第3章 第39話 モヤッと
地震とか諸事情とかで忙しく、更新がこんなに遅れてしまいました。
すまねえ、ほんとすまねぇ・・・。
「僕のここまでの生い立ちはこんなところです。」
僕はこれまでの人生(大学に入ったあたりからお嬢様に拉致られるまで)の説明を、そんな言葉で締めくくった。
「・・・なるほどな。貴様も、かなり刺激的な人生を送ってきたんだな。」
我が事のようにうなずいてくれるお嬢様。目を閉じ、首をこくりこくりと上下させている。こんな感じに動くマスコット人形をどこかで見たことがあるような気がする。
「ええ。
ところで、僕を拉致するきっかけになった出来事について気になる事があるんですが、お聞きしてもいいですか?」
話も一区切りついたところで、ずっと分からなくて気になっていたことを質問することにした。あれは地味に僕の心のしこりになっていたからね。
「なんだ? その出来事というと、例のコインゲームのことか?」
まさしくそれである。
「はい。あの最後の勝負で、どうしてコインの位置を見切ることが出来たのか。それを知りたいんです。」
目を見て、真摯にお願いする僕。その熱意に折れたのか、お嬢様はしばし考えたのち、やがて脱力するようにフゥと息を吐いた。
「・・・仕方ないな。教えてやろうか?」
「ぜひお願いします。」
食い気味にこたえる僕を誰も責められまい。誰だって気になる事を教えてもらえるとなったらこんな感じになるはずだ。多かれ少なかれ、ね。
「あの勝負の後、私は『私が貴様の上を行った。ただそれだけの話だ。』みたいなことを言ったが、ある意味では、この言葉がコインの位置を見切ったことの説明になるんだ。」
「といいますと?」
「それを説明する前に、復習といこう。貴様と―」
お嬢様の解説講座が始まろうとしたところで、コンコンと。
部屋にノックの音が響き渡った。
「お、すまんな。とりあえず一旦この話はここまでだ。」
ノックを聞いたお嬢様は、話を中断するとドアに近づき、それを開け放つ。「なんだ?」というセリフも忘れない。
そこにいたのはセロイグ執事だった。僕用の部屋の用意が整ったので一度来てくれとのことだったので、僕はお嬢様と別れてセロイグさんの後をついていく。
どうやら、僕のモヤモヤが解消されるのはもう少しあとになりそうである。




