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第2章 第35話 歩きスマホ?

今回はキリュウインさん視点です。

 

 ギルドでの用事を済ませた僕とマリーは、フィーアさんに書いてもらった地図とにらめっこしながら道を歩いていた。歩きスマホ的行為をしているとも言えるかもしれない。

 やがて地図の通りに道を進んでいくと、目当ての店を見つけることが出来た。地図で見た時は『少し遠いなぁ』と思っていたものだが、実際に歩いてみるとそこまで距離はなかった。お店の前にはわりかし長めの行列が出来ている。さすが地元民お勧めのお店、かなり人気のようだ。

 ひとまず行列に並ぶ。行列の長さから見て結構待たされるかと思ったが、回転スピードが良いようで次々にお客が店内に吸い込まれては別の客が店から出てくる。このペースならば、こちらの順番がくるまでそうかからないだろう。

 

「次のお客様どうぞ~!」


 やがて、僕の番がやってきた。店員さんの案内に従って店内へと入る。お店の中には、カウンター席がざっと見て15席程度と、テーブル席が5つほどあり、そのほとんどが埋まっていた。


「こちらのお席へお座りください。」


 案内係の人に、カウンター席を手で示されたのでそこに座る。すると即座におしぼりと水の入ったコップがスタンバイされた。見事な早業だ。


「ご注文がお決まりになりましたらまたお知らせくださいね~。」


 そう言って頭を下げ、店員さんはいずこへと行ってしまう。まあ、今はさっさと注文する物を決めてしまおう。

 テーブルの端に置いてあったメニューを手に取る。そこについているイラストを見て、『ヲーメン』が日本でいうところのラーメンであるという事を確信する。スープに入れられた麺と、ネギ、メンマ、もやしなどといったさまざまな具。どこからどう見てもラーメンだ。であれば、ここはオーソドックスに『セウユヲーメン』にしようかな。

 注文を取ってもらうため、僕は『すみませーん!』の声と共に右手を高らかに上げる。

その瞬間、僕は上げた右腕を誰かにガシッと掴まれると、その手首にガシャリと手錠を嵌められた。


「―!」


 突然の事態に驚いて僕の右側を見るがそこには誰もいなかった。どういう事だと思ったのもつかの間、今度はこちらの左腕を取られ、右手首に付けられた手錠の空いている方の輪を左手首に嵌められてしまう。そして、何者かは拘束した僕の両手首をテーブルに押さえつけてきた。この一連の動作の間に、下手人の姿を拝むことはできなかった。とんでもない技量だ。力を入れても、押さえつけから抜け出せそうもない。


「捕まえたぞ、ショウ=キリュウイン。貴様は終わりだ。」


 その声は、聞いたことのない男の声だった。こちらの名前を出してきた以上、人違いという事もないだろう。


「きゅっ・・・!」


 こちらが押さえつけられたのを見て、マリーの目が男に照準を合わせ、怪しく光りはじめる。男を眠らせようとしてくれたのだろう。だが、まだ冤罪で捕らえられたという可能性がある以上、ここでムーマ・エンドの存在を想起させるような出来事を起こし、『モンスターを連れ歩いているという罪』を自ら証明するようなマネをするわけにはいかない。なので、マリーに向けてそっと首を振る。しぶしぶ、という感じでマリーは目力を抜く。


「ここでは人目に付きすぎてまずい。ちょっと来てもらおうか。」


 そう言って、男は僕の後ろ襟をつかむと強引に僕を立たせ、お店から僕を強制退店させるのだった。


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