第3章 第4話 タダではすみません
「はーなるほどな・・・。そんなことがあったのか・・・。」
僕はオルガさんにすべてを話した。ムーマ・エンドと遭遇した辺りから、ギルドでアレなスキルを取得したのが発覚して、なんとか逃げ出してここに来たことまで。ここに来た理由は、事前にオルガさんから「何かあったらここに来いよ。」と言われていたことを思い出したからというのが一つ。もう一つは、オルガさんなら『この状況でも僕をうまく匿える程度のこと』が余裕で出来そうな気配を、僕が名刺を渡してきた時のオルガさん自身から感じていたからだ。それらの説明を僕からひととおり聞いたオルガさんの反応が、先ほどのものだった。
「そういうわけでですね、しばらくの間ここに匿ってもらえると嬉しいなと思うんですけど・・・。」
我ながら図々しいお願いだ。しかし、僕のこの要求に対し、オルガさんは鷹揚にうなずいた。
「わかった。いいぜ。うちでお前を匿ってやることについては特に問題はない。」
まじですか。もしかしたらだめかもしれないと思っていただけに、これは非常にありがたい。
「ただし、タダでというわけにはいかねぇ。いくつか条件をのんでもらうぜ。」
まぁ、そうなるよね。
「まず一つ目だが、『ここに居候している間は、あたしやあたしの部下の言うことには従ってもらうこと』。」
「了解。」
僕はうなずく。ここではここでのルールというものがあるのだろうし、この要求をのむことに異議はない。僕がうなずくのを確認してから、オルガさんは追加の条件を提示する。
「二つ目は、『外に出る時は、事前にあたしかニシムラにその旨を申告すること』だ。もし外出する必要が出たときは、有事に備えるためにもここにいるニシムラを護衛に付ける。」
西村に目だけで『いいか?』と確認をとるオルガさん。同じく西村も目だけで『OK』と答える。これがアイコンタクトってやつか。さりげなくやれているところがまたかっこいい。
「この条件だが、のめるか?」
西村に確認をとってから、僕に確認をとるオルガさん。こちらの条件についても異論はない。僕も彼女らに倣ってアイコンタクトで返事をしようと思ったが、『慣れないことはするもんじゃない』と世間でよく言われているのでやめた。おとなしく「はい。」と返事をするに留める。
「よしわかった。じゃあ、最後の条件だ。これは前にも言ったが・・・。」
なんだろう・・・。
「『あたしとの会話では敬語を使わないこと』だ。この3つの条件を全てのむのなら、おまえをここに置いてやるぜ。さぁ、どうする?」
にやにや笑っているオルガさん。僕の答えなど聞くまでもなかろうに・・・。
かくして、僕はしばらくの間オルガさんのところにおせっかいになるのだった。
これ、記念すべき50話目なんですって。




