきのリハーサルでの勝負を思いだす。あの時、フリナックさんの最初の勝負手は、5を出してからJを装備させる、というものだった。ならば、比較的弱いカードから出してくるのが彼の基本戦略、ということになるか。

 ・・・いや。先ほどのリハーサルでの勝負の情報をもとに、こちらが戦略を立てることはあちらも予測してくるはず。だからこそ、ここはこれで様子を見る。


「決めました。僕はこれです。」


 僕もカードを場に伏せる。


「私は装備カードをつけずに勝負しようと思うが、モニュ君はどうするかね?」


 ここでも揺さぶってくるか。見かけによらずグイグイ来るタイプだ。だが、揺さぶりを賭けられたところで、こちらの戦略を変えるつもりはない。このままいく。


「僕もこのままいきます。」

「ではカードをオープンしよう。」


 お互い同時にカードをめくる。こちらが出したカードはスペードのA。手札の中で一番弱いカードであるし、あわよくば『強気の初手Joker出し』に対する強烈なカウンターにもなる。今の僕の手札では一番良い初手だ、と思っている。

 対するフリナックさんの初手は・・・スペードの7だった。A~Kのうち、ちょうど真ん中あたりの強さを持つカード。こちらの思惑を外してきた・・・ということになるのだろうか?

 ともあれ・・・。


「まず第一ラウンドは私の勝ちだね。」

「そうですね・・・。」


 一歩、追い詰められた。


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