第3章 第34話 自己紹介のようなもの
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「とまぁ、私自身についての話はこれくらいでいいだろう。次は貴様の番だ。」
「・・・ええ、そうですね。」
観念して僕はうなずく。
「何から聞きたいですか? やはりマリーとの馴れ初めの話ですか?」
僕としては、この話は出来れば話したくないのであえて自分からそう確認をとりにいく。この手のタイプの人間は、こういう言い方をすれば大抵は他のことを質問しに行ってくれるからだ。
果たして、お嬢様は・・・。
「そのことも気になっているが、まずはここから行くべきだろう。」
僕の狙い通りに別のことを尋ねに来た。あの言い方だと後でまた質問されそうだが、それは、その問題への興味を上回るインパクトのある話をすればうやむやにできる。だから、問題はない・・・と言いたいが、正直あまりとりたくない手だ。
「貴様の正体をまずは知りたい。その仮面を取ってくれ。」
・・・一応、保険はかけておくか。
「取ってもいいですけど、誰にも言わないでくださいね。」
「何かわけありのようだな。いいだろう。約束してやろう。」
このお嬢様が約束を律儀に守るタイプであることは、昼間の勝負で既に察している。だから、所詮は口約束でしかないが、問題ないだろう。僕は素直に仮面を外した。
「ほう。何か傷跡でもあるのかと思っていたが、そういうわけではないようだな。普通の顔だ。
・・・いやまて、その顔どこかで・・・。」
これは、指名手配のアレを見たことがある反応だな・・・。大声をあげられるのも困るし、こちらから明かした方がよさそうだ。
「どうも。現在上級魔族の容疑をかけられているショウ=キリュウインです。
こちらはムーマ・エンドのマリーです。」
そう言って、僕は頭を下げた。
「ああそうか。どこかで見た顔だと思ったらそういうことか。
指名手配のポスターで・・・。」
僕の名乗りに、お嬢様は納得した声をあげる。
「しかし、貴様は上級魔族ではないだろう。私にはわかるが、ちょっとおかしな技術を持っているだけのただの人間だ。それがどうしてそんなことになっている?」
ほんとにね。どうしてこうなってしまったのか・・・。
「これを見てください。」
僕は懐から自分の冒険者カードをとりだし、『スキル取得欄』の一部を見せる。一応の警戒として、余計な部分は見えないように手で隠しながら見せた。
「これは僕が取得しているスキルや魔法を示しているんですけど、そのなかのコレがまずかったみたいで・・・。」
そこに書かれている『Deadly Blaze』の文字を手で示しながら説明する。
「この字体で書かれるスキルや魔法は、本来『上級魔族』しか覚えない特別なものだそうでして。それで・・・。」
「なるほどな。何かのきっかけで、この魔法を覚えてしまっていることが表ざたになってしまったというわけか。」
その通りだ。カードをポケットに戻しながら、僕はうなずく。
「確かに、思い返せばあいつらは皆それぞれ固有の特殊スキルを持っていたな。固有魔法の場合もあったが。あれはそういうものなのか・・・。」
特殊スキルの情報は、お嬢様も知らなかったようだ。僕が逮捕される流れになった時の感じからして、この情報はこの世界における常識なのかと思っていたがそうでもないのか・・・?
「ヌホクリーデさんはこのことを?」
「いや、貴様に聞かされるまで知らなかったぞ。私がこの街―人間の街に紛れ込んだのは3年くらい前だからな。人間の間における常識のような知識はあまりないんだ。」
そうなのか。
「少し私の身の上話をしようか。
私がそもそもこの街に来たのは―。」




