第3章 第44話 まさか二日連続で更新するとは誰も思うまい
年末までってことは、別に今日更新するのでもいいってことだよなぁ・・・?
「賭け・・・かい?」
「ええ。賭け、です。」
賭け。またの名をギャンブル。好きな人はどこまでも好きだが、嫌いな人はとことん嫌いなアレである。
ちなみに僕はマジシャンなんてやっているが、賭けはどちらかといえば嫌いな方だ。なるべくスリルのない平穏な人生を生きたいと僕は常々思っているからだ。その割にはなかなか複雑怪奇かつスリリングな人生を歩んでいるような気がするが、人生とはそういうものなので気にしてはいけない。人生ってそういうところあるよね。
「ふむ・・・。」
フリナックさんはここで長考をはさむ。こちらの狙いを考察しているだろう。
だが、考察するための情報は少ないはず。というか、限りなくゼロに近いだろう。ここで長考する理由はないはずだが・・・。
「ちなみに、賭けの内容についてはどうするつもりだい?
あまり大きなものになるとこちらも安易にOKするわけにはいかないのだが・・・。」
まぁ、それはその通りだろう。フリナックさんからすれば、ほぼ見ず知らずの相手、それもカードさばきが常人より優れた人物だと知っている相手に、相手の土俵で賭けをしよう、ということになるのだから。己が不利と読んでいる勝負に多くを賭ける者はいまい。
「そこは大丈夫です。大したものを賭けるつもりはありません。」
これは本当。
「と、言うと?」
「『3つ、相手に正直に答えてもらえる質問をする権利』を賭けの対象にしようと考えています。質問できる数はこれでよろしいですか?」
「ふぅむ。3つ・・・。3つか・・・。」
顎に手を当て、目を閉じて再び考え込むフリナックさん。こちらが3回質問できる権利を手にした時、それをどう使ってくるのか。それによってもたらされるリスクは、あちらが僕に対して3回質問できるリターンと釣り合っているのか。そのあたりを秤にかけているのだ。
5分ほど時間が流れたころ、フリナックさんはゆっくり目を開く。彼の中で結論が出たようだ。その答えは・・・。
「『3つ』はちょっと多いな。『1つ』ならこの賭けを受けてもいい。」
と、いうものだった。
「『1つだけ、なんでも質問できる権利』。・・・それなら、良いんですね?」
苦虫を噛み潰した顔、とまではいかないが少し渋い顔をしてしまう僕。
「いかにも。」
僕とは対照的に、どこかニヤニヤした顔のフリナックさん。嫌に自信に満ちた顔だ。これは、それ以上の譲歩を引き出すのは困難か。
「・・・わかりました。では、賭ける物は『1つ、相手になんでも正直に答えてもらえる質問を行える権利』で行きましょう。」
「うむ。さぁ、ゲームを始めようか。さっきは君にカードを配ってもらったからね。今度は私がカードを配ろう。」
手を差し出してきたフリナックさんに僕はトランプを渡す。この場の主導権がフリナックさんに握られているのを感じながら、僕はフリナックさんがカードを混ぜる様を『何も動揺していませんよ』という顔をしながら見つめていた。
たぶんポーカーフェイスは出来ていなかったと思う。




