第3章 第5話 僕にはさっぱりわからない
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オルガさんのところに厄介になる事が決定し、僕にあてがわれた部屋で一日を終えた次の日、アジトでゆっくりしていた僕は、僕にあてがわれた部屋にやってきた西村からとある情報を伝えられて愕然とした。まさかそんなことにはならないだろうと思っていただけに、ショックが地味に大きい。
「まさか、そんな・・・うそでしょ・・・? ハハッ、そうだそうに違いない。これは西村師匠の巧みなジョークなんだ・・・。」
ショックのあまり、心が壊れかけた主人公のようなセリフを吐いて床に手を突き崩れ落ちる僕だった。しかし、西村は容赦なく僕に現実を突き付けてきた。
「いや、本当だよ。街の至る所に貼られてたからな。これ。」
西村がコレなるものをぴらぴらさせつつ言ってくる。コレというのは、今西村が持っている一枚の紙だ。そこには、僕の似顔絵と何やら金額のようなものが書かれている。4スミが強引にちぎられたかのようになくなっているのは、どこかに貼ってあったそいつを勝手にはがしてきたからだろう。
西村のこの行為も問題といえるが、この紙が至る所に貼られていたことはもっと問題だ。つまりどういうことかって言うと・・・。
「足立、おまえ指名手配されてるぞ。」
そういうことだった。
☆
「わからない・・・。僕にはさっぱりわからないよ。いったい僕が何をしたっていうんだい? 何もしてないだろう? この世界にやってきて少し依頼をこなしてムーマ・エンドを仲間にしただけじゃないか。人類に牙を剥いたわけでも、この街に危害を加えようとしたわけでもない。どうしてそんな善良な一市民である僕が指名手配なんぞされなくちゃあいけないんだい?」
2時間ほどかけて指名手配ショックから立ち直った僕は、おもむろに立ち上がると自分でもよくわからない口調でゆっくりと部屋の中を徘徊しながら語り始める。僕のそんな様を、椅子に座りながら珍獣を見るかのような目で見つつ、西村は冷静にコメントを返す。
「この紙には、『足立が上級魔族だから』って書いてあるぞ。」
あとついでに『生死は問わず』とも書かれてるな。と、さらなる情報を教えてくる西村。その膝の上でマリーが興味深げに西村が持っている指名手配書を見ている。そんなものをみても何も面白くないだろうに。
「上級魔族?この僕が? ハハッ面白いことを言うね!いったい僕のどこが上級魔族だというんだい?そもそも魔族ってなんなんだい?そこのところを詳しく教えてもらおうじゃないか!」
片膝立ちになり、西村に向かってビシッと人差し指を突き付ける僕。行儀が悪いという言葉が聞こえてきた気がしたが気のせいだろう。
僕に人差し指を突き付けられた西村は、律儀に回答をよこす。
「この世界の定義だと、『人に好んで危害を加えるもの』は、すべからく魔なるものだとされているな。中でも、言葉を解せない者は『魔物』、言葉を解する者は『魔族』って呼ばれるんだ。そして、魔族の中でも、人に擬態できたり、固有スキルを持っていたりする者は上級魔族とされている。」
そうなのか・・・。ということは、この世界では蚊も魔物というくくりになるのだろうか?
「足立が上級魔族だと思われたのは、『「人に擬態している」と思われたこと』と、『「Deadly Blaze」を取得していたこと』が原因だろうな。上級魔族と間違われるのも仕方ないぜ。人間であるはずの足立がどうしてこんな面白い状況になってるんだろうな?」
「知らないよ!」
ほんとにもうね・・・。




