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第2章 第36話 カードは人生を狂わせる・・・かもしれない

遅くなりましたごめんなさい!

おまちかねの更新です!

 

 男は僕に手錠のかかった両腕を前に出させると、僕の両手首を掴んで移動を始めた。ここで抵抗しても仕方がないので素直に男に従って歩く。


「ここだ。入れ。」


 そう言って男が指し示したのは・・・。


「冒険者ギルド・イシュタル支部・・・。」


 少し前まで僕がいた建物だった。

 男は僕を中に入るよう促す。中に入ると、男はギルド員を一人捕まえ、一言二言話す。その間も、男の左手は僕を油断なく押さえていた。ちくしょうめ。

 男はギルド員とのやり取りを済ませると、僕を引きずりつつ受付側の奥の壁にこしらえてある扉に入っていった。もっと優しく扱って欲しい。

 男は、「取調室」と書かれている扉の前に来ると、ポケットから鍵を取り出して僕を部屋の中に押し込んだ。そして、自分も中に入り、僕を部屋に備え付けられていた椅子に座らせると、


「さて、今から貴様の取り調べを行わせてもらう。」


 と言ってきた。机を挟んで僕の反対側に立ち、机バンする動作も忘れない。その動作のせいで、机の上に置かれていたメモ帳とペンスタンドが6cmほど飛び跳ねる。『取調室ですることといったら取り調べ以外ないだろう』と突っ込みたくなったがぐっとこらえる。


「何を調べるんですか?」


 とりあえず情報収集してみるか。僕には何の容疑がかけられているのかだけでも知っておきたいし。


「貴様には現在、魔族である疑いがかけられている。」


 んなあほな・・・。

 

「またまたご冗談を。ミスター、えっと・・・。」


 そもそもこの人誰だろう・・・。

 僕のセリフが止まったのをみて、男が自分から名乗りを上げた。


「ガタツだ。ここイシュタルの街の自警団のトップをやらせてもらっている。」


 自警団・・・。たぶん日本でいう警察のような組織だろう。まさか善良な一市民の僕がポリスメンのお世話になることになるとは・・・。


「では、ミスターガタツ。よろしければ僕が魔族であるかもしれないという件について詳しく教えていただきたいのですが・・・。」


 僕はマジックが出来てちょっと魔法が使えるだけの普通の人間だ。断じて魔族ではない。ふ、この戦い、結末は始まる前からもう決まっているも同然だ。徹底論破してぎゃふんと言わせてやろう。

 僕の煽りを受けて、ガタツという男は詳細を語り始めた。


「いいだろう。詳しく教えてやる。

 容疑が発覚したのは今からほんの数時間前だ。貴様は人の姿をとり、ここ冒険者ギルド・イシュタル支部に依頼達成を報告しに来た。肩にそのおかしなぬいぐるみを乗せてな。ここまではいいか?」


おかしなぬいぐるみ、という部分でマリーに人差し指をつきつけるガタツ。失礼なやつだ。


「ええ。間違いありません。まぁ、人の姿をとるも何も僕は普通の人間ですけど。」

「余計な発言は慎め。では続きだ。

 依頼の完了処理をするため、貴様は自身が作成した冒険者カードをギルドに一時提出した。」


 うなずく僕。


「その冒険者カードは、今も持っているか?」


 いやに冒険者カードに突っ込んでくるな・・・。それがガタツの切り札ということか・・・? であればうかつに取り出すのは危険か・・・。いや、まてよ・・・。そうだ、冒険者カードにはあの情報が!

 冒険者カードには持ち主の獲得スキルが記録されている! つまり、「僕が『魔族しか使えないスキル』を取得していること」がカードを見られたら証明されてしまう! おそらく、というかもう間違いなく、カードを提出した時に、僕の冒険者カードのスキル取得欄をギルド員が見たから・・・そこから状況は発展し、こういうことになった・・・。

 どうする・・・。カードをなくしたことにするか・・・。いや、そんなことを言っても、「じゃあカードを再発行してもらおうか。」と言われたらそれまで・・・! ならば・・・。


「どうした? はやくカードを出せ。それとも何かカードを出せない事情でもあるのか?」


 なかなかカードを出そうとしない僕を見て、ガタツがプレッシャーをかけてくる。

 僕は、


「いえ、カードなら出せますよ。」


 と言って、自分の冒険者カードを取り出した。もちろん、そのカードは僕があの魔法を習得していることをしっかりと示していた。


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