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第3章 第23話 お嬢様と西村 その4

お待たせいたしました。

更新です!


 西村が天高く弾き飛ばしたコインは、ある程度まで進んだところで進行方向を変え、まるで『そうあるのがこの世の定めだ』と言わんばかりに重力に引かれて下に落ちてくる。落ちてきたそれを・・・西村は、右手だけを伸ばしてキャッチした。左手でフェイクアクションを入れることすらなかった。


「へ?」

「はぁ?」

「ほぅ!?」

「きゅ!?」


 これには、この場にいた西村以外の全員が声をあげてしまう。無論、僕もだ。しかし、西村はそんなギャラリーたちの反応を一切気にせず、机の上で軽く拳を握っていた左手を右手と同じ高さまで持ち上げると、


「さて、どちらの手にコインはあるでしょーか?」


 などと言ってのけた。


「・・・・・・。」


 これを受けて、お嬢様は考え込む。常識で考えれば、こんなものは考えるまでもない。コインが上に上がってからそれをキャッチするまでの間に、左手がかかわってくる要素が皆無なのだから。素直に『右手だ。』と言えばそれでおしまいである。

 そう言ってしまいたいところだが、しかしここまでの流れがそう簡単にその答えを言わせる流れを作っていない。『魔法抜きで、ありもしないであろうところにコインを飛ばす技術(どういうわけか見破られてしまったようだが)』を見せられた後だ。このお嬢様は『右手にある、と思わせていて実は左手にコインが移っている、なんて可能性も0ではない。』と考えるだろう。しかし、今のコインをキャッチしてからの流れの中に、どう見てもコインを左手に移せる瞬間はなかった。だがそうであるからと言って、『左手にコインがある』というのを答えにするのは・・・根拠が弱すぎるだろう。


「く・・・・・・。」

「そんなに考え込まなくても、これはリハーサルなんだから気楽に答えればいいんじゃないですかい?」


 西村の追加攻撃がお嬢様を襲う! 


「いや、そういうわけにはいかん。リハーサルだとはいえ、ここもキッチリ当てなくては『私が私である』とは言えんからな。」


 しかし、お嬢様は謎理論を展開することでこの奇襲を防ぐ。


「ふむ・・・。」


 改めてまじまじと、西村の両手を交互に見つめるお嬢様。今更睨んでも、わかるものでもあるまいに・・・。


「待たせたな。よし、決めたぞ。」


 しばらくして、お嬢様はどちらを宣言するかを決断した。自分の中でなんらかの根拠となる理屈を展開できたということなのだろうか。


「わかりました。では、どちらの手にあると宣言しますか?」


 さあ、お嬢様はどちらの手を宣言する・・・?


「『左手』だ。」


 左手だった。


「『左手』ね・・・。」


 西村が繰り返す。


「そうだ。手を開けてもらおうか。」


 お嬢様に言われ、素直に握っていた左手を開く。するとそこには・・・コインがあった。


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