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第3章 第18話 お嬢様とコイン その8

あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!


というわけで今年初の更新!






・・・うん、遅くなって、すみません・・・・・・。


「断言しよう。そのコップの中にはコインは入っていない。」


 お嬢様は、そのセリフを言い終わるのとほぼ同時に、自身がそこにないと宣言したコップを持ち上げる。コップの中にコインは・・・なかった。


「・・・・・・っ!」


 それを見せつけられて、僕は無意識下で息をとめていた。そして、それと同時に嫌な予感が頭をよぎる。『まさか、ばれているのではないか?』という予感が・・・。

・・・いや、待て。動揺するな。『このお嬢様が一連の動きを完全に見切っていたからこそ、今の発言があった』とは限らないじゃないか。前回のゲームで、『まともにコインを目で追っていても、場所を当てることは出来ない。』と、このお嬢様が学んだがゆえに、『まともに追った先にはコインはない。』と予測して発言した可能性だってあるんだから。むしろ、その可能性の方が高いだろう。だから、大丈夫。まだ・・・確率は5分のはず・・・!

そう、自分に言い聞かせる。それでも・・・不安の種は、なくならなかった。


「では・・・どちらのコップにコインがあると・・・思いますか?」


 不安を感じていることを悟られたら終わる。そう思った僕は、それを笑顔で隠して冷静に場を進める。いつものように身振りも交えてだ。体を動かしている間は、緊張を意識せずにいられるから。


「そうだな・・・。それに答える前に、一つ貴様に質問をしてもいいか?」

「えっ?」


 ここで、お嬢様はこちらに揺さぶりをかけるかのように質問の許可を求めてきた。このタイミングで質問だと・・・? 今更何を訊くことがある? わからない・・・。このお嬢様の狙いが・・・。


「・・・いいですよ。なんでしょう?」


 しまった・・・。いろいろ考えすぎて、許可を出すまでに時間がかかってしまった。これでは動揺していることが見抜かれてしまう。冷静に、冷静にならないと・・・。


「貴様は、『私がコインの位置を知っている』と思うか?」

「っ・・・!」


 このお嬢様、仕掛けてきやがった! 質問を受けた時につい出てしまうこちらの反応から、コップの位置を予測しようという魂胆か。このお嬢様はメンタリズムもたしなんでいると言うのか・・・!

 だが残念だったな。その目論見は失敗に終わる。なぜなら、その質問で、僕は冷静になれたからだ。メンタリズムもまた、マジックの一種のようなものだ。予言や、テレパシー系の演出を含んでくる演技では、メンタリズムによるテクニックをトリックとして用いているものが多い。そして僕は、さまざまなマジックの技術を、世界トップクラスのレベルでいろいろと教わっている。まだ身に着けられていない物も多々あるが、それらも知識としては知っている。だからこそ、先ほどの質問は、『僕が慣れ親しんだものである』と言えるわけだ。慣れ親しんだものに触れることが出来れば・・・人は、落ち着く。ある種のリラックスした状態になれるのだ。

 ゆえにこそ・・・これは、明らかな悪手!


「さぁ、どうでしょう? それは、僕にはわかりませんね。」

「む・・・そうか。」


 冷静に、僕は返す。今の返答で、僕の今の心理状態、果ては『メンタリズムが通用しないこと』まで向こうも悟っただろう。となれば、次はどう出てくる・・・?


「言われてみればそうだな。それはその通りだ。まったくもってな。

・・・では、私の答えをもう言ってしまおうか。」


 答えだって? まさか、さっきのやり取りでわかったのか? それは、ありえないはず・・・!


「そっちのコップの中にコインが入っている。コップを開けさせてもらうぞ。」


 お嬢様の白い指が、残っているコップのうちの一つに伸びる。コップをどけると、そこには、コインがあった。まぎれもなく、僕が移動させた、それが。


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