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第3章 第20話 お嬢様と西村 その1


「次は貴様の番だな。貴様は、私に何を見せてくれる?」


 お嬢様にそんなことを言われた西村は、だまってこちらのテーブルに近づいてくると、テーブルの上に置かれていたコインを右手で拾い上げた。そして、それをお嬢様に突き付けて、


「俺も、こいつで挑ませてもらうぜ。」


 と、目の前のお嬢様に負けないくらい挑戦的に、言葉を叩き込んだ。そして、同時に僕の肩を左手でポンポンと叩く。「大丈夫。ここは俺に任せとけ。」と、そういう意味だろう。


「ほう・・・。貴様もコインで私に挑戦するとは・・・面白いな。私は構わないが・・・本当にいいんだな?」


 お嬢様が最後通告をしてきた。それはこのお嬢様なりの優しさなのか・・・。


「ええ。俺は大丈夫です。」


 西村はOKと言っているがしかし・・・。


「西村・・・。コインは・・・。」


 西村の宣言を聞いた僕は、小声で西村にささやく。どういうトリックかはわからないが、このお嬢様は何らかのイカサマをしている。それが何か分からないうちは、コインを使っての勝負はこちらが圧倒的に不利だ。仮に使用するコインを変えたとしても、そんなものは気休めにすらならない。そんなこと、西村だってわかっているはずだ・・・!


「それは十分に分かってるさ。しかしだからこそ・・・俺はこのコインで仕掛けに行くぜ。」

「・・・勝算はあるのか?」

「いいとこ60%と少しってとこだな。それだけあれば十分だ。

・・・さぁ、話はここまでだ。お前らは向こうでオルガさんと一緒に俺の戦いぶりを見てな。」


 そう言って、西村は僕をオルガさんのところまで下がらせようとする。渋々、僕はマリーを抱えて席を立った。


「ニシムラの奴・・・大丈夫なのか? あいつの腕を疑ってるわけじゃねぇけど、あのお嬢サマも相当デキるみてぇだし・・・。」


 十分だとは言っていたけど・・・。


「本人は、『勝率60%位だ』って言ってまs・・・言ってたよ。」

「あんまし信用できる数字じゃねぇなぁ・・・。」


 オルガさんは(ひたい)に手を当ててそう漏らす。


「まぁ・・・そうですよね・・・。」


 僕もそう思ってるし・・・。


「あのお嬢様と戦ったお前は、この勝負をどう見る? ニシムラは、あいつを上回れると思うか?」


 どう見るかと聞かれ、僕は師匠としての西村遊稀を思い出す。あいつの持っているテクニックの上手さと巧みさを。かつて日本にいたころの日々を。それらすべてと、今の勝負を踏まえて考えると・・・。


「分かりません。」


 考えた末に得られた結論は、これだった。


「分からないのかよ・・・。」


 オルガさんがあきれ返っているが、仕方ないじゃないか。だって・・・。


「いつも僕たちの予想を超えてくるのが、あそこにいる西村だからね。」


 『僕の師匠』は、そういう人なのだから。


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