第2章 最終話 WANTED
今回はガタツさん視点です。
証拠を突き付けたにもかかわらず、醜くものらりくらりと言い逃れようとするあのヤロウに引導を渡すべく俺は探知機を取りに行った。この機械の使用を宣告した時、あのヤロウは動揺を表に出していた。あれは、本気でヤバイと感じたやつが見せるそれだった。隠そうと思っていたのに、本能的に顔に出てきてしまったタイプのやつだ。あの顔を見て、俺は勝利を確信する。これで勝ちだ、と。
急いで探知機を取って戻りたかったが、長いことあの機械を使っていなかったことが災いし、見つけ出すまでに少し時間がかかってしまった。だが、問題はない。手錠がはまっている時点で、あのヤロウは既に詰んでいるのだ。
☆
「待たせたな。人誅の時間だ。」
決め台詞とともに俺は取調室の扉を派手に開ける。奴を見ると、どうやらおとなしく待っていたようで、椅子に座って俺が戻るのを待っていた。まぁ、この部屋には何もねぇから、することもねぇしな。
「じゃあ、はじめるぜ。」
俺も奴と反対側の椅子に座り、机に探知機を置いてそれを起動しようと左腕を伸ばす。そのとき、ヤロウはわけのわからない事をぬかしてきた。
「マジシャンに一番必要なものって、なんだと思いますか?」
「ああ? 知らねーよんなもん。」
予想していなかったところに唐突に質問されて少し混乱したが、なんとかそう返す。これになんの意味があるのかわからなかったが、この質問こそが奴の攻撃だった。
「それはですね・・・・・・どんな時でもあわてない冷静さですよ!!」
セリフが早いかあのヤロウの次の行動が早いか。あのヤロウのセリフが終わるころには、既に俺の左腕には手錠がはめられてしまっていた。
「なっ・・・!」
バカな! これは俺が奴にこの手ではめてやった手錠!なんで外せた!ありえねぇありえねぇありえねぇ!
あまりの出来事に情けねぇが俺はパニックに陥る。その隙にあのヤロウは俺を手錠で机に拘束するとさっさと部屋から逃げて行ってしまった。くそっ、何たる不覚だ・・・!
だが、まだ望みはある。ドアの外には見張りが・・・!
「おい、奴が逃げた! 俺は動けねぇ!奴を取り押さえろ!」
叫ぶが、見張りからの反応はなかった。くそっ、まさかもう見張りを倒して逃げたのか。なんて野郎だ。
戦闘(?)が終わってひと段落したからだろう。冷静に落ち着いてきた俺は、『俺が持ってる鍵で手錠をすぐに外せていれば奴を再び拘束できたじゃねぇか。』ってことに、遅まきながら気づく。はっ、『冷静さが大事』とあのヤロウは言っていたが、それをここで今痛感させられるとはな。屈辱だぜ。
とりあえず、俺は持っているカギで手錠を外す。部屋から出ると、案の定気絶している見張りの男がいたが、今は無視する。それよりもさっさと事を進めなければならない。俺は、ギルドの受付まで行くと、
「指名手配を依頼する。こいつは速やかに捕獲しなければならないんでな。最悪、生死は問わねぇ。名前は・・・。」
と、国内すべての冒険者ギルド支部および本部に協力を要請するのだった。
この日を境に、あのヤロウの似顔絵は、この国のいたるところで散見されるようになった。これで奴も、大手を振って暮らせなくなることだろう。そして今度こそ、俺はあのヤロウを・・・。
次回から3章のスタートです!




